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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第二章 帝国の剣
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91 ライラック聖教国

「ゼスト公爵閣下、ようこそおいでくださいました!我等、聖騎士団が護衛と案内をつとめます」


ビシッと敬礼する勇ましい女騎士がそう告げる


「そうか、教皇猊下のご配慮ありがたくいただこう」

「はっ!では早速ご案内致します!」


馬車から俺がそう言うと彼女達は馬を並べた


「女性だけの聖騎士団と有名ですわね」

(みんな白くてキラキラです!)


ライラック聖教国の誇る聖騎士団

女性だけの精鋭部隊……それがわざわざ他国の旅行者の案内や護衛をする為に国境まで出てくるとは思わなかった

それだけ俺を重要視しているのか……それとも……


「あのメイド部隊達の胸は……」

「公爵軍のメイド部隊……ま、負けない!」

「馬上でも揺れない……だと?」

「なんて存在感なの!」


重要視されているのはブラジャーですね……

小声での呟きを強化した耳で聞き取った俺はベアト達とイチャイチャすることにした

警戒していたのが馬鹿らしいわ



今回の旅行には、アルバートを筆頭に黒騎士とメイド部隊が付いてきている

公爵が出かけるのにギリギリの人数だと言われ50人ほどになった

なかなか気楽な旅行とは言えないが、立場があるからな


そこに聖騎士団50人が加わり100人の部隊だ……過剰戦力だな

旅は当たり前だが順調に進んで行った




「ゼスト公爵閣下、よくぞおいでくださいました。教皇がお待ちです。是非こちらに……」


総本山大聖堂に着くなりそう言われて案内される

『観光?先にブラジャーな。はやく!はやく!』

こういう事であろう


せっかくの大聖堂内部だがキョロキョロは出来ない

大人しく案内の後ろを付いていく


(お母さん、あの天井ガラスに絵がついてます!うわぁ……)


トトは一人楽しそうで、ベアトもニコニコ相手をしている

確かに女性を描いたステンドグラスがキラキラ光って綺麗だ

白を基調にした建物の中でアクセントになり、神々しい美しさだな


貴族がキョロキョロしながら歩いたら馬鹿にされるから、見たいのを我慢しながら歩くと案内が立ち止まる


「教皇猊下、ゼスト公爵閣下をご案内致しました」

「お入りなさい」


その部屋は執務室だろうか?本棚が壁に並び、正面の机には神官服の老婆が座っている


「教皇をしておるガーベラじゃ、よう来てくださった」


「お初にお目にかかります、グルン帝国のゼスト-ガイウス-ターミナルでございます猊下」

「ベアトリーチェ-ガイウス-ターミナルでございます」

(トトです!お菓子が好きです!)


「ここには誰も居らぬ、お二方楽にされよ。トトはお菓子がお好きか……すぐに用意しますからな」



…………なんだって?

隣のベアトも目を丸くしている


「どうなされた?ああ、トトの念話が聞こえるのが驚きましたかな?」


ニヤリとするガーベラ教皇は続ける


「ラザトニアの小僧から何も聞いておりませんか?」


…………ラザトニアの小僧?

ポカーンとしている俺達をからかうように、トトにお菓子を出しながら言った


「やれやれ、ガーベラに押し付けたか……あのイタズラ小僧め。ベアトリーチェ殿もあんなのが祖父では苦労したじゃろ?」

「お、お祖父様とお知り合いなのですか?」


「ええ、知っていますとも。あの小僧のおしめを替えた事も有りますわい。ふふ……それが孫を持つようになるとはのぅ。ああ、楽にされよ」


動揺しながらも座る俺達

これはただの旅行じゃ終わらないな……


「さて……何故トトの念話が解るのかと、ラザトニアの小僧と知り合いの理由……ですかな?聞きたいのは」

「ええ、教えていただけるなら」

「お聞きしたいですわ」


トトを撫でながら教皇はニッコリ微笑んだ


「もっと気軽に話してくだされお二方、ガーベラは身内のようなものですからな」

「……は、はい」

「身内……?」


何なんだこの婆さんは……何が言いたいんだ?



「ラザトニアの小僧とガレフ坊やは、今代の守護者ですからな……ガーベラはよく知っていますとも」



……守護者?……辺境伯と養父が?

何を言っているんだ?



「そしてトトの念話が聞こえるのは、ガーベラも精霊だからです。解りませんでしたかな?」

(うふふ、トトはすぐわかった!だってガーベラ優しい匂いだもん!)



ガーベラ教皇が……精霊……


あまりの驚きラッシュで言葉が出ない

ベアトは完全にフリーズしている……俺も固まりたいよ


「ゆっくり説明しましょうとも……守護者のこと……そしてガーベラのこと……同じ精霊を持つお二方には知っていただきますわい」


トトを肩に乗せた教皇は微笑みながら続ける


「時間はありますからな、慌てることはなかろうて。…………それに…………」



トトを下ろして真面目な顔になる

ゴクリと唾を飲み込む俺達に教皇はしっかりと見詰めながら告げた



「ブラジャーを先にいただかないと、心配で話が出来ませんな」




真面目な顔で自分の胸を揉むババア


…………もう…………手遅れでは?


そのセリフを飲み込み、俺は盛大にため息をついた

ベアトは白目になっていたが仕方ない……そっとしておこう

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