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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第二章 帝国の剣
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88 異世界の知恵

「新婚旅行をしていなかったな……」


「……新婚旅行?何ですかそれは」

(旅行だからお出かけですか?お父さん)


乳布事件の後片付けをメイド部隊に丸投げしてから数週間後のある日の昼下がり、俺はふと口にした


結婚してから三人で過ごしたのは少しだけだ

戦争が始まり単身赴任で、ツバキのゴタゴタがあったしな……

この世界には新婚旅行の概念がないようだが、家族でゆっくりしたいし……


「新婚旅行っていうのは、新しく家族になった二人で仲良く旅行するんだよ。ああ、今回だと三人だな。あとは思い出を作るって理由もあるね」

「楽しそうですね!あちらの風習なんですね?」

(トトも行けるんですか?みんなで旅行は初めてです!)


「そうだね、向こうでは一般的だな。もうベアトは安定期だろ?なら旅行は大丈夫だよね?」

「はい、大丈夫ですよ。ゼスト様」

(トトも安定期です!)


…………絶対解ってないだろうトトを苦笑いしながら撫でてやる


「なら、ライラック聖教国にでも行ってみるかい?人気の観光地らしいじゃないか」

「そうですわね。一度は総本山の大聖堂を見たかったですし、綺麗なところだと有名ですもの」

(大聖堂?トトも見たいです!)


おお、好感触だな

女性に人気の観光地ランキング上位なだけはあるな、アルバートもたまには役に立つ

後は日程だけ調整すれば…………


「閣下、ご歓談中失礼いたしますニャ」

「ああ、かまわないよ。どうしたカタリナ」


「はい。あの事件……ではなく、宴の後始末が完了しましたニャ」

「そうか、ご苦労だったな。その……残念だったな」


「あの乳布は欲しい人同士で戦った結果ですニャ。諦めましたニャ」

「まあ、お手伝いのご褒美だから皆に権利は有ったからなぁ……元気出せよ?」


一礼して部屋から出ていくカタリナだが、最近はやはりテンションが低い

よほど乳布が欲しかったのか……偽物だけどな



あの館を半壊させた事件は『宴』という事になっている

乳布の奪い合いから始まり、主家の館を半壊させるなど外聞が悪いなんてレベルじゃない

だから『宴の最中の些細な事』にしたのだ


「うふふ、宴ですか。宴の最中の些細な事故なら仕方ありませんわね」

「ああ、精霊が居る公爵家だからこその理由だけどね」

(あのガラガラ面白かったです!またやりたいです!)


「トト、やめなさい……お前の魔法が一番被害が大きかったんだからな?」

「そうよトトちゃん。メッですよ?」

(……ごめんなさいです)



そう……あのカタリナとメディアの一騎討ちは賭けの対象になり、皆で楽しんでいた

そして興奮してきた黒騎士達とメイド部隊が何故か戦いを始める

脳筋だからな、仕方ない


更に興奮は高まり、ツバキが乱入するがメイド部隊にボコボコにされて帰ってくる

ここまではまだ良いんだ……辺境伯家と同じく『模擬戦に身分なし』を実践している公爵家ではよくある事だ


だがツバキにいいところを見せるとトトが乱入した



……世界は核の炎に包まれ…………たりはしなかった

精々、クレーターが一つ出来た程度だ……死人が出なかったのは奇跡だな


さすがにベアトも驚いて……いなかったわ


『主家に子供が出来て興奮した家臣が戦い始めて被害が出るのは、辺境伯家では当たり前ですが?』


何を驚いているのかと首を傾げるベアトに驚いたよ……

いろんな意味で辺境伯家はやっぱり怖いわ


まあ、それでカタリナとメイド部隊に任せたのだ『宴』の後始末を

トトも手伝う予定だったから作業はサクサク進むだろうし、元は乳布の奪い合いだからな


それに館に被害を出したのはトトだけじゃないからな、止めはトトだけど……


「しかし……カタリナがあんなに強いとはな」

「ええ、中々の武技でしたわ」

(ニャーは強かったです!)


「最近は訓練に誘われて大変そうだけど、大丈夫かなぁ」

「本人も楽しそうですから、大丈夫ですわ」

(ニャーは強いから大丈夫です!)



ベアトのお腹を撫でながらそんな会話をしていると、時間が過ぎるのはすぐだ

仕事を片付ける為に執務室へ向かう



落ち込み気味のカタリナをチラチラ見ながら仕事を片付ける

どうにかしてやりたいな……旅行の調整もして欲しいけど言える雰囲気じゃないからな


何か良い手段はないかな…………


「カタリナ…………」


「なんですかニャ?閣下」



「…………ブラジャーって作れるかな?」

「ぶらじゃあってなんですかニャ?」





「ドワーフの技師を集めるニャ!武器なんか作ってる場合じゃないニャ!」

「メイド部隊!総員全力で手伝ってきなさい!」

「わいやー?とやらを作る金属を集めなさい!今すぐ!」



怒号が響く執務室……この世界でブラジャーが誕生する第一歩はこうして踏み出された



「りょ、旅行に行っても良いかな?ブラジャーは任せるから」




「「「どうぞどうぞ、ごゆっくり!!」」」



旅行は簡単に許可が出ました

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