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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第二章 帝国の剣
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87 妊娠のお祝い品

「あ、赤ちゃんが出来たのか?」

「ふふふ、はいゼスト様」

(おめでとうございます!お父さん、お母さん!)


「たたたた、大変だ!メイド部隊は医者を……いや衛生兵?それなら私でいいのか?いや、女性の衛生兵を!」

「落ち着いてください、ゼスト様」

(あはは、お父さん面白いです!)


「はっ!?ベアトは寝てなくて良いのか?動いて大丈夫なのか?」

「ゼスト様、妊娠は病気ではありませんよ?大丈夫です」

(お父さん、子供が産まれるのは初めてなんですか?つくるのは上手なのに)


「「…………」」


トト、やめてください……ダメージが大きいから


仲良く真っ赤になった俺達は、今度からは周りをよく確認しようと誓った


「おめでとうございます閣下、男子であれば是非私が守役を!」

「いえいえ閣下、メイド部隊こそ守役に相応しいかと」

「閣下、諜報部隊が必ず一人前に……」

「あらあら、私が守役ですわ!」


メディアは駄目だろ……勘弁してくれ

何故か守役をめぐり戦いが始まった脳筋達を無視して手紙を書く

事ある度に手紙を出さないといけないんだよな

日本なら電話かメールで済むのに異世界の面倒な手間だよ


手紙を書き終わり少しは休憩を……と、思うがそうはいかない

都の貴族達がお祝いの挨拶にぞろぞろやって来るのだ


「おめでとうございます閣下、これで公爵家は安泰ですな。私にもちょうど幼子がおりまして……」

「ははは、めでたい事だ。まずは祝いの宴の準備かな?卿も出席するだろう?」


なんとか取り入ろうとする貴族達をかわしながら挨拶をこなす

下手に発言したら約束になりかねないからな、注意しないといけないんだよ


「養父上、養母上のご懐妊おめでとうございます!」

「……ありがとうツバキ。何故、敬礼してるんだ?」


「はっ!皆様のご指導であります!」


「脳筋達を呼んでこい」



すっかり武人らしくなったツバキの挨拶に、ちょっと頭が痛い

あいつらは何を育てたいんだよ


ベアトに報告したら『まあまあ、小さな頃は私もやりましたわ。懐かしい……うふふ、幼い頃にはよくありますわ』と、笑われた

普通は白馬の王子様に憧れるんじゃないのか?自分が馬に乗って暴れまわるのはおかしいだろう……


こっそりカタリナにも聞いたが、誤魔化された

『私は生まれが貴族じゃないから解らないですニャ、でも奥様がおっしゃるなら正しいですニャ。むしろ逆らう意味がないですニャ!』

…………その通りだから仕方ない


そうだ異世界なんだから姫騎士が居てもいいじゃないか、と自分に暗示をかけて悩まない事にした

女の子らしくの定義は様々だからな……公爵家流だからで押しきろう



ようやく挨拶ラッシュも終わり一息ついた

執務室で休憩中なのだが酷い惨状にため息が出る

山のようにプレゼントが積まれているのだ……


「カタリナ、目録が出来たら好きな物を持って帰っていいからな?」

「ニャ!?頑張りますニャ!」


プレゼントの目録作りに駆り出されたカタリナが気合いを入れた

あまりの数だから誰から何を貰ったかさえ解れば処分しないと仕事にならないのだ

お返しもしないといけないんだよな…………

生地や宝石、酒や武具はまあ解る

だが、片方しか無い靴とか中古の肌着とかも混じっていた


これは……喧嘩を売られているのか?

首の無い人形を放り投げながらカタリナと手伝うメイド部隊を眺めていると、大変な事に気が付いた


しゃがんで作業しているのだ……スカートで……



さりげなくイスに座る角度を調整しながら徐々にずらしていく

慌ててはいけない


細心の注意をしながら身体を沈めていく

角度はもう少しだ……もう少しで見える筈だ……


これは覗きではないのだ、部下達の仕事を多角的に見る為の行為でありやましい気持ちは少ししかない


ようやくたどり着いた楽園を頭の中に焼き付ける

ダイレクトに見るのもいいが、チラチラ見えるのはまた格別な喜びが有るからな


バレないように足をツネって、痛みで顔がにやけないようにしながら仕事を見守る

気が付くと作業は終わり夕方になっていたのだった


…………ふぅ、素晴らしい楽園だったな


余韻にひたりながら紅茶を飲む俺にカタリナが報告する


「閣下、終了しましたニャ!これを貰っていきたいですニャ」

「ああ、好きに持っていってかまわない…………」


…………なぁに?ソレは?

怪しげなオーラを撒き散らす謎の布切れを持っている

あんな恐ろしげなモノが欲しいなんて……いやいや、あんなモノをプレゼントした馬鹿は誰だよ……



「この胸がおっきくなる布は初めて見ましたニャ!伝説の巨乳が着けた幻の乳布ですニャ!!」



その後、幻の乳布をめぐり戦いが始まった

館を半壊させ巻き込まれた黒騎士達が積み重なる中、カタリナとメディアの戦いは三日三晩続いた

激戦の末にメディアが勝ち、乳布事件は幕を閉じたのである



「…………お前達の給料から引くからな?」



ガレキを片付ける半泣きのメイド部隊に俺が告げている頃、メディアは乳布を大事そうに握っている


「閣下、これで私も巨乳ですわ……やりましたわ……」


そう言いながら血だらけで倒れているメディアが握る乳布

俺の鑑定魔法には『ふんどし とても臭い』と見えているとは結局言えなかった…………

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