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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第二章 帝国の剣
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86 淑女のたしなみ

「ツバキお嬢様、気合いです!」

「そんな事では淑女になれませんよ」

「まだ500です!あと500回素振りですよ!」

「はぁはぁ、うおりゃああああ!」


…………


「カタリナ……外の騒ぎは何だ」

「ああ、メイド部隊が淑女のたしなみを指導してますニャ」


「……そうか」


最近の淑女は気合いを入れて素振りするのか

女性は強いからな、仕方ない

逆らうと面倒だから任せよう



ツバキの気合いを聞きながら執務室で書類仕事だ

師匠が辺境伯領地に帰って居ないからカタリナと二人きりなんだよな……

これは……チャンスかな?

パパっと仕事を片付けてカタリナを見る

良くやってくれているし見かけは美少女だし文句無いな


「カタリナ……そろそろ……アレをしようか?」


ビクンと反応する彼女

仕事を中断してこちらを恨めしそうに見る


「……またするんですかニャ?私は……その……」


真っ赤になっているカタリナに近付きなるべく優しく話す


「カタリナだって嫌じゃないだろう?」

「……うう、ズルいですニャ」


カタリナと二人で隣の部屋へ移動する

誰にも見付からないように……



だが、アルバートは見ていた

仲良く二人きりで部屋に消えていくのをハッキリと

そして彼は報告に走る


「ベアトリーチェ様、ゼスト閣下がカタリナと部屋に消えました」

「……まあまあ、お仕事かしら?」


「その……アレをすると言って部屋に消え、中からは汗の匂いと激しい息づかいが……」


アルバートの無駄に発達した嗅覚は信用出来る

シスターの匂いを嗅いだりと変態のような行いもするが、嗅覚は信用出来る


すぐさまベアトリーチェは愛用のバルディッシュを片手に走り出した

そのバルディッシュは黒騎士達の武具と同じ漆黒の武器で『死神の斧』と領民に親しまれている彼女の相棒だ



湧き上がる怒りを抑え気配を殺しながら部屋に近付く

焦っては証拠を押さえられない


「カタリナ……もう少し速く動くよ?」

「ニャ!?こ、これ以上速いのはっ……ムリで……すニャ」


部屋から漏れる声に魔力が膨れ上がる

これはアウトだ

バルディッシュで扉を破ると一気に部屋に飛び込んだ



魔力を身に纏い仁王立ちするベアトリーチェが目にしたもの

それは仲良く手を繋ぎ抱き合うカタリナとゼストだったのだ


「……何を……していますの?」


「「ダンスの練習だ(ニャ)よ」」


「「「…………」」」




「そろそろカタリナもきちんとした貴族にしたいけどダンスが出来ないと駄目だろ?」

「閣下に教わってますニャ、速いのは難しいですニャ」


「…………ダンス…………」


「ベアトは……どうしたんだい?」

「ベアトリーチェ閣下は……バルディッシュで何をするニャ?」



「しゅ、淑女のたしなみを練習……ですわ」



真っ赤になって走り去るベアトを見送ると、アルバートの悲鳴が聞こえてきた

淑女のたしなみを練習したんだろう

深く考えない事にして俺はダンスの練習を続けるのだった



「そろそろ終わりにしようか」

「あ、ありがとうございましたニャ……」


いい加減に疲れたので今日の練習は終了だ

カタリナも足がカクカクしている

慣れないとこうなるよな……俺もなったから懐かしいや


「大変でもダンスは必須だから、頑張ってくれ」

「は……はいですニャ……」


疲れはててるカタリナを置いて自室に帰る

『反省中』と書かれた紙を貼り付けたアルバートが廊下に正座しているが目は合わせない

あの字はベアトだからな

俺は関わらないぞ、怖いから



ベアトとトト、二人と一緒に風呂に入る

背中を流してくれたりやけにサービスが良いな……

風呂からあがり、食事を済ませた後もベアトはべったりだった



(お母さん、今日は発情期ですか?)

「「……アルバートか(ね)?」」


(はいです!)


アルバートの正座は明日の朝までになった瞬間である

またトトに余計な知識を与えたようだ

しっかりとトトに教育をしてから寝かしつけたよ、余計な手間をあの駄犬め……




その後、ベアトと仲良くしてから眠りについた

明日も頑張ろう

隣で眠るベアトの頭を撫でてそう思いながら俺は眠りに落ちていく




朝、目が覚めて二人に挨拶をして身支度を整える

執務室に行き気合いを聞きながら仕事を片付けてカタリナのダンスの練習をする

そして夜は二人とイチャイチャしながら眠る



そんな平和な日々が続いていたある日、それは突然やって来た






「ゼスト様、出来た……みたいです」

(お母さんはお母さんになるんだね!良かったです!)


…………俺はお父さんになるようです

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