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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第一章 帝国黎明期
8/218

7 結婚相手

ラザトニアじいさんの孫娘と結婚……

うん、確かに言ってたよなじいさん


「あ、あのぉ閣下。結婚……ですか?」


流石に聞き返した

それはそうだろう、いくらなんでも想像以上だ


そもそも結婚なんて普通に無理だろう?相手は貴族様だ


「嫌なのか?」

「嫌ではありません!」


やや、食い気味に答えた

じいさん真顔だったんだよ……


「なに、直ぐにではないぞ?流石に勇者というだけでは身分がなぁ……じゃからのぅ、まずはワシの部下の養子になってもらう。その後に賊に襲われた孫娘を助けたお主が相思相愛で結ばれる。どうじゃな、美談じゃろ?」


……ああ、筋書きはそうなりますか

勇者とお姫様のベタな恋物語か


「それで、最初は反対する閣下だったが領民や部下達、そして孫娘と勇者に乞われて寛大なお心でお許しになると……」

「ふぉふぉ、最近は民を無視した政策はなかなかやりにくいでなぁ。隣国にちょっかいを出すにも金も掛かるしのぅ」


楽しんでそうで何よりだよじいさん


「販売するとしたら勇者とお姫様の姿絵。二人の恋物語の本ですかね?そして利点は二人の仲を認め、お許しになった寛大で公平な辺境伯閣下への民の称賛。異世界人ですら差別しないとの証明…領地の盛り上げと隣国への圧力ですか?」


ニタァ


ひいっ!!だから怖いよじいさん!


「まさか隣国に工作するからと税を集める訳にはいかんからな。大義名分は必要じゃて……まあ、民よりそこまで徴収しようとは思っておらぬが……」


「配下の貴族達からのご祝儀ですか?…いや、力を削ぎたい者でもおりますか?」


うわぁ、じいさん満面の笑みだよ……


「はっはっはっは、良いのぅ!良いのぅ!息子もお主くらい切れればのぅ!あやつはどうも謀には向かぬ、頼もしい婿殿じゃ」


夢に見そうな笑顔である……勿論それは悪夢だ


「まあ、そのような段取りで進めていく。だからワシは婿殿を大事に我が一族に迎えたいのじゃよ。婿殿の為にもな」


解るだろ?そう言いたげにこちらを窺う


「後ろだてと居場所を与える代わりに、お姫様を悲しませるな…そうですよね?私が急病にでもかからないように」


実際はお姫様を悲しませるなじゃなく、お姫様をたらしこんで俺が必要になってもらう

じゃないと子供さえできたら俺はお払い箱になる可能性がある

血が繋がらない俺ではなく孫娘の血を引いた俺との子供

それが本命の辺境伯当主候補だろう


ちなみに急病にでもってやつは高位貴族のお約束だ

死んだとか殺された、なんて発表しない


急病の為に静養中で空気の良い田舎に移送した


こうなる

勇者として、英雄として祭り上げたんだ……殺したなんて言えない


2~3年療養でその後看病のかいなく死亡、でも幼いながらも子供が居て跡取りの心配無いね!

子供が成人まで奥様が代理だよ!みんな英雄の為にも協力してね!


ほら、問題ないだろ?


はぁ……ヤバいよなぁ……むしろ俺は邪魔なんだよなぁ……


「ふぉふぉ、そんなに心配せずとも良い。異世界人は魔法の才能が有るらしいからのぅ。優秀な魔法使いは貴重じゃて」


安心するべきか……魔法の才能が無ければ要らないと言われたと取るべきか……


「まあ、今日のところは疲れたじゃろう。ゆっくり休むと良い。何か有ればメイドが控えておるから声をかけると良い。明日からは師匠について魔法の練習とこの世界の勉強をしてもらうからの」


そう一方的に言い切るとじいさんはさっさと立ち上がり出ていこうとしたのだが、ドアの前でふと振り返った


「ああ、最後に一つ言い忘れたわ」

「は、はい。何でしょうか?閣下」


そしてじいさんはあの悪夢のような満面の笑顔で語る







「ワシの孫娘はのぅ……そりゃあ可愛いんじゃよ。ワシにそっくりじゃと評判の孫娘じゃからのぅ」








……やっぱり安心出来ない

死ぬ未来が見える

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