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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第二章 帝国の剣
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76 猫耳文官誕生

「カタリナですニャ、よろしくお願いしますニャ」


元気よく頭を下げて挨拶する幼女猫獣人

文官として働かないか?と打診すると、喜んでこう言ってくれた

家族は無く一人だそうだ

獣人狩りが有ったのだ、孤児は珍しくない


早速、同行させて帰る事になるのだが……


「まあ、ご挨拶上手ね。お菓子食べる?」

「わぁぁ、フワフワですわ」

「カタリナちゃん、御姉様って呼んでみて」

「こんなかわいい子供を産みたいわ」


……メディア、産めないだろうがお前は


都に帰る道中は、カタリナを可愛がるメイド部隊によるピクニックとなっていた

それで無くても戦力過多だからな

盗賊の100や200では相手にならないだろうし



順調過ぎる移動が終わり、正式にカタリナを文官として扱う為に師匠がテストをさせる


「ゼスト、今すぐ文官に任命しよう。今すぐにだ」


やや涙目な師匠の許可もおりて働き始める


計算は得意、と言っていたカタリナは俺や師匠よりも速くて正確だった

『これなら仕事量が半分になる』

師匠と意見が合った瞬間であった



一月も働けば、カタリナはすっかり主力になる

脳筋達は彼女に頭が上がらなくなっていた


「何で毎回訓練所を壊すニャ」

「いや、あの……すいません」


「お酒は経費じゃないニャ、却下だニャ」

「そこをなんとか!」


「こことこれが間違いニャ、これは……こうニャ」

「おお、ありがとうございます」


「ニャ?ソニア様、密林商会って何ですかニャ?アルバート様から経費の申請が……」


「密林商会……ああ、酒場を経営してる商会だね。お姉さんがお酌をしたり……カタリナは知らなくて良いよ」

「アルバート!何処だアルバート出てこい!俺と師匠に黙って行きやがって!!」



アルバートの使い込みがバレて軽く修羅場にもなったが仕方ない


カタリナの能力が解り、皆も納得した頃合いだし騎士爵を与えておいた

何しろ爵位が余っているからな

投げ売りはしないが出し惜しみはしない

まずは騎士爵、そのうち男爵にでもして俺の腹心になってもらう予定だ


そしてその祝いのパーティーで事件が起こる


「ニャ?私は21歳ですニャ、お酒も飲めますニャ」


身長140cm程度で幼児たい……スレンダーな彼女は

まさかの大人だったのである


いや、確認しなかったけどさ


これに食い付いたのは野郎達である


「良かった……俺は正常だった……」

「だよな、妙に色気が有ったもんな」

「……合法だな」

「見て愛でるものだ!違うのかお前らは!」


一人紳士が混じっているのが不安だが……あいつは要注意だな


カタリナにはファンが多くいるのだが、皆は揃って『我が子のようにかわいい』と言い訳していたのだ

幼女が好きだと叫ばれたら斬る自信が有るからな


貴族は若くして結婚は確かに有る

だがそれは政略結婚だからで、わざわざ幼女を選んだら変態扱いである



だが大人だと解れば話が違う

しばらくカタリナは告白の嵐を味わう事になったのだった……


アイドルの握手会のように執務室に出来る長蛇の列


そうなのだ……

普通の女の子に野郎達は餓えていたのだ


メイド部隊のような男らしい女では無く、守ってあげたいタイプ

黒騎士達以外に大人気だった


「は?女はメイド部隊のような戦士じゃないと駄目だな」

「触ったら壊れそうで無理」

「かわいい?伴侶は力だ!力で選ぶものだ!」

「俺に勝てない女は興味ない」


これが脳筋達の理屈である

正直理解出来ないが納得するしか無い

メイド部隊は喜んでいたが、女の子として喜んで良い内容なのかと問い詰めたい




だがカタリナフィーバーも二ヶ月もすれば下火になる

まあ、そんなものだろう


ようやく落ち着いたカタリナは仕事を頑張っていてくれる

うんうん、なかなか順調じゃないか

文官はやはり偉大だな



フラれた野郎達もズルズル引きずらないで彼女に接していたし

文官だから……平民出身だからと侮る奴も居ない

当たり前だ、平民出身で馬鹿にしたら漏れ無く黒騎士と喧嘩だ

そんな勇者は居なかったようで安心である


仕事も順調

漁業も始まったし、街道も整備した


完璧じゃないか、我が領地は



仕事が少なくなった執務室で、師匠と優雅に紅茶タイムである

最近はゆったりする余裕が出来たからな



まさに貴族らしい優雅な時間

だが、それは師匠の言葉が終わらせる



「……そういえば婿殿、ツバキ皇女殿下に手紙とか出してるよね?最近はどんな様子なんだい?ベアトと仲良くやって行けそうかな?」

「…………」


「ははは、隠さなくても良いさ。貴族に政略結婚は付き物だよ、恨み言じゃなくて興味だよ」

「…………」


「婿殿?」

「師匠…………手紙とか出してません…………」


「…………」

「…………」




「「…………え!?」」




ツバキ皇女をスッカリ相手していない事が判明した瞬間である

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