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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第二章 帝国の剣
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70 再び戦場へ

「ふぉふぉ、良く来たのぅ婿殿。ベアトも久しぶりじゃの。元気であったか?」


「もちろんですわ、お祖父様こそお身体の具合はいかがですか?」

(トトも居ますよ、おじいちゃん)



俺には見せない優しい笑顔で、辺境伯が迎えてくれる

トト、辺境伯の肩に座るの怖くないのか?お前凄いな……


俺は自領地の兵を集めて砦に向かうのだが、辺境伯領に立ち寄りベアトを預けていく事にしたのだ

今回の作戦には辺境伯は参加しないからだ


勿論、師匠や養父は参加するが国境を守る辺境伯領を空には出来ない

それで領主が城に残る事になったんだ


留守番にされた辺境伯は面白くない、まだまだ若い者には負けないと豪語しているのだから

それが…………


(おじいちゃん、これおいしいです!)

「そうかそうか、たくさん有るからのぅ」


目を細めてトトを撫でていた……小さいベアトのようなトトには激甘である


「もう、トトちゃんあまり食べたら夕食が食べられなくなります。程々になさいね?」


「ふぉふぉ、大丈夫じゃよな?さあ、果実水を飲みなさい」

(ありがとうございます、おじいちゃん!)



孫を甘やかす馬鹿爺になっていた……安心して任せられるよ、確かに


ベアトとトトが居るこの城に辺境伯が立て籠る

想像しただけで寒気がする……孫馬鹿の辺境伯が、笑いながら敵兵を蹂躙するだろうからな



「では、ベアト達をよろしくお願いいたします。ベアトにトト、行ってくるね」

「はい、いってらっしゃいませ。ご武運を」

(お父さん、いってらっしゃいませ)


ベアトを抱きしめると、トトも一緒に付いてくる

小さな身体を使って頭にグリグリ抱き付いていた


「ああ、必ず帰ってくるさ。ベアトのところに……」


頬が赤くなったベアトにキスをして部屋を出た

絶対早く終わらせて帰ろうと心に決めて



「アルバート、出るぞ」

「はっ!全軍、行軍開始!」


砦に向かって進む

まずは直轄軍と合流だな




行軍すること4日、砦に到着した

歩兵も連れて来ているからな……速度は遅い

だが今回は占領戦だ、兵士の数が必要だから仕方ない



「ゼスト公爵閣下、お久しぶりですライザであります」


砦から出てきた騎兵にそう言われた

立派な甲冑姿の大男……青い髪……ああ、青い髪のあの人か


「久しいなライザ伯爵、いや直轄軍、総軍団長殿」


陛下の直轄軍2万の総大将だ

青髪のライザ伯爵、40歳くらいだったかな?

若い頃から武人として有名で、子爵だったが陛下に認められて伯爵になり直轄軍を任された優秀な男


陛下の懐刀だな


「ライザで結構です閣下、まずは砦でゆっくりなさってください」


「いや、会議を先にしてしまおう。時間をかけてターミナル王国が盛り返して来ても困るからな」


黙って頷くライザに先導されて砦に入る

すぐに会議だ、なるべく早く動きたいからな


会議で決まった事は

『ターミナル王国の侵攻は総大将はライザで直轄軍主体で行うが、後詰めとして俺が後から付いていく』

こうなった

直轄軍の出番を作って欲しいのと、さんざん砦で暴れた俺には大人しくしてろってところだ


ターミナル王国は主力軍がやられたばかりだから楽勝だろう

俺が後詰めしなくても大丈夫そうだが……


ま、陛下にも言われてるから気楽に付いていこう



その日は砦に一泊して、次の日の朝から行軍を始めた


ターミナル王国の国境はすぐだが、王都までは10日くらいはかかる筈だ

しばらくは遠足だろうな……



案の定、それから3日たつが敵の姿は見えない

途中いくつかの村や街を通ってきたが兵士が見当たらない


住民に話を聞いたが、一時ボロボロの兵士が逃げて来ていたがそれ以来はまったく見ていないと言う


放棄したのか?

そこまで追い込まれているのか王国は


斥候を増やして行軍速度を早めた



それでも敵兵が出て来ない……ちょっと不気味だな

いくらなんでもおかしい……何かあったか?



その答えはターミナル王国の王都にたどり着いた時に解った







「ゼスト公爵閣下に申し上げます!王都は白旗が立っておりますが開門せず応戦態勢、しかし降伏をしたいと使者が来ております!」





これは罠なんじゃないか……

そう思っているのは俺だけじゃないだろうな

だが、続いて告げられた言葉に余計に混乱させられる








「使者は現在の王都代表を名乗る獣人男性!降伏の条件としてアルバート卿に降伏したいと申しております!」






「…………クーデターか」

「……はっ、恐らく」


普通に落とすより面倒そうな会談に出席するしかない……

やれやれ

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