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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第一章 帝国黎明期
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6 決められた期限

俺の居ない部屋でそんなやり取りが有ったとは知らずに指切り騎士に付いていく


庭園は昔見たヨーロッパの見事なものを思い出す素晴らしいものだった


緑の絨毯に色とりどりの花が咲き誇り、通路は御影石のような石が敷かれて整備されている


「綺麗だなぁ」


思わずそう呟く

いきなりこんな事に巻き込まれたが綺麗な草花を見て感動するのは当たり前だろう


「うむ。この庭園は我等が辺境伯家の誇りだからな」


指切り騎士も機嫌が良さそうだ


「ところでいつまでも騎士殿とは呼びにくいのですが、お名前を伺っても?」


「……ガレフだ」


「ガレフ殿、解りました。改めてよろしくお願いいたします」


「ああ」


そんなやり取りをしていると屋敷に着いた

白い大豪邸いや、大宮殿といった趣だ


中に入り少し歩くとガレフさんが一つのドアを開けた


「ここを使え。直ぐにメイドが来る。彼女らの指示に従うようにな」


「ご案内、ありがとうございました」


俺が入るとガレフさんは居なくなった


先程までとは違い、かなり豪華な一室だ

少なくとも直ぐに俺に危害を加えようとするようなつもりが無い

それがハッキリと解る待遇だろう


コンコンと軽いノックの音がする


「失礼いたします」


部屋に入って来たのは赤毛のお団子頭の若い女性で、メイド服がよく似合う可愛らしい子だ

特別美人・美少女というわけでは無いが、不細工でも無い

まあ、普通って感じか


「お客様、湯の準備が出来ましたのでこちらに」


メイドさんに案内されて風呂に向かうと風呂はなかなか広くて豪華なものだった

何日ぶりなんだろうか……この世界にいつ来たのか解らないがともかく初の異世界風呂だ

のんびり浸かろうと思ったのだがメイドさんに綺麗に洗われてそれどころではなかった


いやぁ、気持ち良かった

実に気持ち良かった


普通に洗われただけだが、やはりサッパリするし良い匂いもする

潔癖症ではないが清潔にしたい気持ちは強い


恥ずかしかったけどな


洗ってるメイドさん達が


「何あれ?腕?足?」「うわぁ、おっきい」「あれは…キツイかも……」

とか言っていたが、俺は聞こえなかった……聞こえなかったんだよ!


仕方ないだろ!おっさんなんだから!

若い女性に洗われてそうなるのは仕方ないだろ!


「では、こちらでお待ちください」


若干、頬を赤く染めた最初のメイドさんにお礼を言って大人しく部屋で待っている

身体はサッパリ、服も新しいものを着た

先程までとは違いやや豪華な服だ


だが、やはりパンツはなかった……

パンツが無い世界なのかなぁ……



パンツの重要性をどう説明しようか考えながら紅茶を飲んでいるとドアが開く


「待たせたかのぅ」


ラザトニアじいさんだ


「いえ、湯をごちそうさまでした。サッパリさせていただきました」


「うむ。では軽く食べながら話そうかの。ああ、作法は気にせんで良い。話が優先で構わぬよ」


その言葉を合図にメイドさん達がテキパキとサンドイッチや焼き菓子を並べる

準備を終えるとメイドさん達は出て行った


うん、美味しそうだ


このじいさんと二人きりで食べないなら最高だったのに……


「それでじゃな。これからの勇者殿の予定なんじゃがな?」


サンドイッチを置いてゴクリと飲み込む


「一年。一年間で魔法をしっかり使えるようになってもらう」


「は、はい。閣下」


「心配ない。優秀な師匠をつける。一年有ればそれなりの使い手になる筈じゃ」


一年間か……その間に力を付けて、この世界を学ばなければな

この計画に協力するにしろ、逆らうにしろ力が必要だ

そして、知恵も知識も必死に詰め込むしかない

死にたくなければ……


今は協力的なこのじいさんもいつ敵になるか解らない

メリットが有るからこそ協力的なのだろう

ならば、俺が味方で居るメリットを増やさなければならない

メリットが多ければ捨てられるリスクが減らされる……


「はい。閣下のご期待に添えるよう、頑張ります」


そうだ、俺は死にたくない

死にたくないなら努力しなければ……ありとあらゆる努力を

少なくとも、自分の身を守れる程度の力を得るまではと決死の覚悟でそう告げる


だが、返ってきたのは予想の斜め上の言葉だった






「はは、そう固くならんでも良い。ワシの可愛い孫娘の婿殿じゃ、閣下などと呼ぶな婿殿」









俺は結婚するみたいです、この狸爺の孫娘と……


死ぬんだろうなぁ、俺は……

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