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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第二章 帝国の剣
67/218

66 決着のとき

次の日、俺達は魔法を温存しながら防戦していた



朝からワラワラ攻めてくるターミナル王国軍


昨日あれだけ派手に魔法を撃ち込んだからな、今日はもう使えないだろうと思ったのだろう


その勘違いを利用する



朝からの猛攻は終わらない

攻めてくる兵の怒声、味方の鼓舞の大声が入り雑じる


時間はもう昼を回ったか


辺境伯と師匠は軽く魔法で応戦していたようだが派手な音は聞こえなかった

我慢してたんだろうな


その時に備えて俺達は身体を休める

仲間達が作ってくれた時間で少しでも身体を休ませる




「閣下、合図です」


アルバートがそう告げた



「行くぞ!目指すは派手な赤い旗だ、脇目をふらずにそれだけ目指せ!」


「閣下に続けー!」

「「「「「オオオオオオオオ!!」」」」」




門が開かれ、一斉に俺達は馬を駆けさせる



「一番槍はもらいますよ、閣下!」


そう告げて俺を追い越して突っ込む一団


「ハハハハ、戦場で馬を駆けさせ一番槍をつける!ああっ、こんな日が来ようとは!かかれかかれ!!」


槍を振り回しながら突撃していく

その一団は敵兵士を軽々退けながら進んで行く


「アルバート、奴等は張り切ってるな」


「……はっ」


沸き上がるのは敵兵の悲鳴だけ、一団は無人の場所を駆けるように進む

一切乱れの無い突撃に敵兵は何もできずに槍で倒されていく



「……メイド達、頑張ってるな」

「こえぇ、メイドこえぇ」

「……メイドって何だっけ?」



そんな呟きが黒騎士達から漏れるが気にしない



「お前達、メイド達に手柄をとられて良いのか?褒美に婿が欲しいと言われたら俺は断らないぞ?」



「メイド達に負けるなオラ!」

「おい!あそこだ突っ込むぞ!」

「メイドに食われるぞ、早く行け!」



…………気合いが入ったようだし良いか


そして俺達はたどり着いた

派手な赤い旗、王族の旗の下に


フルプレートを纏った騎士が並ぶ本陣、だがその程度では止まらない


「ハハハハ、騎士を見付けたぞ!手柄だ!手柄が居たぞ!」

「メイドに先を越されたぞ!?」

「ボーッとすんな、早く突っ込め!」

「メイドに食われたくない!食われたくない!」



俺はたまに向かってくる討ち漏らしを片付けながら待つ

もう勝ったようなものだからな

昨日の爆撃魔法で精鋭と呼べる敵兵は殺してある

数もかなり減っていたしな、逃亡者も多数居たようだし……


何人目かの兵士を斬っていたとき、声が上がった




「敵総大将、王族を討ち取ったぞぉー!!」



「「「「「「オオオオオオオオ!!!!」」」」」」




合図の魔法を打ち上げる


よし、砦からも合図が来たな



「これより掃討戦を開始する!予定通りアルバートに続け!」


そう指示を出して俺は数人を連れて砦に帰る

あとは逃げ惑う兵を軽く追いかけて終わりだからだ


「閣下、王族を討ち取った者が来ました」


「ああ、誰がとったんだろうな」



首を刺した槍をかついで騎兵がやって来た

兵達から歓声が上がっている…………悲鳴も上がってるな




「閣下、敵王族を討ち取りましたわ。証拠の短剣もこちらに」


「……良くやってくれたな、戦功第一はおまえだろう。砦に一緒に戻るぞ」


「はいっ、ありがとうございますぅ!」



そう言ってニコニコ笑う可愛らしいメイド……

討ち取ったのはメイド部隊の隊長の一人だった


血だらけのメイド服で槍をかついだ可愛らしい女の子が戦功第一か……

俺の軍は何処に向かっているのだろうか……




軽い目眩をおぼえながら砦に入り会議室に向かう


「戻りました皆様」

「し、失礼いたします」


会議室に入ればいつもの面子だ


「おお、ゼスト卿さすが噂の戦乙女達じゃ。見事なものじゃのぅ」


「ええ、貴族の子女で固めた騎兵隊とは考えましたね」


「ガハハ、辺境伯軍にも作るか?」



相変わらずの家族達だ……


「彼女が王族を討ち取ったメイド部隊のメディアです」


一礼して首と短剣を差し出す


「うむ、短剣の家紋は間違いなくターミナル王国の王家のものじゃな、名はわからんか?」


「はっ、名乗りはあげませんでしたので不明です」


「そうか、解った。よくやったな、ゆっくり休むが良い」



そうしてメディアは会議室から出ていく



「さて、作戦はうまくいったのぅ婿殿。後はゆっくりと休むが良い、とりあえずこの一戦は我等の勝利じゃ。直轄軍が到着するまではもう少し時間がかかる」


「ガハハ、細かい事後処理は我々がやるから休め休め」


「そうですね。大魔法を連続で撃ち込んでいるんです、ゆっくりしてください婿殿」


「…そうですね解りました、さすがに私も疲れました……少し休みますね。失礼します」



一礼して自分の部屋に帰る


鎧を外してベッドに倒れ込んだ



奇襲作戦は確かに俺が提示したし、部下達はよくやってくれた


長期戦になる前にチャンスが有ったから勝てた

俺の魔法を警戒して連日攻めて疲労を溜めさせる戦法をとられたら危なかったしな

奇襲で勝てて良かったんだ


俺が倒さないで、部下が倒したのも良い

魔法でドン引きされたがあの突撃奇襲でメイド部隊が目立ったから、俺への奇異な視線も和らぐだろう


良い事だらけだ…だが……













「閣下、褒美に婿を探していただきたいです!わたし一人娘ですから婿養子でお願いいたします!」









メディアにねだられた褒美に頭を抱えていた

……誰を生け贄にしようかな……

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