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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第二章 帝国の剣
66/218

65 固定砲台

「本日の作戦は一つじゃ、ゼスト卿が大魔法を撃ちまくる。撃ちもらしをワシとソニアが撃ち、それでも近寄る敵はお主らが防げ……以上じゃ」


実に解りやすい

素晴らしい作戦です辺境伯……





「なあ、敵が居るんだよな?」

「ああ、ゼスト卿が撃ってる辺りに居るだろうな」


ドーーーーーン


「……あの辺だろうな」

「……そうだな」



「「暇だな」」


ドーーーーーン



「ゼスト卿、半端じゃねーな」

「まだ余裕みたいだよな、何か叫んでるぜ?」

「…………ゼスト卿、半端じゃねーな」




砦の兵士達の出番は無かった


1人でひたすら敵に魔力を撃ち込み続ける英雄たる公爵に、兵士達は心から呆れていた

まだ余裕なのか……閣下1人で倒せるんじゃね?と…



だが、現実はそこまで甘くなかったのだ……





「ほれ、次じゃゼスト卿」


「…………よっしゃあぁぁ!」


気合いを入れないと倒れそうだ……溢れそうになる魔力を抑えながら練り込んでいく

一瞬でも油断すると魔法が発動しないのだ……

慎重に魔力を操作する……よし、行けっ!!


ドーーーーーン


予定地点に着弾したな、魔力がゴッソリ抜け落ちる……膝が笑いだしたか

叩いて感覚を取り戻し、なんとか踏ん張る

魔力の消費も有るが体力や精神力…いや、集中力かな

どんどん減っていくのが解る

これは…………キツすぎる…………




「ゼスト卿、あそこにもお願いしますね」



「…………おらあああぁぁぁ!」


畜生が、簡単に言いやがって……

再度魔力を練り上げて、爆発する力をイメージしていく

魔力を圧縮して圧縮して圧縮しまくる

両手が光り始めるがまだだ

更に強く、更に小さくなるように押し込んで……できた!

あそこだな、行けっ!!


ドーーーーーン


よし、成功……だな……ヤバい……意識が飛びそう……

何だ?口に何かが…………息が出来ないっ

飲まなきゃ死ぬっ!?


なんとか……飲み干したな



なんだ?地面が隣に有るな…ああ、寝てるのか俺は……


ゆっくり立ち上がり頭を振る

大丈夫だな、なんとか意識がハッキリしてきたぞ


「ゼスト卿、次はあそこかのぅ」



「………………よっしゃあぁぁ!!!」





その日は辺境伯と師匠が指示する場所に魔法を撃ち込む簡単なお仕事を頑張った……

いくらなんでも疲れたわ…

爆発するような範囲魔法は尋常では無い魔力を使った


普段の強化魔法や治療の10倍以上魔力が必要だな

実際、魔力切れを何回もおこして

その度にメイド部隊が回復薬を俺に無理やり飲ませる拷問のような1日だったわ


拠点防衛なら余裕


確かに拠点防衛なら、だな


こんな魔法を外で連発したら、囲まれてサヨウナラだ

燃費が悪すぎる……


タポタポのお腹を庇いながらメイド部隊が部屋に運んでくれた

ありがとう

その一言も出ない疲労具合だ


そのまま気絶するようにベッドに倒れ込む

メイド達が冷たいタオルで身体を拭いてくれる

ああ、気持ち良い、ありがとう


そう言いたくても、口を開くのも億劫だ


もう、爆発魔法は使わないようにしよう…………


心から思う

周りから見たら楽そうに見えるのが駄目だ


これは…………例えじゃなくて死ぬ…………


身体を拭き終わりメイド達が出ていく


後でお礼をしておこう、これで気持ち良く寝れるな









「敵襲!!敵襲!!敵が夜襲を仕掛けて来たぞーー!」



ブチッと、何かがキレた音が聞こえたよ


「……………………上等だよ。寝かせない気か」


妙なテンションになってる俺は飛び起きた




「敵は何処だああぁ!叩き斬ってやる!」


「ガハハハハハ、ゼストは元気だな!行くぞ!」



「閣下達に続けーー!!」





「昼間あれだけ魔法撃ちまくって夜襲には剣で暴れてるぜ?」

「ゼスト卿、半端じゃねーな」



「この程度で夜襲なんかしやがって!二度と夜襲なんかするに気にさせるなよ!」




「……剣も化け物だな」

「騎士団長並みだな」

「……味方で良かったよ」

「俺、剣と蛇の旗だけには逆らわないわ」

「「「……だな」」」






ようやく夜襲してきた馬鹿を蹴散らし部屋に帰ると


にこやかにメイドが待っていた




「閣下、会議の時間です」


ですよね…………


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