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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第二章 帝国の剣
64/218

63 国境の戦い

「斥候部隊は先行させたな?補給の準備は?」

「はっ、既に辺境伯城から武具を運びだし運搬中です」


馬を全力で駆けさせながら干し肉をかじる


「脱落者は?」

「ありません、現在まで予定の騎馬1100騎脱落者なし」


水袋から浴びるように水を飲む



出発から2日目


俺達は辺境伯領に入り物資の受け渡し場所へ急ぐ

予定では辺境伯城に寄ってから国境へ向かう筈だったが、予想より城に兵力が残って居たのだ


その兵士達を使い物資を運搬して最短距離で戦場へ向かう

これならあと2日…いや明日には間に合う



寝ずの強行軍、普通なら脱落者続出だろう

だが、辺境伯流の訓練に耐えた兵士達はついてくる



合流地点で一旦夜営だ、これ以上は戦場に近すぎる


「ゼスト閣下、斥候が戻りました」


黒騎士が元冒険者の兵士を連れて来た


「報告いたします、辺境伯軍は健在。国境砦にて籠城中」


とりあえずホッとした……大丈夫だ間に合う

まだ落ちていないならやれる


「ターミナル王国軍はおよそ2万、本陣に王家の旗が有ります」


……王家が出てきてるのか、捕まえるか


最悪は死んで貰うか、いやなるべく捕虜にしたいな…

駄目だ、考えがまとまらない


「ご苦労だった、周辺に敵影は無いな?」

「それはありません、防衛線は維持されております」


「解った、休んでくれ」



斥候を下がらせたらアルバートを呼ぶ


「アルバート、メイド部隊は先に寝かせろ。万が一、他の兵士がメイド達の側に行ったら殺せ」

「はっ!」


「布陣は中心に天幕、近い順にメイド達、黒騎士、兵卒だ。元冒険者は外部で寝かせろ、夜営に慣れているから敵襲に対応出来るだろう」

「辺境伯軍はいかがしますか?」


「奴等は周辺警戒だ、最前線には連れていかないから此処でこきつかえ。お前達も早く寝ろよ、明日は決戦だからな」

「はっ!了解いたしました」



アルバートが早足で天幕から出ていく




横になればすぐに寝てしまう……次はいつ寝れるか解らないからな



辺境伯軍の用意した温かい食事をとり出発だ


完全に疲れがとれた訳では無い

だが戦うのに問題無い程度は回復したな



その日の夕方に到着した

辺境伯軍が立て籠る砦に、見渡す限りのターミナル王国軍が布陣するその場所に



「報告いたします、辺境伯軍は3000で士気旺盛。物質も問題ありません、兵1万で1月は籠城可能との事」


なるほど、なら博打は必要無いな


「解った、諸君!これから砦に入るぞ」


その言葉が理解出来ない兵士達はポカーンとしている

黒騎士達はニヤニヤ笑っていたが……お前らは解るよな



「諸君!これから敵軍の後ろから突撃、真っ直ぐ砦に向かう。心配するな、私と黒騎士達が先陣だ。ついてくるだけだ、簡単だろ?」


「やっぱりな」

「だと思ったんだよ」

「か~、敵中突破とか燃えるな」

「おい、閣下の前に何人砦に入るか競争な」


いそいそと準備をする黒騎士達


「よし、声はまだ出すなよ?後ろからあのボンクラ共のケツを蹴りあげるからな……ただ真っ直ぐ砦に向かうんだぞ?逸れたら味方に矢を撃たれるからな」




そっと林の中を進む

夕方だから間もなく攻撃を終えて引き上げる

そんな時間帯だ



黙って手を振り馬を駆けさせる

アルバートと黒騎士達がすぐ後ろに続く



敵の最後尾まで200メートル…奴等は気が付かない

魔力全開で100本の光の矢を浮かべて降り注がせる




「な、なんだ…なんで後ろから魔法が……!て、敵襲、敵襲!」


何人かの兵士が慌てて声を上げるが遅い

光の矢をもう一度打ち込む


「さあ、奴等は大混乱だ!一気に走り抜けろ!」


「「「「「「オオオオオオオ!!!」」」」」」




俺は先頭で馬を駆けさせながら、片っ端から光の矢を撃ち込む

魔力はタップリ有るんだ、嫌って程撃ち込んでやる


魔法が着弾すると兵士の身体にめり込み、半分程まで刺さる

貫通はしないのか…なら


俺は光の矢をなるべく上から斜めに降らせる

魔力を込める度に生まれる100本の光の矢

もう、何回打っただろうか



軽く息が上がってきた頃、砦から俺達の回りに矢と魔法が飛び始める

はは、良く解ってるよじいさん


「そら、援護射撃が来てるぞ!逸れたら味方に殺されるからな?ついてこい!!」


突然の奇襲と援護射撃でターミナル王国軍はまったく連携がとれない

俺は密集している場所に光の矢を撃ち込みながら馬を駆けさせる





もう少しだ

もう少しで砦だ……




前方から歓声が上がる

砦まで500メートル



「そのまま来い!」

「頑張れ!あと少しだ!」

「おい、弓を早く射て!」



味方の応援に応えるように、周りの黒騎士達の武器が激しく振り回される


あと少し


砦の門が開いていく


おい、早すぎる!これじゃあ敵が雪崩込む……




「ガハハハハハ、息子を迎えに行ってくるだけだ!お前達は遊んでおれ」


「騎士団長に続け!!」

「「「「オオオオオオオ!!!」」」」



養父ガレフが槍を振り回して突撃してくる


……無事だったんですね、養父上





養父上率いる黒騎士達が突撃した隙に俺達は砦にたどり着いた

やれやれ、まさか突撃してくるとはな

助かりましたよ、養父上


…………恥ずかしいから言わないけど





たどり着いた砦に入る俺達は歓声で迎えられる

さほど広くない砦だから見渡せばたくさんの兵士達がこちらを見ている……

さて、やらないとな……やらないと駄目なんだよな


気が乗らないが仕方ないよな……


養父上に案内されてお立ち台に登る

援軍の将による挨拶だ


士気を上げる為に、気の利いた事を言わなければならない

……はぁ……仕方ないよな


諦めて気合いを入れて、堂々と言い放つ











「待ちに待った時が来た。数多くの英霊達が無駄死にで無かった事の証明に、再びグルン帝国の理想を掲げる為に、辺境伯領防衛の為に!戦友達よ、私は帰ってきたぞ!」



うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!





大成功だった……

うん、パ……オマージュしました、ごめんなさい

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