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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第一章 帝国黎明期
56/218

55 馬鹿貴族

店の外から響く怒鳴り声



まさかこの状況で絡んでくる馬鹿が居るとは……

呆れながら外に出る



「何を騒いでいる」


アルバートを睨み付けていた男がこちらを見る


20代だろう若い貴族風の男だ

やや小太りなテカテカした顔の奴だ


「なんだ貴様は、こやつらの代表者か!どんな教育をしている」


俺の黒軍服を見てそう言ってるな、こいつは


「確かに私はこいつらの代表者だな、それで?」


威圧的に言ってやる

この手の馬鹿は久々だな


「はんっ!口のききかたを知らんと見えるな、これだから騎士程度は嫌なのだ。こんな下品なものを護衛にしているとは……」


言え、言ってしまえ


「辺境伯も噂ほどでは無いな。こんな奴等の親玉に嫁ぐ皇女殿下がおいたわしい……」



偉そうにまだ講釈を続ける馬鹿1号

もう良いかな



「それで、お前は誰なんだ?忙しいんだからさっさと言え」



もうこいつを処分する理由が揃ったから名前を聞く

棺桶の送り先を聞いておかないと困るからな



「私を知らないとはさすが田舎者よ、冒険者ギルドの次期総長で男爵たるこの私をな!」


言って胸を張る馬鹿1号


……冒険者ギルド?


「……冒険者ギルドの次期総長?男爵?」



これには正直驚いた

こんな馬鹿に男爵がつとまることと、次期総長にしようとしている冒険者ギルドに驚いた




「わかったらそこをどけ、騎士程度が男爵に逆らう気か?」


そう言ってニヤニヤとこちらを見る

アルバートは騎士だからな、確かに男爵相手に無理が出来ない


直接命令が無ければな


「アルバート、アレを簀巻きにして冒険者ギルドとやらに行くぞ。やれ」

「はっ!」


あっさり簀巻きにされる馬鹿


「きっ、貴様ら!こんな事をしてどうなるかわかっているのか!」


「アルバート、やかましいから何か口に詰め込んでおけ」

「かしこまりました閣下」


アルバート、石はやめなさい石は


お前結構我慢してたんだな……黒騎士達もさりげなく爪先を踏むのを止めてやりなさい


地味に痛そうだな……



汚物を見る目を馬鹿に向ける女性達と馬車に乗り、冒険者ギルドに向かう


いや、始末しても良いんだが冒険者ギルドがこの手の馬鹿ばかりならついでに掃除しておきたいし

幼いツバキ皇女の前であまり血生臭いのも教育に良くないからな



時々、馬車の後ろからバキボキ音がするが気にしない


「これから高位貴族と会う機会が増えますから、アルバートは出世させてはいかがですか?ゼスト」


「今は騎士なのですか?それだとアルバートと遊べないです」


二人に言われて考える


そうだな、アルバートには何だかんだ仕事をさせるから出世させるか


「陛下に爵位をいくつか自由にして良いと渡されてるから、アルバートの結婚に合わせて出世させるか」


(正式にお父さんのペットにするですね、あの駄犬)


トト、アルバートに厳しいよな





公爵の俺がいきなり冒険者ギルドに行ったら大変な事になる

しかも皇女が同伴となれば尚更だ


黒騎士の一人が先触れに向かっているから、大丈夫だろう


だが、まともな人間なら発狂レベルの大事件だけどな




冒険者ギルドに到着した

ベアト達は馬車に待たせる

黒騎士達が回りを固めてるから問題無い



馬車から降りると、冒険者ギルドがこの馬鹿をどう思っているのかがよく解る状態だった








「公爵閣下、誠に!誠に申し訳ございませんでした!」



そう言って土下座しているのはガタイの良い男だ

彼がギルド長なんだろう


その後ろにはギルドの職員だろうか

女性も混じって土下座中である



良かった、冒険者ギルドはまだまともらしい

と、言うよりあの馬鹿が例外なんだろうな


「あの者は貴族の権力で冒険者に無理やりなったあげく、我が物顔で振る舞い。我々も難儀しておりまして……」




そういう事らしい


貴族に逆らうのか?と冒険者になり、無理やりメンバーを勧誘しては揉める

更には次期総長に自分をしろと脅して来ていたらしい


典型的な馬鹿である



話を聞いてるとかわいそうになってきたよ……

冒険者ギルドが……




そうか……そうするか




「話はわかった、では私から指名依頼を出そうじゃないか」



腹を切って詫びると騒ぐギルド長を職員が数人ががりで止める中

俺は彼らに提案した







「指名依頼は城の練習場での模擬戦、相手はあの馬鹿者だ。心配要らない、私の依頼を受けるだけだ」


ポカーンとする一同


「奴は断らないさ、私が直接言い聞かせる。好きなだけ仕返し……ではないな、模擬戦をすると良い」



「よっしゃあぁ!新しい斧買ってくるわ」

「公爵閣下、最高だぜ!」

「おい、依頼はしばらく受けるな準備しろ」

「槍だ、槍買って来い!」

「歯は?歯は抜いたらダメかな?」



大喜びの野郎達


だが、心配している者もいた



「けど、貴族様にそんな事したら後が怖いぜ?」

「あいつ執念深いしな……」



ああ、それか



「心配要らない、あやつは処刑が決まっているんだよ。皇女殿下の前で公爵閣下を侮辱したんだ、死刑だな。君たちは死刑囚と模擬戦をするだけだよ」


そう言ってニッコリ笑うアルバート

当たり前だ、よりによって皇女の前であれをやったら無理だ

死刑確定である





「「「「「武器買いに行くぞ!!!」」」」」







その日、帝都の武器屋から在庫が無くなる程売れる

珍しい事件が起きたそうだ……

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