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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第一章 帝国黎明期
52/218

51 トイレが無いならコップにすれば良いじゃない

大歓声が響く中、トトがプルプル震えている……




今からトイレに行く?

無理だ、間に合わない……



我慢させる?

それこそ無理だ、限界らしい様子だ……



俺は急いでカップの紅茶を飲み干す


「トト、仕方がない。これを使いなさい。俺達が時間を稼ぐから、ゆっくりすると良い」


爽やかな笑顔でカップを差し出す


これを人間にやったら捕まるだろうが、相手は精霊だから問題無いよな?

無いと言ってくれ……



怯えながらベアトを見る


大丈夫そうだ、真剣な顔でウンウンと頷いている


(わかりました、頑張ります!)


何を頑張るのかは聞かない

世の中には知らないで良い事が有るからな




トトを部屋に残してテラスへ向かう




俺達が姿を表すと、一段と歓声が大きくなる



テラスの下には数万の民衆

そのすべてが俺達を注目しているのだ


なかなかの迫力だな


なんとか笑顔を作りながら手を振る


ベアトは……さすがだな

見事な笑顔で手を振っていた

貴族のご令嬢だけの事はある



少しすると、トトが浮かびながらやって来た



その笑顔はまさに慈愛にあふれた女神のようであった


実際はおしっこして、スッキリしただけであるが……

黙っておこう…………





しばらく笑顔で手を振る作業を続けてお披露目は終わりだ


陛下と共に控え室に帰る



「やれやれ、ようやくこれで一段落だな」


ドッカリと座った陛下が紅茶を飲む

よほど喉が渇いていたのか一気飲みだ

…………そのカップは…………陛下専用だったのか…………


俺達もイスに座るとメイドが紅茶を用意してくれた


「午後からは謁見の間で敘爵式だからな」


紅茶をおかわりした陛下に言われる


「御意」

「御意」


二人で頭を下げる


「よせよせ、公爵閣下。もう少しくだけろ」


ニヤニヤしながら新しく用意させた紅茶を一口


ん?何を首かしげてるんだ陛下は




「んんっ、まあこれからは公爵だからな、また親戚でもあるんだ。頼りにさせて貰うさ。領地については辺境伯と相談して決める。辺境伯領地の一部と直轄領の一部を合わせて渡すから、そのつもりでな」


「かしこまりました、陛下」

「はい、陛下」


「ふふ、ベアトはまだ堅いな。ああ娘の一人だベアトで構わんだろ?」


イタズラっぽく笑う陛下

ベアトも苦笑しているが嫌ではなさそうだ

戸惑ってる感じかな?

トトはマイペースに紅茶をゴクゴク飲んでいる……また出るよ?




そうしながら雑談していると、ドアがノックされて宰相が入って来た



「ご歓談中、失礼いたします陛下、両公爵閣下」


そう言って頭を下げた


「ああ、そろそろか。ゼストにベアト、俺は先に宰相と話が有るから行くがお前達はゆっくりしていろ。後で迎えを寄越すからな」


バンバン俺の肩を叩きながら、宰相を伴い出ていった

陛下は忙しそうだ

偉い人はイスにふんぞり返っていれば良いと思っていたが違うようだ




メイドに確認すると、ここに昼飯を用意してくれるそうだ

そろそろ良い時間だからな


ベアトとトトと遊びなから時間をつぶす


最近のお気に入りはあっち向いてホイだ

負けるとこちょこちょ付きだ

勢いでベアトの胸付近を触ってしまいポコポコ叩かれるのもまた良いものだ




昼飯を食べ終わり、ベアトはトトを連れてトイレだ


また我慢出来ないと言われたら困るからな




ちゃんとトイレですませてご機嫌のトト

さすがにカップは嫌だったようだ


それはそうだ

精霊が羞恥心をいだくのかは微妙なところだが、部屋の中でカップにおしっこなどしたくは無いだろう




(お母さんにしてもらいました!似合いますか?)


そう言って、頭のリボンを見せてくれる


「似合ってるよトト、かわいいね」


ムフーと胸を張る

ふふ、本当にかわいいな



そんなかわいいトトを二人で頭を撫でていると、メイドが迎えに来た


「そろそろお時間でございます。ご用意をお願いいたします」


メイドに大丈夫だと伝えて出発する


敘爵されたら今日は終わりだ

もう少しだな、頑張るか


……街でお土産も買わないとな






皆に買うお土産を悩んでいると謁見の間に着いた


この扉の向こうは陛下と貴族達が待っているのだ

よし!



気合いを入れ直して門番の兵士を見て頷く



ゆっくりと扉が開かれていく
















(そういえば、私が使ったカップを陛下のおじさん飲んじゃいましたね)















衝撃の念話が響く中、豪華なイスに座る陛下が見えてくる…………


俺とベアトは笑いを堪えるのに必死になっていた

笑ってはいけない謁見の始まりである



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