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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第一章 帝国黎明期
51/218

50 出来たのは誰の子?

目が覚めたらメイドに「出来ちゃった」と言われても

まったく対応出来ません……



「お、おはよう。何が出来たんだ?」



我ながらヒネリも何もない一言だが仕方ない


「おはようございますゼスト様、その……子供が出来まして。それで……」


赤い顔でモジモジしながらも説明してくれた



メイドの話では、彼女は男爵家の令嬢でメリル……行儀見習いとして宮殿でメイドをしている

黒騎士の誰かが彼女を口説いて強引に部屋に連れ込まれチョメチョメいたした

初歩的な光魔法で確認したらおめでたです

どうしたら良いか解らず、黒騎士を束ねる俺のところに来た


こうだった


…………誰だ、こんな事をしでかした馬鹿は!



「それは……今すぐ相手を探しだしてしかるべき処置をする。君には婚約者などはいなかったかい?」


「いえ、行儀見習いの終わるまではと……」


貴族の子女が行儀見習いで宮殿に入るのはよくある事だ

宮殿メイドをつとめたとなれば結婚相手には苦労しない


「そうか、ではそいつをどうしたい?」


「私は結婚して責任をとっていただければ、それで」


大事にはしたくないよな

ふぅ、仕方ない


「わかった、すぐに手配するから君はここでゆっくりしていなさい」



しかし無理やりとか本当かな?黒騎士達は信頼していたんだが……


足早に黒騎士達の詰めている部屋に向かう

一応護衛だからなあいつらは、近くに部屋を用意してもらったんだ



「おい!メリルと言うメイドを手込めにした馬鹿は誰だ!」



ドアを開けるとアルバートが正座していた



…………お前か…………



ドカリとイスに座る


「で?何がどうなったんだ」


周りの黒騎士達は顔をそらす

まあ仲間が不祥事を起こして叱られるのなんて見たくはないよな



「はい、昨日宮殿に帰ったところから記憶が無くて……気が付いたらメイドの隣に寝ておりました……申し訳ありません」





…………嵌められたのかよ!お前は!



キッと、黒騎士達を見ると肩がプルプルしている

お前らもグルかよ


一旦アルバートを下がらせる

かわいそうに尻尾と耳がヘタンとしていた



「お前達、嵌めたな?」



ニヤニヤする黒騎士達の説明はこうだ


あのメイドは辺境伯領の男爵家の令嬢で、以前からアルバートに惚れていた

だが、男爵家とただの騎士であるアルバートでは結婚は認めないと父親が帝都の宮殿に行かせてしまう

久しぶりに再会したメイドに相談された黒騎士達が団結

アルバートとくっつける為に仕組んだ



「お前達なぁ…で、アルバートはどうなんだ?」


「はい、奴もメリル嬢に惚れてましたから問題ありません。よろしくお願いいたします」


ザッと揃って頭を下げる


やれやれ



「わかった、良い話にしてやる。アルバートにもそう伝えておけ」


「「「「ありがとうございます」」」」




まったく人騒がせな……しかし、なかなかかわいいメイドだったな

アルバートめ……イケメンは良いなぁ



若干イケメンに嫉妬の炎を燃やしながら部屋に帰る



メリルとベアトが部屋に居た


「ベアト、来ていたのか。メリル、話は聞いた。任せておけ」


「ゼスト様、メリルから話は聞きましたわ。でもゼスト様を騙すような事を……」

「ゼスト様、申し訳ありませんでした」


ああ、その事か



笑いながらベアトの頭を撫でる

うん、相変わらず気持ち良い手触りだ


「構わないさ、それに罰として与える内容は決まってるからな」


まったく、周到な手回しだよ


「どうせ師匠か義母上の入れ知恵だろ?」


ビクンと跳ね上がるメリル



「今回の罰として、アルバートを筆頭にあいつらは俺の専属にするつもりなんだよ」



そう、あくまでも罰として俺の下に配属される

実際はお目付け役かな?


「だから心配要らないよ、メリルも叱ったりしない。安心しなさい」



しきりに謝っていたメリルだが、妊娠は本当だった

鑑定魔法で確認したからな……野郎いつの間に……

とりあえず彼女はベアトの専属メイドとして扱うように指示を出す

ベアトとも知り合いなんだし、女性付きの方がアルバートも安心だろうからな



そんな手配をしていると、いよいよテラスから国民へ向けてのお披露目だ

迎えに来たメイドに案内されて控え室に入る




ベアトと紅茶を飲みながら出番を待つ

トト、クッキー好きだなお前は……何枚たべるんだよ、太るぞ?



トトが4枚目のクッキーを食べ終わるとメイドが呼びに来た

さあ、行きますか






テラスの前まで来ると、既に陛下の演説が始まっている


演説中の陛下の後ろから屈んでメイドが近付き足にポンポンと触れる

ああ、あんな風に合図してるんだな




「…………である。さて、皆も知っているだろうが精霊化を成した英雄が我が帝国にあらわれた。実に300年ぶりの快挙である!」



ワアアアァー



沸き上がる歓声をゆっくり見渡す

しばらくそうしていた陛下が右手を上げると、徐々に歓声が収まり陛下が続ける




「この喜ばしい快挙に余は2つの褒美をとらせる。1つは公爵として敘爵する事とし、もう1つは皇女ツバキを下嫁させる事とする!皆、あらたなる英雄、ゼストとベアトリーチェ両公爵に祝福の歓声を!!」




ワアアアァー!!




先ほどよりも一段と大きな歓声を受けながら

メイドが身振りでテラスに出るように促す



俺とベアトは頷き合ってから、ゆっくりと歩き出したのだった


















(お父さんお母さん、おしっこしたいです。出そうです)


















やたらクリアに聞こえた念話に、俺達はガバッと振り向いた…………

トト、我慢……は、出来なそうだね……

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