表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第一章 帝国黎明期
44/218

43 婿になれない理由

「ソニア……どんな意味かしら?」



明らかに怒っている義母上


非常に怖いです



「ら、ラーミア落ち着こう…ほら、ゼストが震えてるから」


師匠、震えてるのはあなたです


チラリとこちらを見て確認する義母上

慌てて首を横にブンブン振る


師匠、睨まないでください

義母上の方が怖いですから諦めてください


「ゼストのせいにしないで、ちゃんと答えなさいソニア」


あ、あのゴミクズを見る目はお嬢様にそっくりだわ

親子だなぁ…


「ち、違うんだよ。ベアトと結婚出来ないとは言ってないだろ?」



ピタリと師匠の襟から手を離す義母上


結婚は出来る…でも婿にはなれないね

なるほど

確かにそれが一番……なのかな




義母上も気が付いたようだ



「そう…新しく家を作らせるのね?」


「恐らく陛下はそのつもりだと思うよ」



そう、恐らくそうなるだろう……

でもなぁ……


「でも、そうしたらベアトはどうするのよ!あの子の気持ちは……」


お嬢様が納得するか?そこが問題なんだよな


義母上はうつむいて表情が見えない

師匠は苦い顔だ



「ゼスト、何が言いたいか解るだろ?どうする?」



師匠……そこで俺に振りますか……


どうするか……うまくまとめるには、どうするのが最善だろうか?

考えがまとまらないな……


「師匠、どうも考えがまとまりません。そもそも予想が外れてないか聞いてください」


そう宣言する

俺の考え方が合っているのか、師匠達と同じ結論になっているのか確認したい


「陛下のお考えは、俺が独立して新たに貴族家を立ち上げさせる。そこにお嬢様が嫁ぐ形にする事で辺境伯家とある程度切り離す」


頷く二人、合ってるな


「問題は領地持ちにするかどうか、爵位を正式に与えるかどうかですかね……でも一番問題なのが」


チラリと二人を見る

うん、一番の問題はやっぱりこれだろうな




「「「精霊の影響力が大きすぎて放置するのが危険」」」




やっぱりな……そうなりますわ

三人仲良く溜め息をつく


陛下にしてみたら恐怖だよな


精霊化を成功させた英雄

その英雄が精霊を旗印に皇帝を倒せ!

なんてやられたら目もあてられない


かと言って結婚で皇室に取り込むと辺境伯家と喧嘩だ

さらに中から俺が精霊を盾に皇帝に意見するかもしれない、国が割れますわ



精霊に助けられてもいるが、逆にネックにもなるんだよな……


それで出る結論は一つなんだよなぁ




「ツバキ皇女を臣籍にして公爵にして嫁がせ正室に、ベアトを側室に……ですかね?」




ハァーと、長い溜め息だ…


「そうなるよね」

「そう考えるわよね」


「ですよねぇ」


ハァー……




落としどころはこれだよなぁ


ベアトはどう思うかなぁ……貴族としては問題無いけどな

みんなベアトには甘いみたいだし、揉めるなこれは…




とりあえず、その日は解散になった


これ以上は話しても無駄だ

まずベアトがそれでどう思うか確認してから考えよう


と、なったんだ


ベアトは明日には到着するらしいので、改めて会議だ

気が重いよ



もう一度風呂に入り、ベッドに潜る

寝ている精霊はかわいい寝顔だ


こいつを恨むつもりは無いや


出来る事をやって、前向きに行こう

死にたくはないが……


死にたくはないが、ベアトがどうでも良いとは言えないくらい情がわいたし

いや、好きなんだろうな俺は


だからベアトみたいな精霊を嫌いになれないし、恨めない


甘いのかな…俺は…



そんな事を考えながら眠りに落ちた













「ようやくお目覚めですの?随分余裕ですわね、わたくし待ちくたびれて倒れるかと思いましたわ」

『おはようございますゼスト様、寝顔可愛かったな。久しぶりに会えて嬉しい!』














久しぶりのお嬢様がベッドの脇で、立って俺が起きるのを待っていた……


「ベアト、会いたかったよ」


そう言って抱き締める

ベアトは抵抗もせず、黙って俺に腕を回してくれた……


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ