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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第一章 帝国黎明期
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38 内緒の出来事

ツバキ皇女にさりげなく嵌められた俺はトボトボと部屋に帰る


あれだな、仲が良いアピールしながら皇室との繋がりを強調してあわよくば結婚で取り込むとか考えてるかもな



怖いなぁ、皇族って……

あんな小さいのに腹黒なのかよ……



部屋に戻り風呂に入って忘れよう

宮殿の客用だから部屋に有るんだ、使わない手はない

日本人にはありがたい限りだ


メイドに脱がされて風呂に入る

脱がしてくれるし洗ってくれるし拭いてくれるんだ


確かに恥ずかしいが、意外と慣れる


日本でもその手のお店なら同じ事してくれるしおじさんだから行った事があるが、あれは良いものだった



洗ってくれるのはおば……オネイサンのメイドだ


また睨まれたよ……心が読めますよね?あなた


「……ゼスト様、これでは洗えません。少し失礼いたしますね?ウフフ」


妖しい目付きになるメイド

いやまて、浮気するとピンクダイヤが砕ける

そうなれば非常に不味いのは解りきっている事だ

では止めさせるか?それも少し惜しいような気もするし……


一瞬でグルグル考えが頭を回る

まさかエロで走馬灯並みの出来事が起こるとは、さすが異世界だ


だがエロと命、どちらが大切かと考えたら簡単な事だ



俺はニコリと微笑みながらメイドの頭を撫でる

一瞬ピクリと身体を震わせて目を見開く


「君が素敵だからこうなるのは当然だ、許せとは言わないが我慢してくれ。だが私の方が我慢出来なくなるから少し一人にしてくれないか?」


真っ赤な顔でコクコク頷いて出ていくメイド


それを見届けた俺はじっと右手を見る

彼女の細い髪の感触が残る右手をだ












「ふぅ……人は何故戦争なんてするんだろうな。世界が平和であるのが私の幸せだ、願わくばせめて今夜だけでも人々が幸せな夢を見れるといいな……」


(ご主人様、スッキリした顔ですね。良いこと有ったです?)


風呂から出た俺と精霊は、お揃いのバスローブを纏いながら紅茶を飲んでいた

お察しの通り、今の俺は賢者だ

何でも許せるような気がする


「私にとって良い事というのは、おまえが笑ってくれている事だよ」


頭を撫でてやる

精霊は本当にこれ好きだよな、俺も楽しいからお互い様だが


「さあ、夜も遅い。寝ようか……ご苦労だった、下がってくれ」


「はい、おやすみなさいませゼスト様」


オネイサンメイドの顔はまだ赤い

頭を撫でられるなんて久しぶりだったのかな? きっとやってくれる相手が……止めよう、まだ死にたくない



精霊をベッドに運ぶと俺もそろそろ限界だ、明日は朝から突撃来ないよな?せめて女の子が起こしてくれますように

そう願いながら眠りについた










おかしい


息が苦しい


だんだん意識がハッキリしてくる

何が起きたんだろうか


俺は宮殿のベッドで寝ていた筈だ……


病気だろうか?

違うな、光属性の俺は病気などしない加護が有ると聞いた


襲われた?手足は……動くようだ、両手両足問題ない

ならば縛られたりしたりはしていないな


まだ目は開けないし声も出さない、何かの策略なら寝たフリをして、油断を誘う為だ

魔力で身体は強化してある、いきなり斬りつけられても防げる筈だからな


匂いはどうだろうか?吸い込んでみると、少し甘い花のような香りだ


さては香草で害の有るモノでも焚いたのか?ふふ、俺には効果は無いと知らなかったのだろう……馬鹿な襲撃者だ



はて?なら何で息が苦しいんだ?



目を開くと真っ黒なそれがハッキリと見えた

これか!これが原因だったのか!何て事だ!!




(ご主人様、おはようございます)


「精霊、おはよう。早く鼻から降りなさい、それはイスじゃないぞ」



ボンクラ精霊が鼻の上で鎮座していたのだった……


神様、女の子に起こされたいってこうじゃないです







精霊にもう座らないように説教しながら着替えと朝食を済ませる


明け方に目を覚ました精霊は、着替えを済ませて俺が起きるのを待っていたそうだ

なかなか起きないのでつまらなくなり、遊び始めるが俺がいつ起きるか解らない

起きたらすぐに解るように顔の側に戻って来ると、鼻をイスにしたらよく見えると座っていたらしい……


説教されて泣きそうだった精霊が少しかわいそうになったので

「でも一人で着替え出来て偉かったね、起きるの待っててくれて嬉しいよ」

と、頭を撫でるとすぐにニッコリ笑っていた


……チョロい精霊である



まあ、襲撃じゃ無かったし平和だから良いか

……しかしこいつ良い匂いするんだな……お嬢様と同じような匂いの気がする


いやいや、なんと無くだ

別にお嬢様をクンクンしている訳では断じてない、断じてないのだ



あまりの自分の変態さ加減に少し泣きたくなっていると師匠が訪ねてきた


「ゼスト、騎士団の連中が訓練して欲しいって言うんだけど付き合わないかい?」


ちょうど良い、八つ当たりして気分転換しよう


「喜んでお付き合いいたします師匠」




訓練所に到着するが、一部は夜の宴会用に準備がされていて使えないようだ

それでも1000人以上が動き回っても余裕が有るスペースが空いている

さすが帝都だ、規模が半端じゃないぞ


辺りを見渡しながらキョロキョロしている俺と、それを笑いながら見ている師匠

メイド達も見学したいと付いて来たので精霊は彼女達のオモチャになって可愛がられている

なかなか不思議な一団だ



「おい!女を連れて訓練所に遊びに来るとは何を考えている」


ひときわ豪華な鎧の男に遠くからそう咎められた

ガチャガチャと近付く男だが、だんだん顔色が悪くなり足も速くなる


もはや全力疾走になった彼は俺達の前に来ると、ハァハァ言いながら頭を下げる


「しっ、失礼いたしました。まさか辺境伯家の方とは気が付きませんで……」


「…まあ、上級貴族が訓練所に来るのは珍しいかも知れぬな」


「はい、ですが彼は配慮に欠けているのでは?養父上」


辺境伯家モードの師匠に吹きそうだが我慢する


実際、この程度でガタガタ騒ぐ気は無い

無礼だから手打ちにした

それでも済むのだが、わざわざこの時期にする必要が無いからな


部隊長だと言う彼が頭を下げて謝り続ける

許すのは確定なんだが、あまり簡単に許しても舐められる

様子を見ながら考えていると素晴らしいタイミングで奴がやって来た












「ようやく見付けたぞ!さあ、ゼスト卿!わたしと手合わせ願おう!!」











フルプレートの中から響くこもった声……精霊にポイされた奴である


うん、八つ当たりの矛先はこいつにしようと決まった瞬間である

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