表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第一章 帝国黎明期
37/218

36 皇帝の決断

「き、宮廷魔導士……筆頭ですか?」


しまった……陛下に聞き返しちゃったよ


「失礼しました」


慌てて頭を下げる

陛下の決定に疑問を言う訳にはいかない、下手すればクビだ


仕事を辞めさせるクビじゃない……物理的に首だけになるって意味だ


「良い、よく聞こえなかったんだろ?お前は宮廷魔導士筆頭にする」


今回は助かったようだ…危ない危ない


「御意、ありがたき幸せです陛下」


「ああ、謁見の間じゃないからそこまで堅くなるな。筆頭になれば侯爵扱いだ、もう少しくだけろ」


ワイルドに笑う陛下

じゃあ…とはいかないな、様子を見ながら距離感を掴もう


「ありがとうございます、そのように致します」


「ふむ、まだ堅いがそのうち慣れるか。とりあえず用件は以上だ、夜から宴会だぞ?ゆっくり…は出来ないか。貴族共に捕まるなよ?はははっ」


豪快に笑いながら去っていく陛下に一礼する

宮廷魔導士筆頭か……一気に駆け上がり過ぎだよな……他の貴族のやっかみや、取り入りに気を付けろって意味だな


「まあ、そういう事だ。正式発表はまだだが3日後に宴会が終わったら発表するからな。承知しておいてくれ」


宰相もあわただしく出ていく

いきなり国家クラスの出来事が有ったのだ、忙しいというレベルじゃ無いだろうな……



師匠と二人、屋敷に帰ろうかと思ったのだがメイドから城に留まるように言われてしまう

屋敷に伝言を頼んで用意された部屋で休む事にした



部屋で待つ間に貴族達が来るかと心配していたが大丈夫だった

急に国家イベントが発生してしまったので、それどころでは無いらしい


おかげでゆっくりと休む事が出来る


「しかし、師匠。宮廷魔導士になったら帝都に詰める必要が有るのでしょうか?」


「大丈夫だよ、普通ならそうだけど辺境伯家は例外で免除だね。戦力は前線に居ないと困るからね、宮廷魔導士は元々交代で辺境伯領の砦に詰めるから」


「そうすると、私は砦に詰めない代わりに辺境伯領内に…今まで通りで良いのですか?」


「そうだね、それで合ってるよ」



そうか、それなら問題無いな

肩書きが変わるだけだし


(ご主人様、私にも紅茶ください)


「ああ、熱いからね。気を付けるんだよ?」


小さいコップでチマチマ飲みはじめる精霊


精霊と呼ぶ事にした

他の精霊は見た事無いし交換日記だと頭が混乱するからな、帰ったらベアトと名前を付けるからとりあえずだけど


「ふふ、しかし本当にベアトに似てるね。懐かしいなぁ」


「小さい頃ですか?聞かせてくださいよ師匠」


ニコッと笑った師匠がイスに座り直す



「良いとも、さて何処から話そうかね産まれたときはこーんなに小さくてね壊れそうな儚さで心配したんだけど乳母のおかげかスクスクと大きくなってねあれは2歳5ヵ月の事なんだけど……」




地雷を踏んだらしい……適当に相づちをうちながら、延々と聞き流していた……




「……って言うんだよそれでね……」


……師匠、まだ有るんですか?

さすがにゲンナリして来たな


そこで神といえるタイミングでドアがノックされる


「入れ」

「失礼いたします」


助かった……メイドさんありがとう本当にありがとう

師匠、残念な顔しないでください

もうお腹一杯ですよ


「準備が整いましたのでご案内致します」



案内されたのは城内の一室だ

豪華な調度品で埋め尽くされた食堂で晩餐会ってやつだ


初日は皇室だけの宴、二日目は貴族なら誰でも参加出来る宴で三日目は練兵場での野外パーティー



そんな流れで進むらしい

さっきメイドに聞いたんだがな、早く知りたかったよ


今日の参加者は陛下と皇后だけらしい

皇子皇女も居るのだが、いきなりは参加させないようだ

俺達に対する配慮なのか警戒なのかは解らないが助かる

緊張するから少ない人数なら大歓迎だ



俺達より先に陛下達が待っていた

一応晩餐会の客だから招待した陛下達が先に居るのが当たり前だ


「本日はお招きいただきありがとうございます」


師匠が挨拶し、俺も一緒に頭を下げる


「堅苦しいのは無しだ、座ってくれ」


促されてイスに座るが皇后様に目が行く

20代後半くらいか?金髪碧眼の優しそうな美人だ

陛下と並ぶと絵になるなぁ、イケメンと美人とか反則的な組合わせだ



「皇后のナターシャだ。ナターシャ、ソニアは知っているな?向こうが娘婿で宮廷魔導士次期筆頭のゼストだ」


フワッと微笑んで口を開く


「ナターシャですわ、ソニア卿お久しぶりですね。ゼスト卿はじめまして。そちらが精霊様ね?」


(ご主人様、お辞儀ですか?)


「お久しぶりですナターシャ皇后陛下、だいぶご無沙汰をいたしました」


「はじめましてナターシャ皇后陛下、ゼストでございます。さあ、お辞儀を」


素直に頭を下げる精霊

うん、なかなかかわいいな

行動がイチイチ愛らしいんだよなこいつは


「ふふ、少人数の晩餐会ですもの、ナターシャで構いませんわ。かわいい精霊様ね。お食事は出来るのかしら?」


(ご主人様、食べたいです)


「食べたいんだね、解ったよ。ナターシャ様お願いいたします」



何故かナターシャ様の隣に小さな食器が用意される


「さあ精霊様、ご用意出来ましたわ。召し上がれ」


ニコニコと精霊を見るナターシャ様

チラッとこちらを見る精霊

俺が頷くとパァっと笑顔になって食べはじめる


「まあまあ、本当に可愛らしいわぁ」


うん、ナターシャ様は精霊にハマッたな

しばらくそのままにしておこう


「さて、精霊殿も楽しんでいるようだ、こちらも始めるか」



こうして晩餐会が始まった



正直に言おう


非常に疲れた


食べるスピードにも気を使うし、音も出したらマズイので

料理の味は解らなかった……


仕方ないだろ、日本人なんだから

ナイフとフォークなんてファミレスでしか使った事無いよ




途中からは陛下も精霊にハマッたらしく、注意が逸れたのは幸運だった

それでも疲れた……ガッツリ肉を手掴みで食いたいわ……



晩餐会が終わると、隣の談話室へ移動しそこでお茶を飲みながら会話が始まる


面倒だよな

食事中は話したら駄目なんだ、わざわざ部屋を変えてから話して大丈夫になるらしい



談話室での会話は早く忘れたい



「で、精霊殿は何がもとなんだ?」


「…………交換日記です」


プッ


ナターシャ様、吹きましたね?


「こ、交換日記…か」


陛下、堪えきれてませんよ?


「ベアトと毎日してるものね、ゼスト」


師匠、黙ってください





結局、散々お嬢様との事をからかわれました

顔から火が出そうです





用意された部屋に戻ったのは深夜だ


精霊用のベッドまで用意されていた

城のメイド達、本気出したな


柔らかいベッドに入ると眠気が襲い掛かる

早く帰りたいな

あ、お土産いつ買いに行こうか…


明日考えるか…おやすみなさい…















「ゼスト卿!私と勝負していただきたい!!ゼスト卿~!!!」














朝の目覚めは最悪だった…誰だよ……朝っぱらから……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ