2 ひとりぼっちに
どうも、チビったおっさんです
大丈夫です
バレてないから大丈夫です
どうやら部屋の前で騎士の一人が待っていたようだ
「申し訳ありません。お待たせしたようで」
「いや、気にするな。向こうだ」
騎士が指差した方へ向かう
石で出来た回廊
イメージとしては中世ヨーロッパの城の地下…と、いったかんじか
綺麗に磨かれ滑らかな壁
床にはカーペットだろうか
青い布が敷かれている
電灯?なのだろうか
等間隔に規則的に配置された明かり
日本なんだろうか?日本にこんな城の地下のようなモノを作る組織って事か
それとも海外?
パスポートを使わないで10名程の人間を連れ出せる組織か…
どちらにせよ尋常じゃないな
「あのお、話しても良いですか?」
「駄目だ、黙って行動しろ」
「……解りました」
ふむ
特に怒るでもなく冷静に突き放されたか……
先程の出来事と良い、今の対応と良い
騎士達はプライドが高く、明確な目的が有ると
そして多分だけど、俺達は試されてるか選別されている最中ってところか?
「ところで、貴様は何故最後まで残っていた?」
後ろを付いてくる騎士が尋ねてくる
どう答える?
「そうですね。あなた方が我々に無意味な危害を与える気がないのが解っていましたから、我々の中で指示に逆らう。または無視するような者が出た場合に対応するためです」
「ふむ。続けろ」
「失礼ながらあなた方は二人を殺し血に濡れた剣をお持ちでした。確かに恐怖心でみな指示に従う可能性は高い。ですが、若い女性も居たのです」
「なるほど。恐怖心で錯乱するか呆ける可能性が有るな」
「おっしゃるとおりです」
「危害を加えるつもりはないと思ったのは何故だ?」
「それは我々に何かをさせたい。または出来る者を探している」
騎士が立ち止まる
「危害を加えるつもりはない?違いますね。無駄に危害を加えるつもりはない!ですよね?」
振り返りながら騎士に問いかけ……
あ、
凄い怖い顔で笑ってる……
やらかしたかな?
「ふ、ふふふ…。お前はこっちだ。付いて来い」
お前は……か
こりゃ、皆とは合流出来ないだろうな
暫く歩くと扉の中に騎士が入って行く
部屋は20畳くらい
客室だろうか?家具が備え付けてある
椅子、テーブル、ベッド等
一式揃えてあるか
「先ずはこれを着ろ」
そう言ってズボンとシャツを渡された
パンツは無い
パンツは無い
「それを着たらそのままここで待っていろ」
騎士が足早に出ていく
「ふぅ……」
そりゃ溜め息くらい出る
地震
裸
人殺し
これだけ続いて来たんだ
疲れない筈がない
これからどうなるかな……
あいつらの目的は不明
組織力も不明
ここの場所も不明
死ぬかもな……俺も……
いや、死ぬだろうなぁ……
どう好意的に見ても助かるイメージはわかない
目的も危険な恐ろしいモノなんだろう
ここまで手間を掛けて人まで殺す
ボランティアとか平和貢献じゃないことは確かだ
ソファーに腰を下ろしもう一度溜め息
「はぁ……」
願わくば痛くないと良いなぁ……
そんな事を考えながら水差しを見る
今更毒なんて盛らないだろう……
銀色の水差しでこきたない銀色のコップにつぐ
見た目は普通の水だ
コーヒー飲みたいなぁ……と、ぬるい水を飲みながら
車の中のコーヒーを思い出す
タバコもコーヒーも…もう無理だろうなぁ
ガチャ
ドアを開けて入って来たのは高そうな服を着た老人だった
「貴様が異世界人の勇者候補か?!」
これは……
俺、死ぬわ……多分……