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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第一章 帝国黎明期
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13 お嬢様へ贈り物

恐ろしいお手紙を貰ってしまった……


「おう、その黒い紙はなかなかの闇の魔力だな!ガハハ!」


でしょうね……そんな雰囲気がプンプンしますよ

持っている手がピリピリしてきたし


「お嬢様の魔力をそこまで込められた手紙を貰って、幸せだのう!闇の属性の加護に溢れておるわ!」


養父上、これは呪いと言うのです


「は、はい。早速、お嬢様にお手紙とプレゼントを用意しなければ」


「ああ、我が家に着いたら早速手紙を書くと良い。プレゼントなぁ……宝石の原石なら何個か有るぞ?お主は光属性魔法使いなのだから、それを使って何か作れば良かろう。お嬢様もこんなに想われて幸せだな」


ウンウンと納得しているフルプレート

いや、どちらかと言うと恐くて対策してるだけなんだが……


「では、そのようにいたします。ありがとうございます養父上」



そんな話をしていると、馬車が停まる

着いたようだな


馬車を降りると、立派な洋館が現れた

新しくはないが風格の有る大豪邸だ


玄関を入るとメイドさんがズラリと並び、身形の良いナイスミドルが一番奥に立っていた

彼が執事……いや、家令かもしれないな


「お帰りなさいませ、旦那様」


使用人達が一斉に頭を下げる


「ああ、ご苦労。みな、この男が我が養子になったゼストだ。見知り置け。優秀な光魔法使いだ、ソニアが太鼓判をおしたわ!」


「ソニア様が……」「あのソニア様よね?」「光魔法使いとは……」


そんな声をパンパンと老人の手が遮る


「お初にお目にかかりますゼスト様、私、家令を務めておりますカメルと申します。使用人を代表してご挨拶させていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします」


言ってスッと頭を下げる流れるような所作

見とれるような見事な礼だった


「ああ、カメル。ゼストだ。養父上の名に、我が家名に恥ずかしくないよう励むつもりだ。よろしく頼む」


「はい。若旦那様」


「挨拶はそのくらいで良かろう。ゼスト、夕食までは自由にすると良い。妻もその時紹介しよう。原石もお主の部屋に届けさせる。早くお嬢様にお手紙を書くがよいガハハ!」


バンバン俺の肩を攻撃しながらフルプレートは去って行った


「!?旦那様のアレを平然と!」「今、床にヒビが……」「か、回復魔法をっ!」


うん、フルプレートはあれが平常運転なんだな

心配するメイドに『大丈夫だ』と手を振り部屋に案内してもらう


「こちらが若旦那様のお部屋になります。お手紙の用意は出来ておりますので。原石は只今お持ちいたします」


案内された部屋は今まで滞在していた辺境伯家に比べても遜色ない、いや豪華な部屋だ


命の危険が有るので、急いで手紙を書くとする

まさかお嬢様がヤンデレとはな……


お嬢様に会いに行けなかった理由を書いて謝る


『嫌いなんてなりません大丈夫

可愛いと思ってます本当に

むしろあなたが大好きです』


と、歯が浮きそうになりながら書いていく

くっ!なかなか辛いな、日本でこれを書いたら只の痛い奴だ


血を吐く思いで書き終えた手紙を封筒にしまい封をした

すると、原石が届いたようだ


「失礼いたします若旦那様。今有るのはこちらになりますが、どれになさいますか?」


大きなお盆の上に石が並べてある

俺は何となく、その中から一つを選んだ


「!?で、では、失礼いたします」


何故かメイドは顔を赤くして出ていく……風邪か?


俺が選んだのは透明な石を含む原石だ

それに光魔法をありったけぶちこむ


必死である


死にたくない……お嬢様に殺されたくない

ヤンデレは勘弁してください!それが無ければお嬢様可愛いのに

スタイルも良いし肌は白くてツルツルだし、髪の毛サラッサラだしむしろ好みど真ん中だし……

あれ?お嬢様の事……好き?

好きかもしれない…………大好きだ!届けこの思い!!



何故か後半から趣旨が変わったが宝石が完成した

お嬢様の呪いの効果か?こうなったの……


完成したピンク色の石を可愛い袋に入れて、手紙と一緒に届けるようにメイドに渡す



ふぅ……とりあえずはこれで大丈夫だろう



外を見ればもう夕暮れだしそろそろ夕食か……養母に会う時間だ


集中していたんだな、こんなに時間が経っていたとは

やり遂げた俺は、程よい疲れの中で紅茶をすする


紅茶か……日本ではコーヒー党だったのにな

こうやってどんどんこの世界に馴染んで行くのか


少しセンチメンタルになっていると家令のカメルが呼びに来た

作業中の俺の魔力に当てられてメイドが何人かダウンしたらしい


すまんかった……迷惑を掛けたとカメルに言うと


「滅相もございません、奥様はお喜びでしたよ?」


だって……何で喜ぶんだ?ああ、優秀な魔法使いだからか!








「奥様は『可愛い姪の贈り物の為に必死に魔力を込めるなんて、可愛い息子ね』と、お喜びでしたよ?」








姪?……これから会う養母は辺境伯じいさんの……血を分けた親族……



俺は生き残る事が出来るんでしょうか……




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