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sideエリス 仲間集め1

「なに、くだらねぇ理由だ。ガキどもが知る必要もないほどにな」


ナポレオン師匠は、本当にこの件をどうでもいいと思っているのだろう。先ほどまでの情熱的な様子ではなくやや捨て鉢に見えた。


どうしようかしら。もう少し踏み込みたいけれど、藪蛇になったら怖いわね。

探るチャンスはまだあるはず、ここで焦る必要はないでしょ。時間はまだまだあるんだから。

だから今回は見送ろう。でもいつの日か,聞き出さないとね。


「これより三十分後、ダンジョン攻略を開始する。各員、それまで待機しろ」


この時間を利用して、情報を収集するなり、仲間を集めるなり、武器を手に入れろってわけね。


早速仲間を探そうと動き出したのだが,腰元をぎゅっとつかまれつんのめってしまう。

誰がやったかなんて見当はついていた。


「アリスさん、これはいったいどういうことかしら。後、危ないから急に服を持たないで」

「あっ、ごめんじゃなかった。真の闇の眷属たる我に……ごめん、ごめん、謝るから置いていかないでよ」

「それで、用件は、いったい何」


本当はもう,理由を察してはいるが、本人の口から直接きいたほうがいいわね。


「あの、迷宮探索、一人じゃ不安だから連れてってよ」

「私のほうも、仲間を探してたから、構わないわ」

「ホント、ヤッタ~~……。我と共に歩めることに感謝するがいい」


この子の中二設定、ブレブレだし、めんどくさいし、キャラ定まらないから、さっさとやめるべきだね。


でも、今は言わないほうがいいか、これから集団行動をするんだしね。


「分かった、一緒に行きましょう。けれど、さすがに二人じゃきついわね。あと二人か三人、勧誘しましょうよ」

「あい分かった。では。パーティーメンバーの勧誘を始めようか」

「あのごめんなさい、いったい何を、やっていて?」


十分なやる気をみえたアリスだが、その場から動くことはなかった。

こんなんじゃ仲間なんて集められないわね。

だが、目の前の彼女は、自信満々だった。


「決まっている。イベントが発生するのを待っているのだ。選ばれし存在である我の前には運命のように仲間が導かれるに違いない」

「そんなんいってないで、さっさと誰かに声かけなさいよ。みんな行動を開始しているんだからね」

「今に見ておれ、貴殿が度肝を抜くようなパーティーを、集めようではないか」


今わかった。この人役に立たないと。

一人で何かをする分には、邪魔にならないだろうから、このまま放置しておきましょう。


そう決断した。

だが、結果的に言うのならば、甘かったとしか言いようがないだろう。


「諸君、我が名は、アリス。

今現在、我らはともに歩む,パーティーメンバーを募集しておる。

我こそはと思う勇者よ、我とともに立ち上がれ、さぁ、ともに行こう」


はじめは注目を集目、満更そうではなかったアリスも、圧倒的な静寂の前に打ちのめされていた。

というよりも、涙目になってないかしら、あれ。

不満そうにしていた子を、めんどくさいからほっぽり出した結果がこれか。


予想外にもほどがある。


アリス、あなたとは良い友達でした。

この友情は今後とも変わることはありません。

ですから、これからは一人で頑張ってね。


目があったけど、全力でそらした。だって、そうでしょ、フォローするよりも新しい仲間探したほうが楽なのよ。

けれど、回り込まれた。本人にしたら不安から知り合いのところに向かっただけなのだろう。

本音を言うなら、こちに来てほしくないわね。せっかくのできる女アピールが無駄になるわ。


「エリス~~!」


どこからか、名前を呼ばれた気がするけど、きっと気のせいよ。

さっきから、周囲の視線が痛いわね。私の美貌のせいかしら。

ドタバタと足音が、近づいてきて私を吹き飛ばした。

必殺他人の不利はもうできないわね。


「離して~、離してよ! 無理だから、この状況をリセットなんて。自爆するなら一人で自爆して、私を巻き込まないでよ」


アリスはガチ泣きしていた。

目には涙をため込み、鼻水さえ出ていた。

正直、汚いから、さっさと話してほしいわね。



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