閑話 考察
なろう、大きくリメイクされていますね。びっくりしました。
自分自身を主人公かもしれぬと感じたことはないか。
私は、今、そう感じた。
摩訶不思議な手品、おそらく魔法。を、くらいそうになった。が、未知の現象によって命を救われた。
これが主人公補正であろうか。
むろん、私が本当に主人公であるならばの話だが。
その場合は苦戦はすれど、最終的には勝ちを拾えるはずだ。
そして、確りとした勝利の要因が私の目には見える。
向こうはこの能力がなんであるのか把握していないはずだ。
何しろ、自分自身ですらも、あいまいなのだ。
これで知られているのならば、こちらの面目が立たぬ。
後は、確認のための僅かばかりの時間のみが必要だ。
さすれば、奇襲によって、敵を一網打尽にできる。
ゆえに、障害物となりうるバリアの前に降り立った。
が、どうしてか攻撃が止まる。
人質、余波。ためらう必要などがあろうか?
私ならば、喜び勇み、トリガーハッピーだ。
しかも、ぼろぞうきんに伺いを立てている。
この慎重差はは何だ?
もしや、崩落を恐れた?
否、先ほどまで、追撃する気満々だった。
ならば、別の目的が存在する?
それも、私を殺す、または使役する以外の!
ならば、状況的にバリアが関係する……?
知識がない故、価値などわからぬ、が、いわくありげな品が幾つかある。
異様な雰囲気を放つ本に、邪魔な光を放つ光球、骸骨が身にまとっているのに風化していないマント。
摩訶不思議な物品であり、興味をひかれる。故に、どれもがそれらしく見え……!!
まて、バリアの中の死体はどうして白骨化している。
周囲には、腐りかけの死体が散乱しているというのに。良く見れば、骸骨が収められている結界の周辺には白骨死体が多い気がする。
となれば、この骸骨と、騎士は別口であろうか。
骸骨が儀式場を築き、何らかの理由で死去。後から来た騎士どもがいけにえを捧げ、私が誕生した。
話の筋が通っているようでが、まだ……。
漠然とした、気持ち悪さが這いずり回る。
それに、この思考は本筋ではない。問題はどうして追撃が止まったかだ。故に、今は考える時ではない。
それに、一見関係なさげな考察であるが、本来の疑問に関する答えにもなっている。
ここは、二つないし、三つののグループが結託して作り上げたのではなかろうか。
騎士甲冑どもを中核としたグループと、ぼろぞうきんとかを中核としたインテリ集団。後、場合によっては白骨死体。
ならば、目的、設備、思想。これらに違いがあろうとも不思議ではない。
だから、この状況でも、伺いを立てる必要があった。
最も、初めから問題点を消していけばいいと思わぬでもないが、今回の召喚はイレギュラーなものであった。どこからか、魂が混じりこむなど、
奴らの、予期せぬタイミングで目的が出現したせいというなら、納得できる。
やはりまだ、結論が出せておらぬ気がする。
直観とでもいうべきものが、この問題が大きな意味合いを持っているとささやいているのにだ。
ともすれば、戦う意味合いその物を崩し去るほどの。
が、私が下した決断は、単純なものだ。
この程度の案件、事を進めながらでも、解決できる。
故に、敵を殺す。
お読みになっていただけると分かると思いますが、限られた情報で推理しているエリスの考えには、多くの抜け穴があります。