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何このラスボス臭!! 私主人公のはずなのに!?  作者: kuroe113
吸血鬼誕生編(リメイク後の作品。なので上の迷宮篇とは話が切れています)
17/22

等活地獄(終)

ようやくひと段落です

この光景は先程の焼き直しだ。

盾を手にあざける化け物に、怒りを燃やす僕ら。


だが、立場は逆転している。


左手からは未だに血の滴がこぼれだしている。

それでも眼だけは、ランランと輝いている。

獣のようだが、獣が持ちえぬ人間的な執着心も感じられた。


「何故だ! 何故っ!! 貴様らはむさぼる! 苦しめる! 殺す!! 人の首に首輪をかけるのだ!!」


その咆哮(ほうこう)には、化け物が持つ義憤が込められていた。

的外れだが、それは正気を待たないためだろう。


ならば、彼女も犠牲者だ。

見捨てたという罪悪感から、手に込められた力が僅かばかり緩まった。


騎士たちも同様だ。

同情からではなく、異能を調べるためだろう。


悪魔は、術者の願いに準じた力を持つことが多い。


今回は死者の蘇生であり,最も多いタイプ故に事前情報も豊富にある。

能力は超人的な回復能力や死体の操作、魂への干渉といったところだろう。


だが、生け贄にされた人々の願いによって発現する場合もある。

その場合だと、能力は予測ができないし、中には両方の性質をもつ物もいる。


力の強大さから、最も厄介なタイプではないかと疑念を持たれたのでしょう。


理性なき叫びというものは、願いと強く結びついている物だ。

化け物が発したのは、悪徳に対する怒りと、自由に対する渇望。

どちらも、実験体が死ぬ間際に思いそうな内容であり、僕の罪の証明でもある。


「残念ですが、悪魔よ。僕らにはお前を救う方法などありません。ですから、安らかに眠ってください」


だからこその祈り。その言葉はーーー

騎士から手が離された。

もとから、足が地面についていたために、倒れることなく、ふらふらしているだけ。

絶対安静を心がけるべき状況なので喜ばしいが、問題は、ねっとりとした視線をこちらに向けられていることだ。


「貴様がっ! 貴様等が! 救いを口にするなっ!!」


今にもとびかからんばかりの怒気。

あまりの迫力に、一歩後ろへと下がってしまうが、もう追撃の準備は終了している。


「みんな合わせてくれ。奇襲戦法で行くぞ」


おとぎ話の中でさんざん対決が語られている両者は、緊張を高めあいながらにらめあっている。



「How many miles to Babylon?

 Three score miles and ten.

 Can I get there by candle-light?

 Yes, and back again

 If your heels are nimble and light,

 You may get there by candle-light」


シアノ隊長に対しての関心ゆえだろうか。

勇壮な調べは僕の耳に響いた。


そして、舞台は切って落とされた。


カッ!!


起きたのは光の洪水。

直視してしまった僕の視界はあまりの光量故に奪われた。


そして、光を取り戻した時、目に映ったのは、血の海に倒れ伏す仲間の姿だった。



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