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何このラスボス臭!! 私主人公のはずなのに!?  作者: kuroe113
吸血鬼誕生編(リメイク後の作品。なので上の迷宮篇とは話が切れています)
16/22

等活3

遅くなりました

 ドンッ!! 重い質量がぶつかる音が響いた。


 ---助かった。


 侵攻上に騎士が割り込んでいた。


 構えている盾は陥没し、穴が開いている。

 化け物のほうは弾き飛ばされた。体重差故になのだろう。

 右腕には痛々しい損傷の跡が見え、地面に叩きつけられ数回バウンドする。

 

 だからだろうかーーー


「「おおおおぉぉぉ~~!!」」


 幾人かの騎士が剣を振り上げた。

 彼らは剣を振り落とした。


 僕はこの時ほど癖の恐ろしさを感じたことがない。


 相手は地面にへたり込んだ幼い子供だ。

 故に、剣が到達するのに間が生れる。


 ---わずかな時間をものにしたのは化け物。

 

 繰り出された一撃。

 今度は阻まれることなく、鎧を切り裂いていた。

 威力が上がっている、恐らく何か手札を切ったのだろう。


 それよりも問題は、---脇腹に腕が沈み込んだことだ。


 当然剣は止まり、仲間も慎重にならざるを得ない。


 ニヤリ!! 目の前の化け物が笑った気がした。

 駆け巡るのは既知感。

 この光景をどこかで見たことがある。


 事態は差し迫っている。

 状況を整理するよりも早く、次の瞬間にはーーー


 不安をぬぐい去る銀線のきらめきが走った。


 動きからして、またおとりを使用するつもりだったのだろう。

けれど、その動きは二番煎じだ。だからこそ、対応できたのだろう。


「総員。隊列を組みなおしてくれ。魔法でけりをつけるぞ」


 心臓を狙ったであろう、短剣は大きく動かれた成果狙いがそれ、肩へと向かっていた。

 

 だが、怪物は腕に意識を抜けた。

 もう一方の腕で抑えようとするが、回復しきっておらず、止血すらままならない。

 傷口から血が流れ出るまま……あれ? 前回は時が巻き戻るようだった。


 その光景は回復というよりも修復だが、今回は再生能力に任せるまま。

 ガス欠? 回復の方式が変わった? それとも、、発動条件があるのか? 様々な案が頭に浮かんでくる。

 ガス欠による、回復能力の低下は先ほど指摘したが、それだと方法そのものが変化したことに説明ができない。


 ---このあたりが、化け物の能力の本質に迫る気がします。


 だが、今現在はそれよりも優先すべきことが山のようにある。

 どうして腕を痛めたのか、その答えは鎧でしょう。

 固い金属に腕を差し込み全力でふるった。


 その行為は、原理的に包丁とまな板に近い。

 仮にトマトを切るとする。確かな支えがないまま切るなら、よく熟れたものでも、なかなか切れない。

 けれど、下にまな板があると力が逃げずによく切れる。


 今回は鎧が、包丁とまな板の役割を果たした。


 だが、与えられたのは恩恵のみではない。腕の負傷によって力が入らなかったのか、騎士が化け物の近場に転がたままだ。

 両腕を負傷しているが、首筋に歯を突き立て、顎の力だけで獲物を運び去っていく。

 

 何人もの味方が、止めようとするが、失敗。

 黙々と詠唱を続けていく。

 まだ息はあるが、どうしてかを考えてくると、腹の底が煮えたぎってくる。


 だが、今は考えるべき時ではない。


 複数の詠唱が混在し、常人には耳障りでしかない音の羅列が形成された。

 かくいう僕もまたその一人だ。

 唱えているのは、捕獲用の物。

 攻撃の余波でも、人は死ぬのだ。それを防ぐためにもと考えていたのだが、その思いは見事に外れることとなる。



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