sideシック 愛しい彼女
まだ、リメイク前、残しといても大丈夫だよね。話自体つながっているし。
後、内面での言葉とか結構変わっています。
未だ自身の名を知らぬ少女は、仲間すらいないこの地で、確かな意思を宿し敵に立ち向かわなければならない。
それは騎士団もまた同様だ。
彼らの双肩には民の暮らしがのしかかっているのだから。
だが、そんな中に一人だけ他とは違う覚悟を宿した男がいた。
その男の名は、シック・ネセサン。
この地獄を作り出した男の助手を務めていた人間だ。
☆
その日のことは、今でも胸に焼き付いて離れない、最悪の思い出だった。
もう、ついていけないと、師のもとを離れた。
だというのに、ばったりと出会ってしまった。
心臓が止まるかというほどの衝撃を受けました。
けれど、僕は生き残った。
狂気に取りつかれた師が僕を見逃したのだ。
最後に残った良心のもとの行為だと信じたいですが、僕を信頼していたが故の誤認、正常な思考ができないほど心身が参っていたという選択肢も捨てきることができない。
信じていた人を、信じられないというのは、我ながら最低だと思う。
けれど、それほどまでに、師の暴走は深刻だった。
逃げ出した当時は、準備を推し進めるだけで、最後の一線は超えていなかった。
だが、この光景はどうだ。
まるで地獄だな!
師から離れたらこれだ。
ストッパーがいなくなれば、このざまだ。
彼らの師の責任の一端は僕にもあるのだろう。
その後、患難辛苦を超えた僕は、再びこの場所に戻ってきた。
師の暴走を止めるためにです!
その結果がこれ!
見るも無残な、光景が広がっていた。
助けて!
助けてと子供の声が聞こえてくるようだ。元気づけてくれと骨だけになった手が心細さを訴えかけた。辛いよとしゃれこうべの辛そうな表情が見えてくる。それらは全て、苦悶と、憎悪と痛みに満ち溢れていた。
助けて!
僕が止めなかったからみんな死んだのだ。孤独の中死んでいったのだろう。痛みの中死んでいったのだろう。やり直したかった,あの頃をやり直して師を止めたかった、もっと言うなら……。
彼女を救えたのかもしれない。
シック。
優しげに僕を呼ぶエリンの声がよみがえった。たった一度呼ばれただけでも、エリンの声が何度も何度もリフレインしていく。その光景はいつも楽しげで、幸福に満ち溢れ,未来への希望があった。
シック。
エリンはいつも僕に真摯に向かい合ってくれた。エリンといつ会えるのかどきまきしたものだ。エリンはいつも明るくて元気いっぱいで笑っていたのだから。
だが、もうエリンはいない。胸の中にぽっかりと空いた空洞から、地獄が生み出されたのだろう。
エリス。
名前を呼んで、そのあとの言葉がいつも続かなかった。エリスと共に過ごす未来の絵をいつも描いていたというのに。エリスの前に出ると言い出せなくなってしまう。
エリス。
愛しい君の前でもじもじする僕を許してくれ。用意した結婚指輪は、結局、渡せなかった。今の関係がずっと続けばいいと甘えていたんだ。
その結果がこれとは、なんと悲しいことだろう。
師への敬愛は、彼女への愛とともに消えることはなかった。
自分にも責任の一端がある,きっとそれを後悔するのは罪なのですね。
もし、だれか一人でも消せといったのなら、直ぐにリメイク中消すのでご容赦を。