序章 ~月の都~
作者は竹取物語について研究している学者などではないため
そのようなかかわりがある殻が読めば不愉快に思われる場面もあると思いますがご了承お願いします。
私は・・・
どうやって生きたらいいのでしょう?
本当に、ここは私の居場所でしょうか?
私は・・・
* * *
蒼い霧が広がる綺麗な景色を背景にある女性が猫を撫でているのが目に入る。
その女性は美しく、光が満ち溢れるようであった。
猫は、ニャーッ。と喉を鳴らして気持ちよさそうに女性の手のひらに顔をこする。
女性はそんな猫を見て、天使のような、と言っても過言ではない笑顔を見せる。
と、その時。
「姫様。」
抑揚のない、が確かに怒気のある声に美しい女性はビクリッというのにふさわしく肩をふるわせる。
「・・・あ」
声の主が現れると猫はその女性の反対方向に逃げていってしまった。
その女性も猫を撫でていた女性には劣るがとても美しい風貌だった。
「若菜、お願いだからそう怖い声を出さないで。ネコさんが怖がって逃げていってしまうわ」
女性ー姫と呼ばれた方が悲しそうな顔で懇願する。
が、女ー若菜の無表情は変わらない。
「何を言っているのですか。
あんな汚らわしい地上とこの月の都を渡り歩く猫なんぞと一緒にいないで下さいと何回言ったらわかるのです。」
「汚らわしいなんて言わないで。猫はかわいいわ。
それに、地上だってそう悪くないと思うわ」
姫はなおも訴えるが若菜は動じない。
「そんなことよりももう少しで結婚なさるのですよ。
準備は終わらせておいてくださいまし。」
「そんなことって・・・
私、結婚なんてしたくないわ。
愛のない政略結婚なんていやよ。」
私は、ただただ純粋に私だけを愛してくれる人と・・・。
「わがままはおよしください。
もう結婚は1週間後に迫っております。この結婚に貴方の意志など関係ないのです。
貴方は月の都の平穏を保つための道具、いわば駒です」
若菜はくれぐれもお願いしますよ。
といってどこかへ、きっと宮殿の方だ。へいってしまった。
・・・私の方を一度も振り返らずに。
・・・ズキン。
若菜の言っていることは正論だ。
月の都を滅ぼすなどしてはいけない、そのために私の感情など必要ない。
でも、でも・・・。
若菜の言った言葉が心をえぐる。
胸が苦しい。
叫びたい。
私は、私は駒なんかじゃない!
私は操り人形なんかになりたくない!
でも、いえない。
いえないのだ。
私の感情など<<どうでも>>いいのだ。
「ふっ・・・」
その笑みはなにを意味するのか。
アレ?
瞳からなにか、雫が頬を伝う。
なぜ、涙が出るのか。
月の都の者に感情などない。
なんで、どうして?
なんで、私はこんなにも・・・・・・。
(クルシイノ?カナシイノ?)
それから。
あっという間に月日は立ち、私は月の都で一番偉い、帝と結婚をした。
ご閲覧いただきありがとうございました。