驚愕
おかしい。
桐嶋はオレに何か隠している。
ま、悩み話せる程の仲じゃないけど。
でも、午後から様子が変だった。
無論、オレは、午後もずっと桐嶋を見ていた。
もちろん先生に気づかれないように。
あんな綺麗な顔を眺めずにはいられない。
やはり、オレは桐嶋に恋をしているんだ。
桐嶋はオレに素っ気ない。
それでも、オレの愛が冷めるコトはなかった。
ああ、桐嶋はきっとスタイルいいんだろうな、
あのプリプリした唇にキスしたいな、
艷やかな髪をそっと撫でてみたいな・・・。
って何してんだオレ!
ベットの上で、手を変な風にして!
桐嶋が見たら引くぞ、絶対!
自分でボケて、自分に突っ込んでるオレ。
しかーし。
実はオレ、結構リッチなんだよね。
母親は一流弁護士。
父親は一流企業の部長。
当然年収はパナイ。
つくづく裕福なんだよね。
でも、それなりに愛情も注いでもらってる。
親は
「海斗はやれば出来る。東大も夢じゃない」
って。
無理だろ。
流石に。
親は両方とも今日は帰って来ない。
母親は今日は実家に泊まるらしい。
父親は出張。
兄弟はいない。
なんて、自分で自分の状況を整理していた。
時計は6時を差していた。
そろそろコンビニで弁当でも買おっかな。
オレはジャージに着替えて家を出た。
コンビニでラーメンとアイスを買った。
コンビニをすぐに出た。
コンビニから家に帰る途中、小っこい公園を通る。
この時間じゃ、だれもいないだろ。
ふと公園に目をやると、オレは思わず足を止めた。
ブランコに、意外な人が座っていた。
桐嶋だ。
俯いている。
オレはダッシュで桐嶋の元へ駆け寄った。
「桐嶋!」
桐嶋は驚いたようにオレを見上げた。
その目は、赤く腫れていた。
「泣いたのか?」
桐嶋はまた俯いてしまった。
オレは桐嶋の衣服がおかしいコトに気付いた。
リボンは乱れ、
ボタンはところどころ掛け間違えていたり、
スカートはくしゃくしゃになっていた。
「お前・・・」
オレは何があったのか予想はついた。
オレから目を逸らそうとする桐嶋は、とても弱々しく見えた。
「家に来いよ」
「え?」
オレは既に桐嶋の手を握っていた。