気になる
「へ?桐嶋の下の名前?なんで知りたいの?」
「あ~・・・一応隣だしさ・・・」
下の名前で呼んでみたい、なんて言えるかぁ!
「えーと・・・確か・・・」
「あれ?なんだっけ?」
「なんかメチャクチャ変わった名前だったよな」
変わった名前?
「う~ん!最終手段だ!女子に聞こう!」
そう言うとその辺で盛り上がってる女子に話し掛けた。
「なぁなぁ、桐嶋の下の名前ってなんだっけ?」
「はぁ!?なにそれ!」
「でたよ、でたよ。男子の桐嶋びいき」
「いいじゃんかよ!」
「はいはい、りょーかい」
「確か、愛蝶だったよね?」
・・・アゲハ?
「あ~!そうそう愛蝶!」
「サスガ出鳴先輩の妹だな!」
おぉ!名前だけでなく、お姉さんの名前ゲット!
「だってよ!」
「うん!サンキュー!」
オレは女子にはにかんでみた。
すると女子は頬を染め、
「う、うん」
「役に立てたんなら・・・」
そう言いながらどっかに退散。
悪いけど、今のは誰にでも見せる顔だよ。
「あ!いっけねぇ!忘れ物しちまった!」
「マジかよ!」
「後3分!急げ!」
「うっし!2分で取ってくる」
「よーい・・・ウドン!」
アホ臭いコールで新しい仲間はオレを見送った。
オレは足に自信があったし、急いでいたのでダッシュした。
教室前の廊下に入ろうとした瞬間!
桐嶋の後ろ姿が目に飛び込んだ。
思わずオレは急ブレーキをかけた。
幸い、桐嶋には気付かれずにすんだ。
でもあんまり急だったせいで、足首をひねった。
すんげーズキズキする。
勇気を出して、話かけようとした。
が、桐嶋が誰かと話しているのがすぐに分かった。
なんだコイツ?
顔は結構整ってて、身長はオレと同じくらい。
でもなんか・・・。
桐嶋に色気目使ってるような気が・・・。
確証はないが、オレの経験でなんとなく分かる。
桐嶋を誘ってんのか?
ううっ、こっからじゃ聞こえない。
そうしてるうちに、ソイツはどっかいった。
桐嶋はヤツが去った後も、しばらく突っ立っていた。
すると急に我に返ったようにはっとし、オレとは別ルートから移動場所に行った。
オレも急いで忘れ物を取って教室に向かって走った。
アイツは誰なんだ?
桐嶋を狙ってんのか?
何を話したんだ?
気になる・・・。