転校初日。
「うっし!!」
オレは新しく足を踏み入れることになった教室の前で、気合いをいれた。
新しい教室、新しいクラスメイト・・・そしてなにより・・・。
彼女探しができることに嬉しく思った。
前の学校じゃ、いろいろ誤解されて、挙句の果てに・・・
放課後女子に呼び出されたと思ったら、クラスの女子全員がオレを取り囲んだ。
そしたら、鬼のような形相のクラスのマドンナ2人がオレの前に仁王立ちして、
「私とこの女、どっちを選ぶの?」
と。言ってきた。
「・・・・・・・・・・・・・・は?」
オレは唖然とした。
「そうよ。葛城君はアンタみたいな見た目だけの女じゃなくて、
見た目も中身もパーフェクトなあたしがいいに決まってるじゃない!」
イヤイヤ。なんの話?
「なによ!アンタこそ、なんなのそのダッサイ髪!
この性悪女!、葛城にはね、私みたいな女が合うの!!」
「はん!当当本性を表したわね!
この化粧オバケ!」
「なんですってぇ!!!」
「かかってきなさいよ!」
ついにマドンナ二人は、口喧嘩だけでなく、殴り合いの大ゲンカにまで発展した。
オレが間に入って
「オレは、誰かと付き合うとか考えてないから!」
と言って、教室を後にした。
あの頃は、ケアが大変だったなぁ・・・。
なにがともあれ、オレは晴れてこの学校の生徒。
新しく目標立てて、頑張んなきゃな~。
ガラッ。思いっきりドアを開いた。
すると、新しいクラスメイトは、唖然呆然。
「ふぅ~」
大きく息を吸って、教室に足を踏み入れた。
ずんずん教壇まで進み、できるだけキレイな字で、
葛城 海斗
と、大きく書いた。
「葛城 海斗です。今日からこの3-4の一員になったので、宜しく!!」
周りは、おおぉ~みたいな感じになっている。
やりぃ!!
ガラッ。オレの後ろでドアが開いた。
振り返ると、先生が何故か二人、立っていた。
「困るよ、葛城君」
「そうですよ。君は4組ではなく、3組の転校生なんだよ?」
え?えぇ~!!!???
嘘だろ!?
オレ教室間違えたの?
先生も困惑した表情になっている。
どうしよ!
このままじゃー・・・
「先生、オレもう自己紹介終わらせちゃったよ~。もうこのクラスがいい!」
よしっ、これでなんとか、いけそー
「葛城君よね?アンタなんでこのクラスにこだわってんの?」
居心地はいいが、なんか怒ってる声。
よく見ると、そこにはすんごく可愛い美少女が。
顔の輪郭は卵みたいにすっとしていて、
目は大きめで、黒目が大きい。
鼻筋はすっと通っていて、
唇はぷるんとしている。
しかも、顔が可愛いだけでなく、
ウエストもきゅっとしていて、
足も細長い。
なにより黒髪をサラッと流していて、
いい香りを漂わせている。
その美しい佇まいが大和撫子のようで、オレは一目惚れしてしまった。
「君名前は?」
聞きたい!教えて!
「・・・なんでこのクラスにこだわるの?」
無視。それじゃ!
「え?なんとなく。ていうか、名前は?」
「とにかく、アンタはウチのクラスじゃなくて、隣の3組の転校生なの。早く移ってくれる?」
「君キツイこと言うね!クラス委員長?ツンデレっ娘?」
「・・・・」
なんか怒らせちゃった?
「だってクラスは転校生の自由じゃん!オレこのクラスでやってきたいの!お願い!」
お願いします!初恋は叶えたい!絶対!
「どうします?」
「そうねぇ、彼がここにいたいなら、それでいいんじゃない?」
「そうですね、僕からもクラスの連中に言っときますよ」
よっしゃぁぁぁぁ!!!
「ラッキー♥てことで宜しく!えーと・・・」
なんて名前?
「クラス委員長の桐嶋さんよ。頼れる人だから、分からないことがあったら彼女になんでも聞いて」
桐嶋・・・下の名前何かな?
「宜しく!桐嶋!」
「・・・席は空いてるとこに座って」
うわ~!!やっぱ超可愛い!!
言われた席に行くと、早速連中が話しかけてきた。
「よろしっく!」
「よろしくね!」
けど・・・。
「あー・・・うん。オレこっちじゃなくてさぁ・・・」
「ん?」
「桐嶋の隣に行くんだけど・・・」
いったぞぉぉぉぉ!!!
「マジでか!?」
「桐嶋か!ズリーぞ!」
オレの青春スタートだぜ!!