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桐嶋の告白
衝撃意外のナニモノでもなかった。
消えそうな声で桐嶋は斉藤とのことを話した。
肩を小さく震えさせていた桐嶋には、いつものような自信に満ちた堂々たる態度がなかった。
まるで、別人だ。
オレは、桐嶋の本当の姿を知ってしまった。
桐嶋は強くない。
狼の皮を被った、か弱い子羊だった。
「タオルありがと・・・」
桐嶋は、オレを避けるようにして席を立った。
行かせたらダメだ!
本能が騒ぎ始めた。
オレは、気づかないうちに桐嶋を包み込んでいた。
細い背中に、腕を強く巻きつけた。
桐嶋の小さな顔を、自分の胸に押し付けた。
女子特有の甘い香りが、鼻を擽った。
桐嶋は他の奴より、いい香りがすると想う。
香水みたいな甘ったるい匂いじゃない。
眠気を誘うような、落ち着いた匂い?
「辛かったな・・・」
小さく呟いた。
すると、桐嶋はオレの首に腕を巻きつけた。
細い腕が絡むようにオレを締め付ける。
これ・・・抱き合ってるって言うのか?
「・・・・・さん・・・・」
胸に生温かいものを感じた。
桐嶋は泣いているんだ。