私の邪魔
ガラッ。突然ドアが開いた。
すると、知らない男子が嬉しそうに教室を見渡す。
「ねぇ、なんか超カッコ良くない?」
「ヤッバ!あたし超タイプ~♥」
女子がこそこそし始める。
なるほど。これが世間で言うイケてるメンズ、略してイケメンか~。
・・・って!
納得している場合じゃなーい!
なんなの急に!
転校生?そんな話きいてない!
てゆーか、担任がクラス委員長である私に話さないはずない!
そんなことを考えている私や、クラスの連中の前で、彼は悠々と黒板に自分の名前らしき文字を書いた。
「葛城 海斗です。今日からこの3-4の一員になったので、宜しく!!」
にっこり笑う彼に、女子はずっキューン!となる。
カツラギ カイト・・・どっかで聞いたことがあるような・・・。
その時、
ガラッ。またドアが開いた。
今度はウチのクラスの担任と、隣のクラスの担任が立っていた。
二人は困惑した表情で、
「困るよ、葛城君」
「そうですよ。君は、4組ではなく、3組の転校生なんだよ?」
とか、何か言い始めた。
でも当の本人は・・・
「先生、オレもう自己紹介も終わらせちゃったよ~。
もうこのクラスがいい!」
とか問題発言をしている。
「え?葛城君って、ウチのクラスじゃないの?!」
「え~!?やだぁ~!せっかくイケメンきたのにぃ~」
クラスまでもが混乱し始めた。
いかん!ここはクラス委員長の出番!
私は席からすっと移動し、ドアに足を運んだ。
私を見ると、先生が安心したように
「あっ、桐嶋さん。葛城君になんとか言ってくれないかしら?」
「・・・わかりました」
私は葛城海斗に向き直ると、少しキツめの口調で彼の説得にあたった。
「葛城君よね?アンタなんでこのクラスにこだわってんの?」
「君名前は?」
「・・・なんでこのクラスにこだわるの?」
「え?なんとなく。ていうか、名前は?」
・・・聞く耳持たず・・・とまではいかないか。
「とにかく、アンタはウチのクラスじゃなくて、隣の3組の転校生なの。早く移ってくれる?」
「君キツイこと言うね!クラス委員長?ツンデレっ娘?」
「・・・(怒)」
「だってクラスは転校生の自由じゃん!オレこのクラスでやってきたいの!お願い!」
手を合わせて頼み込む彼。
「私に頼まないでくれる?」
先生に
「どうします?」
というと、
「そうねぇ、彼がここにいたいなら、それでいいんじゃないの?」
「そうですね、僕からもクラスの連中に話しておきますよ」
あっさり承諾。
私出てこなくてもよかったのかも。
「ラッキー★てことで宜しく!えーと・・・」
「クラス委員長の桐嶋さんよ。頼れる人だから、分からないことがあったら彼女になんでも聞いて」
「宜しく!桐嶋!」
「・・・席は空いてるとこに座って」
私は速やかに席に着いた。
空いてるのは、前にウチのクラスから転校した皆川の席。
私は窓際の席で、列の最後尾。
葛城が座る席からは結構離れている。
葛城の席の付近の席の奴らが
「よろしっく!」
「よろしくね!」
とか言ってる。
あぁ、ウザイ!
私ならあのウザさに耐え切れない!!
「あー・・・うん。オレ、こっちじゃなくてさぁ・・・」
「ん?」
「桐嶋の隣に行くんだけど・・・」
「マジでか!?」
「桐嶋か!ズりーぞ!」
騒ぎ出す男子共。
女子は私をチラチラ見ながらコソコソしてる。
「もぉ~!!最悪ぅ!!」