表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/31

出鳴先輩登場!ー前編ー

オレは困惑していた。

意外なことが起きたからだ。



オレは桐嶋の白くて綺麗な細い手を握っていた。

桐嶋は驚いていた。

オレは桐嶋をブランコから引っ張って立たせた。

桐嶋は不意打ちを喰らったようで、引っ張った弾みで、

オレに倒れ掛かった。

オレは反射的に受け止めた。

オレの胸にすがりつく体制になった桐嶋は、恥ずかしさのあまり、

オレから目を逸らした。

そんな桐嶋の頬は、赤く紅潮していた。

オレはそのまま桐嶋の小顔を両手で包んで、オレと目を合わさせた。

桐嶋はオレをじっと目を逸らさず直視していた。

黒曜石のような漆黒の瞳と、長く上を向いた睫毛がドンとオレをついた。

オレは目を逸らした。

その時桐嶋は急に背伸びして、オレの耳元で、

「私、アンタ嫌いじゃない・・・」

と、小さくそれでもはっきりと澄んだ声で囁いた。

そしてオレから離れると、上目使いでオレを睨んでから後ろを向いた。

オレは桐嶋の手を引っ張って「待ってくれ!」

と引き止めた。

桐嶋は

「まだ何かあるの?」

と、ドギマギしながら聞いてきた。

オレは直ぐ様ポケットから携帯を出した。

「メールするからメアド教えてっ」

ダメ元で聞いてみた。

意外にも、桐嶋は小さく頷いてノートの切れ端にメアドを書いて、

直ぐ様オレに握らせて去って行った。

オレはその紙を強く握り締めて、家に帰った。



翌日、桐嶋とドギマギしながら放課後を迎えた。

帰る準備をしてたら廊下で何か盛り上がってる。

クラスの奴が大騒ぎして教室に駆け込んできた。

「出鳴先輩がいらっしゃったぞー!!」

いっきに周りの雰囲気が変わった。

「出鳴先輩だとっ?!」

「きゃーうそぉ!!」

こうしちゃおれん、と言う感じで廊下に人がなだれ込んでいく。

出鳴先輩?って確か・・・。

桐嶋はため息をついて逃げるように教室から出た。

やはり。

桐嶋のお姉さんのようだ。

そんな事を考えていたオレの耳に威勢のいい声が聞こえてきた。

「諸君、元気にしていたかい?」

教室に入ってきたのは近くの頭いい高校の制服に身を包んだ美女だった。

細身なようで、紺色のブレザーが良く似合っていて、

身長は170超えているようだ。

短いスカートから伸びる長い足は、黒く長いソックスに包まれていた。

何よりも驚いたのは、その顔は、桐嶋が少し大人になった顔。

オレは驚きのあまり、出鳴先輩を凝視した。

オレの視線に気付いた出鳴先輩がオレの方へ歩み寄ってきた。

まるでモデルのようだ。

オレの目の前まで来ると、ニヤニヤしながら

「君、これから暇かい?」

と聞いてきた。

「あ・・・はい」

オレは思わず答えてしまった。

「そうか。それじゃあ、これから私に従いてこい」

「はい?」

出鳴先輩はそう言うと、オレの返事を待たず、

「早く行こっ」

と満点の笑で彼女にでもなったかのように振舞った。

「葛城ずりーぞ!」

「皆の出鳴先輩だから独り占めすんなよ!」

オレは仕方なく、教室を後にした。



出鳴先輩は流石中学時代モテモテだったため、話が面白い。

おまけに女子の間でも一番人気の存在だったそうで、憧れのマドンナだ。

しばらくして、近くのファーストフード店に入ると、奥の席に座った。

オレは出鳴先輩の正面に座ってウーロン茶を頼んだ。

出鳴先輩はオレンジジュースを頼んでいた。

やがて飲み物が運ばれ、出鳴先輩は一口飲んで、

「で?」

と切り出した。

「は?」

オレにはなんのことか、さっぱり分からなかった。

「だーかーら!私の愛蝶に何てことしてくれたの?!」

怒っているようだ。

「私・・・。見たんだ・・・」

不機嫌そうな顔。

その顔があまりにも桐嶋にそっくりでオレはウーロン茶を吹き出しそうになった。

出鳴先輩はテーブルにから身を乗り出して、

「単刀直入・・・?に言うけど、昨日、愛蝶とプチ公園で会ってたでしょ」

「は・・・はい」

なんだこの人?

「しかもいつもピシッと制服を着こなしている愛蝶が・・・。

 あんなに着崩れしてるなんて・・・。

 アンタ、あの子を襲ったでしょ」

「そんなんじゃないです!あれはその・・・」

「とにかく!いくらあの子が可愛くてモノにしたいからって。

 私を通して許可を得てやりなさい!」

はあ。

この人は妹loveのようだ。

「それで」

今度はなんだよ?

「あの子・・・どう?」

はあ?









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ