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「ここは、私と羽鳥の家で、あなたの場所は生憎と存在しません。」

毅然とした声。

「そんなつれないことを言うの?私達は結婚の約束までした仲じゃない……あの子が、貴方は私を選んだはずよ、そう、あの子が現れなかったら…。」

結婚の約束?

目の前が暗くなる。

「ありえない。」

また利家さまの声。

「君は家庭に、そして、古賀に仕えることに何も感じていない。お金だけだ。君は古賀よりも金を惜しみなく出してくれる場所があれば、何の迷いもなくそっちを選ぶ人間だ。」

淡々と語る利家さまの声。

あのトーンは仕事モードの時だ。

「な、な、何を言うの!私は!」

利家さまのため息がここまで聞こえた。

「私が羽鳥と結婚したことで少しばかり、仕返しをしたかったのだろうが、私もそろそろあなたと古賀を切り離したかったんです。」

カサカサと何か紙の音。

「ここにあなたが三塚へ流した総帥のスケジュールがあります。」

三塚っていうのは、古賀財閥傘下の御三家の1つだと聞いている。

親戚関係にあるお家だ。

「な、なんのこと?」

三上さんの声の調子がおかしい。

震えてるの?

「おかしいと思ったのです。日本に帰ってきた総帥の行くところに必ず三塚氏の姿があるのは。」

「ぐ、偶然よ…そ、それに三塚にだって情報網はあるわ。」

「えぇ、しかし、あまりにもプライベートな場所にも現れるのでね。あれでは、総帥が三塚氏を懇意にしているように見えてしまう。」

利家さまの声がいつになく冷たく聞こえた。

「三塚氏は立派な人だわ。古賀のことを誰よりも考えている。」

「そうでしょうね、彩紋さまを差し置いて古賀の頂点を目指してらっしゃるようですから。」

えっ?そうなの?

「そ、それは…三塚氏が彩紋さまの若さを分かってらっしゃるから…。」

「あなたは、三塚氏の愛人でしょう?証拠は挙がってるんですよ。」

また紙の音。

「い、いつの間に…。」

「私が結婚をしてから、少し意識が羽鳥の方に行ったことを察したのでしょう。露骨に行動しすぎなんですよ。あなたの処遇は後ほどご連絡しますから、三塚氏に私の言葉をそのままお伝えしなさい。きっと、助けてくださいますよ。」

ドアの向こう側にいる利家さまの言葉がとても怖い気を孕んでいることが分かった。

本当に怒ってる。

怖い…。

数秒後、ものすごい勢いで玄関のドアが開く音がした。

きっと三上さんが出て行ったのだ。

私は、呆然としていた。

三上さんと利家さまは何でもなかったの?

「何をしてるのです?」

耳元であの低い声がして飛び跳ねた。



つづく



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