第1話 円卓の騎士団追放
冒険者にはクランというチームがある。
それは信頼のおける仲間達で結成されたチームのようなものだった。
バッシュ・ブラッドリーは最近出来た円卓の騎士団というクランに所属していた。
未知のダンジョン探索に明け暮れていた。
バッシュは戦いに関する腕前は最弱だった。
最弱モンスターすら倒せないレベルだったので、荷物をもったり、ダンジョンのマッピングをしたり、時には食事を作ったりしていた。
「う、そだろ」
前方から迫りくる無数の巨大蜘蛛のモンスター達。
円卓の騎士団のリーダーであるミリエルが叫んでいた。
「に、逃げろ」
ミリエルの号令で他の仲間達、ガナバスとクラデリエルとバナリが走り出す。
ガナバスは戦士でグラデリエルは僧侶でバナリは盗賊だった。
バッシュは剣士だったのだが、最弱で使い物にならないから、いつも彼等のフォローばかりしていたのだが。
その時、バッシュはダンジョンの崖から足を踏み外した。なんとか手を突き出して、ミリエルの足首を掴んだ。
「は、はなせ、バッシュ」
「は、放したら落ちちまう」
「なぁ、お前は、もういらないから」
「はい?」
「だから、もう、お前はいらない、クランから追放する。だから手を放せ」
「おい、嘘だろ、まじかよ」
バッシュが叫び声をあげる。
ミリエルは腰からナイフを取り出すと思いっ切りバッシュの腕に斬りつけてきた。
バッシュは唖然と口を開いたまま、奈落の底、ダンジョンの最下層へと落下していった。
運が良かったのは無数の巨大なキノコがあったおかげで、クッションとなり落下死だけは免れた。
「滅茶苦茶暗いな」
バッシュはとぼとぼと歩きながら、何か不気味な黒い剣が台座に突き刺さっているのを見つけた。
現在バッシュは剣を落としてしまい、武器が無かった。
だから、なんとなく、抜いたのだ。その黒い剣を。
それが、この世界がぐちゃぐちゃになる原因になるなんて、この時のバッシュは欠片1つも感じなかった。
【我を起こしたのか】
「うお、幻聴か」
【お前、この世界の均衡を壊してしまったようだな】
「どういうこって?」
【我の名前はペンタラゴン、世界の調停者。この惑星ブラッシュワールドの均衡を保つもの、今それが解放された。神々が嗤い、魔王達が立ち上がり、異世界から勇者が来て、英雄が闊歩し、そして、お前はただ死ねない】
「どういうことだ? 俺様が死ねない?」
【ああ、そうだ。この剣を持つという事はな】
その時だった、後ろから獰猛な咆哮が響き渡った。
そこにいたのは1体の巨大な灰色の化物。ゴブリンよりも大きい、オーガと呼ばれる変異体だと思われる。
オーガよりも大きかったのだから。
そいつは猛然とこちらに走ってきた。
バッシュは黒い剣を構えたのだが。
巨大な棍棒がバッシュの頭を粉砕して、バッシュの頭の体が離れて、頭が転がっていった。
「あ、ぎやああああああああああああ」
激痛が脳内を響き渡る。
頭が落ちているのに、痛みだけが脳内を支配する。
普通は死んで終わりだろうに。
気付けば悶え苦しみながら、オーガの足元で黒い剣を抱えながら尻餅をついている。
「あ、頭ついてる。どいう事だ?」
【それがペンタラゴンに認められたという証、お前がこの世界で役割を終えるまで死ぬ事は無い、死ぬ度に激痛が襲い掛かり、体はこの剣から復元される。あそこに転がっているのが先程死んだお前の体だ】
「う、そだろ」
そこには頭と体が分離して転がっている紛れもない自分の死体があった。
【さてと、お前を強くさせる必要があるようだな、お前は何回死ねば強くなるかな?】
「それ、まじで?」
ぐちゃ。
またオーガが棍棒を振り落として、またバッシュは死んだ。




