SS④後編.狩猟大会始まります!【TOP100ランクイン御礼!】
「これより第一回カメリエ公爵領魔獣狩猟大会を開催する。ランキング上位3チームには賞金も用意されている。では、皆のもの健闘を祈る。」
「無理はされないようにお願いします。森で迷ったり、危なくなった場合は必ず救助要請の白煙を上げてください。」
ウィリアムとソフィアが開会の挨拶をすると、参加者たちから歓声が上がる。そして、準備が整った家門から森の中へと消えて行った。
「まったく、『健闘を祈る』じゃないんですよ。ウィル様がちゃんと討伐してくれれば皆様にお願いしなくても大丈夫だったのに。」
「ふむ、結婚前はソフィーと一緒にいる時間が余りにも少なかったからな。今はひと時も離れなくない。」
痛いところを突いてくるが、それは今のソフィアのせいではない。
「わたくしもウィル様と一緒にいられる時間は嬉しいですが、お仕事はお仕事です!」
「…善処しよう。」
改善する気はなさそうだ。来年もきっと第二回魔獣狩猟大会が開かれるのだろう。まあ、『第一回』って言ってしまっているもんな…とソフィアはため息を吐く。
今回は初めての開催のため、家門ごとの団体での参加をお願いしている。この森の魔獣の強さをまずは確認してもらうためだ。他の地域の魔獣はここまで凶暴ではないらしい。少人数で森に入って重症者や死人が出ては困る。団体ごとに5個ずつの白煙玉を配っており、救助が必要な場合に使ってもらう事になっている。煙には魔獣が嫌う匂いを付けているため、白煙の上がっている間は魔獣避けにもなる優れものだ。
「ところでソフィー、その格好は何だ?」
「え?」
「なぜ、公爵家の騎士服を着ているのかと聞いている。」
「わたくしも参加しようと思いまして。」
ソフィアはニコリと微笑む。
「皆様だけ危険に晒しては申し訳ないので、公爵家ももちろんエントリーしています。」
「なっ…」
いつの間にかソフィアの周りカメリエ公爵家の騎士団が集まっていた。
「さあ皆さん、行きましょう!よろしくお願いします!」
ソフィアを先頭にカメリエ騎士団が森に向かって歩き出す。それを見て慌てたウィリアムはソフィアの腕を掴む。
「待ちなさいソフィア。」
「はい、何でしょう?」
とびきりの笑顔でコテリと首を傾げる。
「あっ、ウィル様も行きますか?」
「行くに決まってるだろう!置いていくな!そして危ない!絶対に傍を離れるな!」
「はい!」
カメリエ騎士団は小さくガッツポーズをとり、ソフィアは嬉しそうに微笑んだ。
「さあ行くぞ、絶対に私たちが1番だ!そして絶対にソフィアを守れ。傷ひとつつけるんじゃないぞ!」
「「「「おーーーーー!」」」」
「ふふふ。」
ソフィアは笑う。
「どうした?」
「カメリエ騎士団はやはりウィリアムが率いた方が士気が上がりますね。」
「まあ、そうでなくては困る。」
ウィリアムは綺麗に口角を上げて笑った。
「ねえ、これ誰が仕切るの。誰が計測の見届けするの。まさか全部僕に丸投げした訳じゃないよね。」
台覧に来ていたレイモンドとエアリスは壇上にポツンと取り残されていた。
「あらあら。そうかもしれませんね。ふふふ。」
「はぁーーー。」
呑気なエアリスと大きなため息吐くレイモンド。
「そして、あの白煙の救助は誰が…」
開始早々に上げられた白煙を指差すレイモンド。しかし言葉を言い切る前にその謎は解ける。
「あらー。サムスクライン魔法騎士団まで駆り出されてますね。」
控え用のテントの中から、魔法騎士団が10名ほど出てくるのが見えた。そして、その内の1人が壇上の近くまで走り寄る。
「これは、レイモンド王太子殿下、エアリス王太子妃殿下。本日はよろしくお願いします。」
「ああ。こちらこそよろしく頼む。」
「では、急ぎますのでこれで。」
魔法騎士団の師団長だ。彼は深く礼をとって森に向かって走って行った。
「規模が大きすぎるよ。」
「まあ…カメリエの森の魔獣討伐はサムスクライン魔法騎士団の重要任務ですから。今日は他の家門の方々にもお手伝いいただいたと思えば許容範囲ではないですか。」
がっくりと項垂れるレイモンドをエアリスがポンポンと慰める。
「さあ、続々と白煙が上がり棄権する家門が続出の中、まだ残っている家門は6つ。第一回の狩猟大会の優勝は一体どの家門となるのか!」
流石に進行はカメリエ公爵家の使用人が出てきて行っている。明らかにホッとしているリヒトをよそに、次々と討伐された魔獣が森から運び出される。
「おおっと、また大量の魔獣を担いで出てきたのは我らが公爵様率いるカメリエ騎士団!それに続いてローゼン騎士団も大量だ!まもなく終了の時刻となりますのて、どの家門も最後まで頑張ってください!」
その後まもなく終了の合図が出されて、森から続々と各家門の騎士団が引き上げてくる。
「それでは、魔獣の計測に…と言いたいところですが、どう見てもカメリエ騎士団圧勝!」
カメリエ騎士団が討伐した大量に積み上がっている魔獣を前に、わーーー!っと会場は盛り上がる。しかし、冷めた目で見ている人物がひとり。
「カメリエ公爵家が主催してカメリエ騎士団が優勝って、本当どういう事…。」
そして翌日、日頃からきちんと仕事をするように青く透き通る瞳で延々と怒られたそうだ。魔獣を討伐しなくても、大量に討伐しても怒られるウィリアム。
「解せん…。」
思わず呟く。
「ちょっと聞いてるの?ちゃんと僕の話を聞いて。大体いつもウィリアムは…」
まだお説教は終わらなさそうなので、ウィリアムは魔法騎士団の予算から頂いた賞金の使い道を考える事にした。
「そうだな、ソフィーと旅行でも行こう。」
考えていた事が思わず口から出てしまった。
「え?」
「あ…。」
執務室が吹雪始めたので、ウィリアムはレイモンドの話を真剣に聴くモードに切り替えたのだった。
お読みいただきありがとうございます!
皆様のお力で3月9日に
【注目度 完結済 37位】
【日間 異世界恋愛 完結済 97位】
にランクインさせていただきました!
本当に嬉しいです。
ありがとうございます。
これからも頑張ります!
では。




