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満身創痍だったのでちょっと愚痴をこぼしたら、さらに身も心も削られました  作者: 朔島 涼


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SS③前編.アレックス、王都に行く!【13000PV御礼!】

「わあ、見えてきたよ!あれが王都でしょ?セグノーツ学園は?姉さんのお店はどこにあるの?」

「まあ、アレックス!危ないから馬車が動いている間はきちんと座っていなさい!」


ソフィアの結婚式から約1年後が経ち、アレックスは11歳となっていた。アンリとともにローゼン領から王都に移動中だ。来年セグノーツ学園に入学するアレックスは、王都に慣れておくために今回の社交界シーズンはアンリとともに王都に滞在する事になった。ちなみにアンリは社交界シーズンは王都、それ以外はローゼン領で暮らしている。


「ごめんなさい。」


アレックスは大人しく腰掛ける。


「明日はソフィアがお休みを取って、王都を案内してくれるそうよ。今日はゆっくり休んで、明日に備えなさい。」

「はい、お母様。」


素直な返事にアンリはにこりと微笑む。アレックスは椅子にはしっかりお尻をつけたまま、窓にかぶりつくのだった。





「アレックス、よく来たわね!昨日は会いに来られなくてごめんなさい。」

「姉さん!ううん、会えて嬉しい!お休みを取ってくれてありがとう。」


翌朝、ソフィアが侯爵邸までアレックスを迎えにきた。アレックスは朝早く起きて朝食をとり、ずっとロビーで待っていたそうだ。流石に抱きつきてくる事はないが、その可愛さは変わっていない。


「その代わり、今日は好きな所に連れて行ってあげるわ。どこに行きたい?」

「姉さんのお店がいい!」

「え?」

「ダメ?」


アレックスは上目遣いでソフィアの顔を覗き込む。可愛すぎる。


「ううん、ダメ事じゃないけど。1番初めはセグノーツ学園とか、学生が行きそうな場所かな?と思ってたから。」

「やったあ!じゃあ早く行こう!」


アレックスにグイグイと引っ張られながら馬車に乗り込んだ。





「コレ全部、姉さんが考えたドレスなの?」


ソフィアは一瞬考える。アレックスの姉さん=元のソフィア+自分。


「うん、そうだよ。」


間違った事は言っていない。


「すごいや、姉さん!あの絵がこんなに素敵なドレスになるなんて!」


ドレスを嬉しそうに見て回るアレックス。


「夢が叶って本当に良かったね!」


アレックスは自分の事のように喜んでくれる。この姿を元のソフィアにも見せてあげたいなと思う。彼女の夢をずっと1番近くで見てきたのはアレックスだった。イルバートや両親は彼女の夢を知らなかった。彼らの目を盗んで、主にローゼン領で起業の準備をしていた事が原因だが、それ以上に幼いアレックスには油断して本当の自分の姿を見せていたのかもしれない。


自分の元の家族はどうしているだろうか。両親はアパレルメーカーに就職すると聞いた時も驚いていたし、結婚せず仕事ばかりしている私に小言を言ってくるような古風な親だった。娘がネット配信者になったり、アパレルブランドの経営者になったりしたら泡を吹いて倒れているかもしれない。元気にしているといいけど…。4人兄妹の末っ子として育ったが、兄姉たちは既に結婚して子どももいたし、そのうちの誰かが元ソフィアの動画を観てるかもしれない。

誰でもいい。彼女の夢が叶った事をアレックスの様に、一緒に喜んでくれる人がいるといいなと心から思う。




ソフィアのブティックを後にし、予約していたレストランで食事をした後は、セグノーツ学園に向かった。卒業生のソフィアと、来年入学するアレックスという事を伝えるとすんなり中に入れてくれた。カメリエ公爵家の紋章入り馬車も名刺代わりとなったのかもしれない。


「ここが中等部の一年生の教室よ。一年生の間は移動教室も少ないし、ここにいる事が多いと思うわ。」

「ここが講堂よ。入学式は毎年ここで行うはず。」

「ここが図書室ね。イルお兄様とライラお義姉様が逢瀬を重ねた場所らしいわ。」


ちなみに、イルバートとライラは無事に結ばれ、来月には結婚式を挙げる予定だ。アレックスとアンリが王都にいる時期を選んでくれたらしい。もちろん、ドレスはソフィアブティックに依頼が来たため、最高の仕上がりを約束した。ほとんど仕上がっているのだが、今は細かい修正や、タイミングをみてサイズ調整を行えば完成する。サイズ調整はギリギリに行わないと、当日に『きつい』『ブカブカ』なんて事になったら、目も当てられない。


「ここが食堂ね。デザートも置いているから、何か食べて帰る?」

「うん!」


1番人気のスコーンとトライフル、紅茶を頼んで席についた。貴族の通う学園のため、食堂のメニューも元の世界で記憶にある学食よりも豪華で、味もすごく美味しい。さらに注文はカウンターで行うが、番号札を持って席に着くと、料理は運んできてくれる。学園の閉園時間まで開いているため、ここでお茶をしてから帰宅する生徒も多い。


「美味しいね!学生になれば毎日ここに来られるの?」

「ええ、そうね。気に入って良かったわ。」


無邪気に喜ぶアレックスの姿を見てソフィアは微笑んだ。




「今日は本当にありがとう。すごく楽しかったよ。」

「喜んでもらえて私も嬉しいわ。お店も見にきてくれてありがとう。」


侯爵邸へ向かう馬車で、アレックスが改めてお礼を言ってくれた。その笑顔を見ながらなんて可愛んだろうと思っていると、アレックスの表情が急に真面目なものに変わる。


「お姉さんは今幸せ?」

「え?」


その呼び方に違和感を感じて聞き返す。アレックスはソフィアの事をいつも『姉さん』と呼んでいたからだ。アレックスは青く澄んだ瞳でソフィアを見つめる。


「アレックス?」

「お姉さんはソフィア姉さんじゃないよね?」


アレックスの核心をついた問いに、ソフィアは思わず息を呑んだ。

お読みいただきありがとうございます!

長くなりましたので、残りは後編に分けさせていただきます。

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