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満身創痍だったのでちょっと愚痴をこぼしたら、さらに身も心も削られました  作者: 朔島 涼


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SS②.ソフィアはお出かけしたい?!

「明日は久しぶりにお休みを取れそうなので、ちょっと遠出をしてみようと思います!」

「ほう。それはいい休日の過ごし方だな。ちなみに、誰とどこに行くつもりだ。」


ウィリアムの過保護は結婚後も変わらずで、まるで父親のようだなとソフィアは思う。


「エマとアンソニーとで、郊外にあるラベンダー畑を見に行ってみようかと。あっ、もちろん護衛も数人連れて行きますね。」


エマはローゼン侯爵家の侍女で、アンソニーは従者だ。お休みを合わせて、久しぶりに一緒に出かける約束を取り付けた。


「ふむ。それは楽しそうだ。気をつけていってくるといい。」

「はい。」


無事にウィリアムの許可がおり、満遍の笑みで返事をするソフィア。その日は明日に備えて早めに休む事にした。





しかし翌朝、公爵家の騎士服を颯爽と着こなし、にこやかにロビーで待つウィリアムを見つけてソフィアは固まった。正直めちゃくちゃカッコいいが、見惚れているわけではない。そう絶対に。決して。


「ウィル様?こちらで一体何をされているのですか?」

「楽しそうだから私も連れて行ってもらおうと思ってな。護衛として。」

「お仕事は?」

「休みをもらった。」

「馬車には乗れませんよ?」


ピクニックの用意を載せるため、馬車には3人しか座るスペースしかない。小柄な女性くらいであれば、もう1人乗れるかもしれないが、ウィリアムは絶対に乗れない。


「騎士らしく馬で並走するから問題ない。私の事は気にするな。」

「…。」


本当はめちゃくちゃ気になるが、言われるがまま気にせず用意を始める。お願いしていたお弁当とカトラリーやお皿の入ったトランクを調理場で受け取り、使用人から敷物などのピクニックグッズを受け取って馬車に積み込む。


「さあ、エマ、アンソニー。乗って!」

「ですが…。」

「公爵様がお乗りにならないのに…。」

「いいからいいから。空気だと思ったらいいそうよ。」


エマとアンソニーが恐縮してなかなか馬車に乗り込んでくれないため、ソフィアは安心させるためにニコリと笑う。


「そこまでは言っていない。護衛だ。」

「だそうよ。馬で並走してくれるみたいだから、私たちは馬車で行きましょう。」


早く出発したいソフィアはエマとアンソニーを無理やり馬車に押し込んだ。


「ふぅ。で、元々お願いしていた護衛の方々がいらっしゃらないのですが?」


5人護衛をつける予定だったのため、お弁当も8人分お願いしている。


「私1人いれば十分だと思うが?まさか、私よりも公爵家の騎士の方が良いと…」


まあ、ウィリアムに5人分食べて貰えばいいか。


「いえ、問題ありません。ウィル様がいれば安心ですわ。」


ウィリアムの瞳がチラチラと赤く見えはじめたので、ソフィアは食い気味に答えた。ウィリアムの嫉妬のスイッチを押してしまったらピクニックどころではなくなる。それにしても本来の騎士たちはどこに行ったのかしら?騎士服を剥ぎ取られて縛り上げられていない事を願っておこう。





「うわー。綺麗ですね。」

「本当、素敵です。」

「落ち着く香りがしますね。」

「ほう、これは見事だな。」


馬車を降りると、目の前にラベンダー畑が広がっていた。一面に紫色の小さな花が咲いていて、ほのかに香るラベンダーの香りに癒される。アンソニーが畑の持ち主に許可を取ってくれたので、畑の中の小道を歩かせてもらった。さらに近くでその美しい花を愛で、香りを楽しませてもらい皆大満足である。その後はラベンダーが見渡せる少し高くなったところに敷物を敷いて、ピクニックを楽しんだ。


「誰だ、この馬鹿げた量のお弁当を頼んだのは?」

「ですから、他の護衛の方はどうされたのですか?と聞きましたよね?」

「もともと8人でくる予定だったものですから。」

「ああ、なるほど。私のせいか。ははは…。」


ウィリアム、笑って誤魔化すタイプだった。


「ちなみに元々いらっしゃる予定だった騎士の方々は?」

「彼らは…。」




「俺たち今日はソフィア様とピクニックの予定だったんですけどー!」

「なんでこんな事にー!」

「ぎゃーーー!」


ウィリアムの代わりに魔法騎士団に放り込まれ、魔獣討伐に借り出されていた。


「公爵様の代わりなんてマジ無理ですー!」


縛り上げられていた方がマシであった。




8人分のお弁当を4人で何とか完食した一行は、気持ち悪すぎて帰りは1時間ほど徒歩で歩いたのち、馬車に乗って…寝た。結局今日もウィリアムに振り回された1日であったが、それもまた良しと思うソフィアであった。


「そういえば、ソフィー。エマとアンソニーに大事な話があるのではなかったか?」

「あ…。」


ソフィアブティックが軌道に乗り、かなり忙しくなってきたため、エマとアンソニーに引き抜きの話をするつもりだったのだ。もちろんローゼン侯爵には話を通してある。


「忘れてた…。」


出発前から想定外のことがあって、すっかり忘れていた。


「ははは。まあ、そんな日もあるだろう。む、なんだその目は。」


笑うウィリアムに対して、誰のせいだよ…と半眼で見つめるソフィア。だが、人のせいにしても始まらない。翌朝、店に出勤する前にローゼン侯爵家に立ち寄り、再度引き抜きチャレンジを行った結果、ふたりとも快く了承の返事をくれた。1日遅れで当初の目的を達成したソフィアは、ほっと胸を撫で下ろすのであった。


ちなみに魔法騎士団に出勤したウィリアムは、レイモンドに極寒の笑顔で半日怒られたとさ。

お読みいただきありがとうございます!


密かに新作もスタートしております。

二章がスタートしたところですので、よかったらそちらもお立ち寄り頂けると嬉しいです。


では。

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