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満身創痍だったのでちょっと愚痴をこぼしたら、さらに身も心も削られました  作者: 朔島 涼


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SS①前編 次はイルバートの番【5500PV御礼!】

「そういえば、イルバート。お前は何歳になる?」

「もうすぐ22歳になります。」


ローゼン侯爵邸の朝食室。ソフィアはカメリエ公爵家に嫁ぎ、アンリはローゼン領に帰っているため、イルバートはローゼン侯爵と2人きりで食事をとることが多い。


「ソフィアも無事に嫁いだことだし、お前もそろそろ…」

「すみません、私急用を思い出しました!」


朝食の途中であったが、都合の悪い話題を出される予感に、素早く立ち上がって私室に戻る。そして、あっという間に支度をすると、ローゼン侯爵を置いて先に1人で登城してしまった。


「ふぅ。ソフィアが落ち着いたら次は私の番だと思っていたが…。困ったな。」


イルバートは苦笑いをしながら職場に向かった。




学生の頃から女性に追いかけ回されてきた経験を持つイルバートは、やや女性恐怖症気味であり、仲の良い女性以外と接するのは苦手なのだ。そして、今日も彼は令嬢に追いかけられる。


「イルバート様、ここで何を?」

「ライラ、すまないが少しだけ匿ってくれ。」


その一言で全てを察したライラは自身が背にしていた扉の向こうにイルバートを押し込む。次の瞬間、バタバタと若い令嬢たちが走ってくる。


「あれ?イルバート様、こちらにいらしたと思うんだけど…。」

「イルバート様ならあちらに向かわれましたよ。」


ライラは令嬢たちが走って来た廊下と別の方向を指差す。


「あっちですね!」

「行きましょう!」

「ええ!」


5人の令嬢たちはライラの指差した方向に走っていった。その姿が完全に見えなくなるのを確認してから、ライラはイルバートを押し込んだ扉を開く。


「皆さん通り過ぎて行かれましたよ。」

「ありがとう、助かったよ。」


イルバートは恐る恐る扉から出てくる。


「まあ、相変わらず人気ですこと。」


ライラはため息混じりに呟く。


「仕事中なのにまいったな。レイもウィルも結婚してしまったからね。同世代でまだ独り身の私に乗り換えた令嬢もいるのだろう。最近は更に酷くなっている。」

「イルバート様もご婚約でもされてみればよいのでは?少しは落ち着くと思いますよ。」

「そう簡単に言ってくれるな。」

「ふーん。まあ、わたくしが言えたことではありませんけど。では、また。」


興味なさげに返事をしたライラは身を翻して立ち去ろうとする。その後ろ姿を見て、イルバートは思わず腕を掴んだ。


「まだ何か?」

「あの…、私と婚約してくれないか?」

「それは『婚約者のフリ』をするということでしょうか?」


ライラは首を傾げる。


「ち、違う。本当に婚約してほしい。何だか今、ふとそう思った。」

「婚約者のフリくらいなら付き合いますけど。そんな『良いこと思いついた!』的な感じでプロポーズされても…。」

「すまない。でも、本気なんだ。」


ライラは大きく息を吐いてから答える。


「はぁー。…あのですね、わたくしイルバート様の事ずっとお慕いしておりました。」

「え、それじゃあ…」

「でも今のやり取りで幻滅しています。」

「そんな…。」


イルバートは眉を下げ、ガックリと肩を落とす。


「まあ、きちんとプロポーズし直してくれるなら考えてみても良いですが。」

「本当か!」

「…ええ。」

「分かった、出直してくる!」


息を吹き返したイルバートは、その場から足早に立ち去った。



「で、僕たちに相談に来たと。」

「ほう、面白そうだな。ぜひ力になろう。」

「絶対に人選ミスだと思うけどね。」

「令嬢が喜ぶプロポーズか…。」


ひとまず、レイモンドとウィリアムの所へやって来たイルバート。ふたりとも意外と真剣に考えてくれている。


「僕たちは学生の頃から将来の話をしていたし、プロポーズ的なことは特に。強いて言うなら、婚約者指名の儀くらいかな。」

「びっくりするくらい参考にならないな。」

「ねえ、僕まあまあ忙しい王太子なんだけど。その僕を捕まえてそれはないんじゃない?」


甘い笑顔のままキレるレイモンド。


「それじゃ次は私の番だな。プロポーズといえば、やはり馬に2人乗りして向日葵畑を走りながらに決まっている。」


レイモンドの怒気を華麗に無視してウィリアムが提案する。


「何だかそれらしいの出してきたけど、ウィルの真似をするのは癪だな。」

「おい。」

「じゃあ、忙しい所邪魔したね。また来るよ。」


イルバートはレイモンドの執務室を後にした。


「我々の方が度々変わり者扱いを受けるが、あいつが1番マイペースだよな。」

「そうだね。まあ面白いからいいけど。ふふふ…。上手くいくかな、プロポーズ。」



「そうねえ、プロポーズかあ。」

「何かいい案はないかな?」


次はエアリスを訪ねてきた。さすがに私室には入れないため、アポイントを取って応接室まで出てきてもらった。


「わたくしはレイモンド様からでしたらどんなプロポーズでも嬉しかったと思うので。うーん。ちょっと思いつかないですね。強いて言うなら、婚約者指名の…」

「ありがとう、参考になったよ。」


王太子妃の言葉の途中で退室するイルバート。


「まあ。さすがイルバート様ですわ。でも上手くいくといいですね。」


エアリスは苦笑いを浮かべながらお茶を用意しかけていた侍女の手を止めた。

長くなってしまいましたので、明日続きをアップします。


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