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満身創痍だったのでちょっと愚痴をこぼしたら、さらに身も心も削られました  作者: 朔島 涼


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20.今度はきちんと伝えましたよ

しばらくの歓談の後、ダンスタイムが始まった。トップバッターは国王・王妃ペア、その後王太子・王太子妃ペア、次に続くのはもちろんウィリアム殿下・ソフィアペア。心臓が口から飛び出そう。ダンスをきちんと習得してくれていたソフィアの身体に感謝である。


しばらくはカチカチになって踊っていたが、目の前のウィリアムがこれ以上ないくらい嬉しそうなので、ソフィアも笑えてきた。


「殿下、嬉しそうですね。」

「そうだな、こんな風にソフィーと踊れる日が来るとは思わなかった。感無量だ。」

「それはよかったですわ。」


少しだけ涙目のウィリアムを見て、再び笑ってしまう。なんだかんだ楽しい時間を過ごして、3曲目の曲が始まったところで、ダンスホールを抜け出した。

その頃には多くのペアがダンスを楽しんでいて、会場は華やかなムードである。


「わたくし、そろそろ帰らせていただきますわ。」


ニコッと笑ってウィリアムを見上げると、彼は先ほどまでとは全く違う表情に変わっていた。拗ねている。可愛い。


「帰るというのは、王都の侯爵邸ではなく、ローゼン領の事で間違いないか?」

「そうですわ。あまり時間がありませんので、今日この足で向かいたいと思います。わたくしたちの婚約者指名の儀までには必ず戻って参りますから。」


敢えて、『わたくしたちの』を強調する事で、いくらかウィリアムの機嫌を取り戻し、王宮を脱出する事ができた。


宣言通り、侯爵邸に立ち寄り軽装に着替えてから、用意していた荷物と共に馬車に乗り込みすぐに出発した。もちろん王宮の往復で使っていた、家紋入りのものではなく、シンプルな馬車に乗り換えている。前回と同様、護衛もつけているが、貴族令嬢のひとり旅は油断できないため、一応カモフラージュだ。


前回は早朝に出発したため、2日とも夜は宿で過ごしたが、今回はその時間も惜しい。1日目は夜通し移動して、翌日は早めに街に立ち寄ってそのまま宿をとった。今回も3日目の夜に到着したが、夜遅かったため軽食だけ摂ってすぐに休むことにした。



「流石に身体が痛いわね…。」


翌朝起きると、あちこちが筋肉痛のような痛みが走る。夜会へ出席した後、そのまま馬車で夜通し移動するなんて、普通の令嬢では考えられないスケジュール管理だ。


「でも、休んでたらこの日程で来た意味がないわ。」


無理やりベッドから起き上がり、軽く身支度を済ませる。


「こちらは少し肌寒いわね。」


ローゼン領は王都よりもかなり北に位置しているため、気温もだいぶ違う。羽織を取りにワードローブに入り、ソフィアはそのままそこで半日立て篭もった。


実は、前回の帰省で部屋の本棚は全て確認したのだが、王都へ戻る日、支度をしている際にワードローブの奥にも本棚がある事に気がついた。気がついたのだが、流石にそれを物色する時間はなく、後ろ髪を引かれる思いで馬車に乗り込み王都に戻った。


「やっぱり、日記はここに隠してたのね。」


そこには2冊の日記と服飾デザインの本、経営学の本、それとたくさんのデッサンノートが並べられていた。


「ドレスのデザインがしたかったのかしら…。ううん、違うわ。経営や接客も勉強していたし、自分でお店をやりたかったのね、きっと。」


色とりどりのおしゃれなドレスが並んだワードローブ、そこに隠された本とデッサンノート、そしてソフィアの領地での行動を思い出してひとつの答えを見つける。


ソフィアはドレスのお店を持ちたかった。


「そうね。日記を読んでみても、ドレスのデザインを勉強した、経営の事を教えてもらった、街の店を見学させてもらった、という様な出来事が綴られているわ。」


しかし、この日記には実際に起こった事のみが記されていて、この時何を思っていたのか、どんな気持ちでいたのかなどは記されておらず、ソフィアの内心を窺い知ることができない。


「難しい。ドレスのお店をやりたいのなら、やればいいんじゃない?お金もたくさんあるんだし。なんで『私』と入れ替わる必要があったのかしら。」


更なる謎を呼びつつあったその時、同じ様な内容が記され続けていた日記にある日の夢の記述がされていた。

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