第2話『生徒会長はツンデレで鬼畜!?平穏の敵は美少女ばかり』
「……で、君はなんでそこにいるんだ?」
その朝、俺の席の隣にいたのは――この学園一の才媛と名高い生徒会長、白雪ミコだった。
俺が教室のドアを開けた瞬間、空気が凍ったような感覚。周囲の生徒が全員、俺に視線を向けていた。
その原因はただひとつ。
「…………」
白雪ミコが、俺の席で俺の机に肘をついて、じっと俺を睨んでいる。
「相田ハル。昨日、あのような部に入った理由を説明してもらおうかしら」
「部って……恋愛応援部のことか?」
「そう。それよ。あれは……学園の秩序を乱す違法組織よ」
「えっ!? 非公認部活じゃなかったの!?」
「それ以前の問題よ! 恋愛を“操作”しようとするなど、倫理的にも問題だわ!」
(……まぁ、確かにBGMとか爆発装置とか仕込んでたしな)
「それにしても……なんで君がそんなに怒ってるの?」
「別に怒ってなどいないけれど?」
言葉に反して、白雪ミコの眉はぴくぴくと跳ね、拳は小刻みに震えていた。
「……別に、あなたが他の女の子と楽しそうにしてたからって……気になんかしてないから……!」
(あー、これ……完全にツンデレだ)
そんな修羅場寸前の空気を吹き飛ばしたのは、廊下からやってきた1人の少女だった。
「ハルくーん!! お弁当、家に忘れてたから持ってきたよ~っ」
そう言いながら教室に乱入してきたのは――俺の幼なじみ、水瀬カナ。
黒髪のポニーテールが風を切り、手には俺のキャラ弁が。
(いや、ありがたいけど、タイミング悪すぎる……)
「ちょ、ちょっと!? 彼女、だれ?」
「え? 私? 幼なじみだよ? ハルとは小学校からず~っと一緒!」
「へぇ……そう……ずっと……?」
ミコ会長の笑顔が怖い。
「それって、つまり……あなたが一番、相田くんの“内情”に詳しいと?」
「うん! パンツの色から寝相までぜーんぶ知ってるよ!」
「ちょっ!? 言うな!!」
教室が爆笑に包まれる中、ミコ会長はこめかみを押さえながら呟いた。
「……倫理委員会に報告するしかないわね……」
その日の昼休み。
俺は、屋上に呼び出された。
「……で、君はなにがしたいわけ?」
目の前には、恋愛応援部 部長・宇佐美リリカがニッコニコで麦茶を渡してくる。
「何がしたいって……俺はただ平穏に暮らしたいだけなんだよ」
「ダメダメ。それじゃ**青春力**が足りないよ!」
「は?」
「学園の“恋愛エネルギー”が減ると、この校舎は崩れるのよ」
「……はあああ!?」
「嘘だけど」
ぶん殴っていいか?
「でもね? この学園では“恋してなんぼ”なの。だから私たちの部活が、みんなの青春をプロデュースしてるってわけ!」
「そりゃ勝手すぎる……」
「じゃあこうしよう。あなたの恋愛をプロデュースさせて。三週間だけ! それで満足しなければ、部活から脱退してもいいよ!」
……なんだその妙に現実的な交渉術は。
そして、俺の目の前に出されたのは、謎の「恋愛目標シート」。
【目標】
①3週間以内に「ドキッとするイベント」を3回起こす
②キス未遂イベントを1回起こす
③ヒロイン候補を3名以上巻き込むこと
「こっちはすでに幼なじみと生徒会長がいるから、残り一人だね♪」
「……なんでお前らそんなに手際がいいんだよ」
その放課後、図書室で俺は“その子”と出会った。
ひとりぼっちで、無表情で、本を読みながら時折俺をチラ見してくる。
髪は銀色、肌は雪のように白く、整いすぎてるほど整った顔立ち――
「……あなたが、相田ハル?」
「え、ああ……そうだけど?」
「興味があります。あなたの行動パターン、恋愛の傾向、会話の分析……」
「なんかホラーじみてるな!?」
名乗った名前は――天宮メイ。
転校してきたばかりの、ちょっと不思議な女の子だった。
「では、これより“観察”を開始します」
彼女は俺の制服のボタンをじっと見つめながら、スッと近づいてきて――
「第一段階:距離感の把握」
「ちょ、おい、顔近いって!!」
このとき俺は知らなかった。
天宮メイが、実は“ある計画”のためにこの学園に送り込まれた存在だったことを――。
第2話、いかがでしたでしょうか!
ツンデレ生徒会長とのすれ違いバトル、幼なじみ爆弾の投下、そして第3のヒロイン・天宮メイの登場と、どんどん恋愛応援部の“戦線”は拡大中!
ラブコメの王道を詰め込みつつ、ギャグやテンポも意識して構成しています。次回は「キス未遂イベント」か……?
読んでくださり本当にありがとうございます!
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あなたの応援で、ハルの平穏はますます遠のきます!