3.初スキル
「ユリウスが言ってたように腐肉人まみれだな」
ロバートがそう言うのも無理がないほどに下層は腐肉人に支配されている。
だが冒険者達の素早い制圧によってだんだんと活動範囲が広がっていく。
「僕も殺さないと」
僕はナイフを構えてまだ未探索の家に近づく。
「ついてやってくれミーナ」
「オッケー、ロバート」
黄色のショートのミーナは軽い口調で承諾すると隠密を使って気配と姿を隠してユリウスの後を追う。
「この家の構造だと入ったらまずいか」
リビングと廊下への道に加えて玄関の近くに二階に繋がる階段があるため射線が三箇所通ることになる。だから入口を開けて一つの射線で戦う。
本当なら弱点である火の魔法を使いたいところだが戦士と言った以上撃てない。
「お前達さえいなければ」
僕はきりがない腐肉人の群れにそう呟くとナイフを握る手に力を込めた。
「よし、中層への道も確保できたな」
約二時間経つと腐肉人もだいぶ処理出来て一息つく。
「ミーナ、中層を見てきてくれ」
「ほいきた、任せんしゃい」
「一人で行かせるの?」
「そういう役割だからね」
「ミーナの職業は盗人だ」
盗人はピッキングや姿を消せたりすることが出来る。
「その中でもミーナは〈隠密〉のスキルを持ってるからな」
「〈隠密〉?」
「姿と足音を消せるスキルだよ」
ミーナはそう言うと〈隠密〉を発動すると認識しにくくなる。
「まあそこにいるって分かってたら隠し切れないけどね」
「下層から発動していればバレないさ」
「加えて〈変化〉も使うよ」
ミーナはそう言うとゾンビに姿を変える。
「このスキルは魔法じゃないから見破られにくいんだ」
ロバートはそう言うとお札のような物を渡す。
「何それ?」
「これは呪符だよ。簡単に言えばくっつける爆弾だね」
要するに暗殺の役割も担っているのか。
「召喚士を殺ってくるよ」
「あぁ、頼む」
二人は拳をくっつけるとミーナは中層へ出ていった。
「〈隠密〉か」
見た感覚で言うと透明になるというより存在を周りに隠すという印象を受けた。
背景や周りに存在するものに自分を紛れ込ます。
「……多分出来るな」
スキルという形では目覚めていないが僕がこの下層で命のやり取りをしていた時には必須だった技能だ。
獲物が入って来るのを息をひそめ、気配を殺し殺意を隠すために心を殺す。
シャーロットと過ごす中でも失った感覚だ
つまり今の僕にはそれが出来ないわけがない。
「……何だ?」
僕は腐肉人に向かって真っ直ぐ歩いていく。
心を殺してまるで空気のように存在しないものとして気配を無くす。
そうすれば敵は僕を認識出来ない。
そのまま認識出来ないまま首を落とす。
「ユリウス?いつの間に?」
「スキル〈隠密〉を獲得しました」
〈隠密〉効果:気配を消して相手に自分を認識出来なくさせる。
「まだまだ足りない。こんなんじゃ魔王は殺せない」
覚醒の足音が少しづつ近づいている。




