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決闘

サブタイトルを諸事情で変更しました。


 なんて答えるべきだ?

 シンプルに戦いたかったっていうのはダメな気がするし……。


「どうした? 答えられないのか?」


「いや、その……」


『何迷ってんだよ〜』


 黙ってろお前は!


 コウが返事に困っていたそのとき――。


「おいおいライネさんよー!」


 扉の外からドカドカとした足音と声が聞こえてきた。


「む?」


 足音が部屋の前で止まると、勢いよく扉が開いた。


「要は不正をしていないかの確認だろう? だったら俺と戦えばいいだろうがっ」


 ……デカッ!


 毛皮を背負っているような服を着た大男が部屋に入ってきた。

 頭にはバンダナを着けている。


「ダリア、一体何をしに――」


「俺も気になってたんだよ。妙な甲冑の冒険者が出てきたって聞いてよ」


 どうやらこの男、ダリアと言うらしい。

 武器は棍棒だろうか。


「よし甲冑野郎。俺と勝負だ」


 ダリアはコウを指さした。


「勝負?」


「決闘だよ決闘」


 指の関節をゴキゴキを鳴らし、気合十分のダリア。


「待てダリア。勝手に話を進めるな」


 ライネが立ち上がって間に入る。


「いいだろ別に。その方が手っ取り早いだろ」


「確かにそうだが、怪我が治ったとはいえ、まだコウは本調子じゃない。それに君とでは差がありすぎる」


 言われて気づいたが、怪我が治っている。

 甲冑の傷も一緒に直ってる……。


「まあ腕試しだと思って気楽にやってもらえばいいだろ」


 なんだか好戦的な人が来た。

 態度も悪いし、相当偉いか強い冒険者か?


「そうは言っても……」


「――俺はやってもいいですよ」


「なっ……」


「ハッハァ! そうこなくっちゃ」


 ダリアは上機嫌になった。


「待てコウ。言ってはなんだが、今の君では歯が立たないぞ」


「……ライネさんは俺の不正を疑っているんでしょう? だったら決闘という形が一番分かりやすいと思います」


「それはそうだが……」


「じゃあ決まりだ。明日の昼に、ギルドの裏にある決闘場に来い」


「分かった」


「よし。じゃあ帰る。じゃあな」


「お、おいっ!」


 止めようとしたライネを無視して、ダリアは部屋を出ていった。


「……はぁ。良かったのか? ダリアと決闘なんて」


「まぁ……決闘って、一体一で戦うんだろ?」


「それはそうなんだが、ダリアは最近A級になった冒険者だぞ?」


 ……え?


「……え?」


「だから止めろと……」


「レベルはどのくらいですか?」


「詳しくは分からないが、基準で言うと、A級は60レベル以上だ」


 45レベルも差があるじゃねぇか!


「ちなみに決闘で死ぬことはないですよね?」


「そこは安心してくれ。死なないようにはなっている」


 良かった。

 いきなり来た大男にアッサリ殺させるのはごめんだしな。


「ふぅ。俺は決闘で勝つしかないんですか?」


 決闘で証明しろということは、やはり勝つしか……。


「流石に無理だろう」


「……ですよね」


「だから、君の疑いを晴らす条件は――」


 ライネはコウに、条件を伝えた。


「――本当にそれだけでいいのですか?」


「ああ。D級冒険者がA級冒険者と戦うんだ。これでも十分すぎる条件だ」


「……分かりました。クリアしてみせます」


「頑張ってくれ。あっ、これを渡していなかったな」


 ライネはそう言うと、小袋を取り出した。


「それは?」


「今回の報酬だ。依頼の紙通りだ。受け取ってくれ」


「わざわざありがとうございます」


 コウは受け取ると、袋の中を確認する。

 袋の中には銀貨が5枚あった。


「では私はそろそろ行くよ。明日までここでゆっくり休んでもいいし、出ていっても構わない」


「何から何までありがとうございます」


 部屋を出ていくライネに、コウはベッドから立ち上がって礼を言った。


「そう言えば、さっき聞いた冒険者になった理由は、また今度聞くとするよ」


 口調が落ち着くと、ライネはそう言って部屋を出ていった。


「……はぁ」


 ライネが部屋から離れたことを確認したコウは、再びベッドに身を投げた。


 想定外のことが起き過ぎてる。

 だが、上手くいけば……。




◇ ◇ ◇




 ――リーゼンの町・決闘場


「さて、甲冑野郎はまだかな」


 太陽が真上に昇る頃、決闘場の入口でダリアが腕を組みながら待っていた。

 何かが入った長細い袋を背負っている。


「――待たせたな」


 コウは準備万端で、決闘場にやってきた。


「ハッ、遅れて登場とはな」


「悪いな」


 ダリアはコウが来たのを確認し、決闘場の中に入っていった。

 コウもダリアの後について行った。




◇ ◇ ◇




 2人は薄暗いトンネルを進む。


「この場所はな、真ん中にデケェ決闘場がある。そしてその周りには4つのちいせぇの決闘場がある。俺たちはもちろん真ん中のデケェとこな」


 ダリアがこの決闘場の説明をする。


「もちろん席もあるから見に来る奴らもいる。しょうもねぇ試合するなよ」


「もちろんだ」


 ダリアの脅しに屈せずことなく、コウは返事をした。


「へっ、いい返事なこった。あとな、死の危険を感じた瞬間、審判が止めに入る。その直後、【防護スキル】が発動して、身を護ってくれる」


 昨日リーダーが言っていたことはこのことか。


「分かった」


「よし。そろそろ着くぞ」


 ダリアがそう言うと、右手に受付のようなものが見えてきた。


「受付?」


「ああ。先に予約してればすぐ通れるぜ。あそこの横の扉が控え室に繋がっている」


 ダリアはそう言うと、受付で話を始めた。

 コウは離れた位置で待っていた。


 機嫌を悪くしてない辺り、多分予約してたんだろう。


「おい! 行くぞ!」


 手続きが済んだのか、ダリアが呼んできた。


「……よし」


 コウは覚悟を決め、ダリアの元に向かった。




◇ ◇ ◇



 ――リーゼンの町・決闘場控え室


 控え室は質素なデザインで、椅子と机、そしてベッドが置いてあった。

 係が呼びに来るまではこの部屋で待機する。


「ふぅ……」


 コウは椅子に腰をかけた。


 俺は条件をクリアできるだろうか。

 ダリアが背負っていた袋を見る限り、武器は長物であることは間違いない。

 やはり読み通り棍棒の類だろうか。


「絶対力負けするよなぁ」


 あの巨体から繰り出される攻撃は、まともな喰らったら終わりだ。

 【モード:士魂スペリア】がどこまで通用するかだな。

 今の俺じゃ長時間は使えないし。

 体力消費凄いし。


「あークソッ! 下向きに考えちまうな〜」


 対策を悩みに悩んでいると、ドアをノックされた。


「コウさん。お時間です」


 ガチャっと開けたドアからは、名簿を持った係の人が入ってきた。


「わ、分かった」


 結局まとまらなかった。


 コウは係の人についていき、部屋を出た。

 またしても薄暗いトンネルを歩く。


 すると、前方から光が溢れているのに気づいた。


「では私はこれで。健闘を祈ります」


 係の人は立ち止まり、コウを見送った。


「……」


 視界が光で霞む中、歩き続けると、トンネルから抜け出した。


「おっ! 出てきたぞー!」


 トンネルを抜けた先は、円形の決闘場が広がっていた。

 決闘を見に来た人も数多く、コウが出てくると、ワッと歓声が上がった。




◇ ◇ ◇




 ――第1決闘場


「これが……」


 コウは思ったより沸いている歓声に、思わず驚いてしまう。


「おいおい。そんな調子で戦えるのかぁ?」


 対角上のトンネルから、ダリアが出てきた。


「うおおおおおおっ!」


 観客は、コウが出てきたより盛り上がった。

 それもそのはず、A級冒険者の決闘はほとんど見ることがないからだ。


 コウはその中、出てきたダリアをじっくり観察していた。


 右手に持つあの武器は……。

 棍棒ではなく金棒か。

 それにしては形が四角いというか、上から見るとひし形になっているのか?


 想像している金棒とは違い、コウはその武器の危険性を考える。


「まあそう警戒すんなって。あくまでお前の力を試す決闘だぜ?」


「両者! 中央に!」


 審判が別のトンネルから現れ、中心に小走りで寄ってくる。

 2人も審判の元に向かった。


「では今から【防護スキル】を付与します」


 そう言うと、両手をそれぞれの胸にかざした。

 両者の体が青色に光る。


「おお……」


 光は一瞬にして消えた。


「私が危険と判断したとき、【防護スキル】が発動します。気絶した場合、降参を告げた場合か、【防護スキル】が発動した瞬間決闘は終了です。質問はありますか?」


「なし」


「同じく」


 ダリアとコウが質問はないと言った。


「では両者握手を」


 審判に言われたとおり、2人は握手をした。


「……」


「フッ、面白いもん見せてくれよ」


「では両者元の位置へ」


 2人は握手を終えると、背を向けて元居た位置に帰っていく。


「準備はよろしいですね! では両者構え!」


 コウは剣を引き抜き、両手で握りしめた。

 ダリアは金棒を肩でトントンとして、余裕な態度を取っている。


「これより! ダリア対コウの決闘を始める!」


 会場が一瞬静まる。


「――始め!」


「うおおおおおおおおっ!!!」


 解錠が揺れるほどの感性とともに、2人の決闘は始まった。




【決闘】

 ・物事を決める際にする場合が多い。他にも、シンプルな力比べなどにも使われることもある。

 ・決闘場では、年に数回大会が行われることもあり、その時は観客席から観客が溢れるほど盛り上がるとされる。

 

 

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