第9話 隠していた特技
「それにしてもお父様、とてもいい方ですね」
うーん。まぁいい人ではあるな。
「いい人なのは認めるがオヤジギャグ的なのがうるさいな」
「ふふっ、藍原くんを喜ばせようとしてくれてるんですよ」
そうか…喜ばせようと、か。
「甘倉、そろそろ降りるぞ」
………
……
…
俺達はモールに入り、モールの暖かさにしばらく浸っていた。
「あの、せっかくなので他にも買っていいですか?」
「いいけど?」
むしろ運動になって俺には好都合だ。
「では、冬服をもう少し増やしたくて、Right-offに寄って行きますね」
「それなら俺も買うとするか。甘倉もここ使ってるんだな」
偶然、俺も服を買うときはRight-offを使っている。
「通りで今日の服は少し見覚えのある服なのですね」
それはお互い様だ。
俺もいい服を探しに店内へ入った。
モールは今いるモールのほうが学校近くのモールよりも狭いが、1店舗が広く大体の物が揃っている。
(これ、良いかもな)
色々見て回っているうちに、甘倉の方が少し騒ぎになっていることに気がついた。
騒ぎと言うには大げさだが、人が集まり始めていた。
相変わらずの人気っぷりだなぁ…
甘倉は人形じゃないが。
俺は甘倉の方へ向かうことにした。
『お、お客様…何着ても似合いますね………』
「ありがとうございます…ですがあまり今日はお金を持ってきていなくて…どちらか選んでいただけませんか?」
「俺が選ぼうか?」
「あ、藍原くん!?、い、いつから居たんですか…」
「そんなに恥ずかしがることか?」
『いいですね、彼氏さんに見てもらいましょう』
彼氏…訂正しようとしたが甘倉のアイコンタクトで言いかけてやめた。
ここは合わせろということか。
あからさまにナンパをしようとしていた男たちが次々と帰っていくのが見えた。
(流石にそこまでは頭が回らなかった…)
流石甘倉といったところだ。
よくナンパされるからか、ナンパの回避方法をよく知っているのだろう。
「その…どっちが似合ってますか?」
どちらも似合いすぎる。
鼻血が出ていないか心配になるほどに。
「……片方俺からのプレゼントということでどっちも買わないか?」
「いいんですか?」
「どっちも似合ってる。それに甘倉もどちらも欲しいんだろ?」
「あ、ありがとうございます…」
これは建前で本当は両方の甘倉が見たかっただけだ……
「ほれっ。荷物持ってやる」
「あ、ありがとうございます…」
………
……
…
「次どうしますか?」
「そう言えば甘倉はゲームセンター行ったことないだろ」
「確かに…そうですね。行ってみたいです」
やはりな。
そうしてゲームセンターまでやってきた。
「凄い音ですね……」
「あぁ…うるさいよな…嫌だったら言ってくれ」
どうにか未来の技術で防音にならないのかと毎回思う。
そんなことはどうでも良くて。
「嫌ではありませんよ。楽しみです。あのタイルが敷いてあるピアノみたいなものはなんですか?」
「音ゲーだよ。実は俺上手かったりする」
「なら見てみたいです!」
…そう言われると難しいのは音ゲーマーあるあるなのだろうか?
いや、そもそもそんな俺は言われたことないのだが。
「分かった…好きな曲選んてくれ」
「どうやって選ぶのですか?」
あ、そっか、そこからか。
俺は色々と操作方法やルールを教えた。
「じゃあお手本お願いします」
「はいよ………って、あ…甘倉…それ最難関……」
「そ、そうだったのですね……」
2054ノーツ。
アーケード音ゲーでは最多ノーツ数を誇る曲。
音ゲーではよくラスボスに使われる曲だ。
〜〜〜
〜〜
〜
「惜しい…フルコンボ」
あと少しでAPだったのだが、甘倉のせいではないが緊張で終盤手が固まったせいだ。
「す…凄いです!その、手が速くてとにかく凄かったです!」
「ありがと」
次は甘倉の番だ。
この音ゲーは100円で2曲できるので、もう1曲は甘倉に譲ることにした。




