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第7話 贈り物

『なるほどね〜2人は隣同士で会長が今日作りすぎておすそ分けしたのね』


誤解は解けたみたいで良かった。

因みに山野先輩が俺たちのことを会長や副会長と読んでいるのは、役職ではなく半ばあだ名の様なニュアンスで読んでいるからだ。


『そこまではわかるが甘倉君が藍原君のことを藍原くん、と読んでいたことが気になるな』


相変わらず九条先輩は鋭い。

だが本当に誤解だ。


「同級生なのに副会長と呼ぶのはあまり堅苦しすぎるかな、と思ったのですが全員の前ですと色々問題があるので…」


特にやましいことのないので普通に弁解しようとしたが、甘倉が先に説明してくれたのでその必要はなかった。


『ああ、そゆことね。てっきりもう付き合ってるのかと思ったよ』


『同感だ』


「違います」


………

……


俺は午後の数学のテストが始まるまで、午前の最初に行った国語の振り返りをしていた。


(しまったな…1問間違っている)


記憶力のいい藍原は脳内で問題を思い返し、もう一度解き直すことができる。


そんなことをしているうちに数学の用紙が配られ始めた。


ふと甘倉の方を向くと緊張のせいか、心なしか俯いていた。


(日頃の感謝というほど仲は良くないが、帰り何か買ってあげようかな)


定期考査の成績発表日にサプライズとして渡すつもりのプレゼントを考えることにした。


………

……



〜定期考査最終日、生徒会室にて〜


『あと1教科だね〜』


「山野先輩は自信あるんですか?」


俺は気になったことを聞いてみた。

が、本当に聞きたかったのは甘倉の方だ。

ただ、ずっと俯いている甘倉に聞く自信が無かった。


『正直無いかな。でも10位以内には入ってるんじゃない?』


「それで十分ですよ。それでも全体の3%ぐらいなんですから。もっと自分を褒めていいと思いますよ」


山野先輩を褒めるふりをして間接的に甘倉を褒める作戦だ。

どうやら上手く行っているようで、甘倉の表情もどこか和らいできた。


「藍原くん。私を慰めようとしてるのバレてますよ…。それに1位の藍原くんに褒められても嬉しくないですよ」


「ははっ、ばれてたか。まぁでも甘倉も自分に自信持ったほうがいいぞ。折角のいい顔が暗い顔してると勿体ないぞ」


俺は冗談も込めて褒めてみた。


「あ…ありがとう…ございます…」


『はいそこいちゃいちゃしない』


「「してません!」」


………

……


〜帰りのバスの中にて〜


今日は成績発表の日だった。


国語はやはり1問間違っていたが、今回は調子がよく、国語と美術、理科を除く教科で満点をとった。


順位も変わらず1位。

安心した。


だが大事なのは俺の方ではない。

肝心の甘倉はというと、案外成績がよく3位。


甘倉も胸をなでおろしていた。


「良かったじゃないか、甘倉」


「はい。ただ1位はとれませんでしたので後であの人になんて言われるか」


そんなこと気にするな、なんて言えたらいいのだろうが。

俺が言ったところで無責任な言葉にしか聞こえないだろう。


「まぁ、俺がいる限り1位は無理だろうな」


「ふふっ、その通りですね」


その後も話し続け、お互いの部屋の前についたところで例のプレゼントを渡すことにした。


「あ、あのさぁ甘倉。お疲れ様のプレゼントと言ったら大げさだが、日頃の感謝と思って受け取ってくれ。それじゃ」


「え、あっ、待ってください」


「なんだ」


「あ、ありがとう…ございます」


「どういたしまして」


それだけ言って恥ずかしくなり、お互いささっと部屋に入ってしまった。


プレゼントしたのは猫の可愛いぬいぐるみ。


ぬいぐるみと言ってもそこまで大きいものではないが、手のひらサイズで俺のカバンと財力に合う贈り物だ。


喜んでくれるといいなぁ。


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