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第3話 初めての牛丼

「それで甘倉は何か食べたいものとかあるか?」


あの親の格好や持ち物のブランドからして甘倉家は金持ちだろう。

甘倉の気品はそこから来ていると考えれば納得できる。

金持ちなら出前はあまりとらないだろうという考えだ。


「それならお言葉に甘えて牛丼ですね。クラスメイトは良く美味しいと言ってましたので。私食べたことなくて…」


(やはり、そうだろうな)


「そうか。好きなサイズが選べるから見てみるといい」


そう言って俺はサイズの大まかな目安が書かれたスマホの画面を甘倉に見せた。


「色々選べるのですね。う〜ん…私は並盛にします」


甘倉は少し悩んだ後渋々といった顔で答えた。


「中盛がほしいならそう言えばいいのに。余ったら食べてやる」


「な、なんで分かったのですか!?ですが……」


「何かあるのか?体型維持とかか?」


「じょ、女性にそれを言うのはだめですよ!私は食べても太らない体質なので違いますが」


何だその特殊能力は。

全人類が喉から手が出るほどほしいぞ。


「すまない。軽率だった」


「い、いえそこまで本気で謝らなくても…話を戻しますが、その…中盛とか大盛りとかを女が頼むとはしたない、とあの人にしつけられていて…」


なんだ。そんなことか。


「この部屋には俺たち以外誰もいない。偶には自由気ままに出来る場所があってもいいだろう」


「自由にできる場所………な、ならお言葉に甘えて中盛りにします!」


自由にできる場所、という言葉に甘倉の目が光った気がした。


「あぁ、好きなだけ食べるといい」


………

……


「美味しかったです!」


その後少し食べ残し、残りを俺が食べることになった。

しかし肝心の甘倉はというと…

はしゃいだりはしないものの、甘倉の目はキラキラに輝いていた。

口元は緩み、微笑みが漏れていた。


…男子がやたらと可愛いと褒めるのも分からなくもない気がした。



「多分甘倉が世界で1番牛丼を楽しく食べる人間だと思う…」


「なにか言いました?」


「い、いや何でもない」


危ない…自然と口から出ていた。


結局甘倉に手間を掛けさせないと言いつつも容器の片付けは牛丼の恩返しです、と言って甘倉がやってくれた。



その後は実家から暇つぶしにと持ってきたトランプで遊んだり、甘倉に勉強を教えたりして時間を潰した。


ここでわかったことなのだが、甘倉は遊んだこともないのにババ抜きが異様に強い。


ちなみにこのトランプは片付けて出てきたものだ。


甘倉に感謝だ。


ともかく今年で一番楽しかったと言える。


「そう言えばもうすぐ新年だな。甘倉は何か用事はあるのか?」


何となくだが聞いてみたくなった。


「甘倉家の用事には呼ばれませんし、特には何も」


「…すまない。それなら俺の家の行事に付き合ってくれないか?交通費は負担する。ちょっとした旅行だと思ってくれ」


少し申し訳ないことをしたな、と思い、とっさに出てきた言葉がこれだった。


言った後にしまった、と思ったが甘倉から帰ってきた言葉は予想外の言葉だった。


「いいですよ。楽しみです」


「い、いいのか?色々大変だが…」


大変なのは事実だ。

用事というも、自分で言うのもどうかと思うが藍原家は由緒正しい家系で、名家同士の付き合いというだけのものだ。

と言ってもそこまで堅苦しいものではない。

友達を連れてきても全く問題ない。


藍原家、竹之条家、榊原家


俺の実家周辺の3名家だ。この3家で初詣に行き、その後の食事までは自由行動。

というのがいつもの流れだ。


おばさん、おじさん方はずっと話してるし、子供たちは公園で遊んでいる。

そのくらい緩い感じだ。


俺はこのことを甘倉に話したが、甘倉は本気で行く気のようだ。


「交通費は私が払います。勝手についていくだけですので」


「そ、そうか…そろそろ寝る時間だし、詳しいことはまたいつか決めるか」


「そうですね」


ここでようやくもう1つの問題に気が付く。


「寝る場所どうするか……」


「そうですね……」



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