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第10話 暖かいペンケース

「出来ました!クリアです!」


「おめでと。初めてにしては上手いのでは?」


選択ミスで曲は最難関になったが、次の難易度選択で1番簡単な設定にした。

しかしそれでも初心者が初見でクリアできるのは中々凄いことだ。


「楽しかったです。少し休憩してから、あのくまさんが獲りたい」


クレーンゲームは流石に知っていたようで、ルールも説明せずに済んだ。


「自販機にでも寄ってくか」


少し休憩で自販機に寄り、そこの隣のベンチに座った。


俺は缶コーヒー、甘倉は緑茶だ。


そして目の前のポスターを見てようやく気がついた。


「明後日クリスマスじゃん」


「ぷっ、今更ですか」


つい口にしてしまったが、甘倉は前から気が付いていたようだ。


(甘倉にクリスマスプレゼント…渡すべきだろうか)


クリスマスで真っ先に思いついたのが甘倉へのプレゼントであった。


別に常に気にしている訳では無いが、今日は特別甘倉と多く一緒にいたせいか思いつくのは甘倉のことばかりだった。


「親父に買うものがあるからゲームセンター終わったら少し寄っていいか?」


「いいですよ」


もちろん嘘だ。

本当は甘倉にあげるクリスマスプレゼントを買うためだ。

しかしクリスマスをそもそも一緒に過ごせるなんて確約もない。

しかし友人ならプレゼントを贈るべきだ。

そんな考えから買うに至ったが、何をあげればよいのかまだ決まっていない。


………

……


「獲れました!」


「おめでとさん」


さっき気にしていたくまを無事ゲットし、クリスマスプレゼントを買いに行く時間になった。


「ですが本当に払ってもらっていいのですか?」


「いいんだ。いつも甘倉にはお世話になってるからな」


そうしてゲームセンターを後にした。


甘倉がくまをとっている間、俺は甘倉にあげる物を決めていた。


ペンケースだ。

甘倉は勉強熱心で努力家だ。

故にペンケースもよく使い、筆箱も摩耗する。

この前勉強した際に気が付いたのだが大分ボロボロになっていた。


そのペンケースに思い入れがあるなら別だが、気に入ってくれそうな物で1番現実的だったからだ。


俺たちは文房具屋に足を運んだ。


「甘倉は好きなもの見てるかベンチに居ても良いぞ」


「では私は欲しい物を見てきます。ゆっくり決めてきていいですよ」


そう言って甘倉はお店の奥に入っていった。

俺も決めないとな。


(…何も思い浮かばない)


相変わらず人にプレゼントするのは慣れないな…


『なにかお困りですか?』


よほど難しい顔をしていたのか、それともただ俺がカモに見えたのか、店員さんが声を掛けてきた。


「あ、女性にあげるペンケースを探していて」


『はい、女性ですと、流行に乗ったものか見た目重視か機能重視の大体3パターンに分かれますね』


うーん。中間はないのか中間は。


「見た目と機能の中間は無いですか?」


『それですとポーチ型が人気ですよ!』


まぁ、大体の人はポーチ型を使っている。

1番無難だろう、と思いポーチ型に決めた。


『こちらになりますと見た目もよく、取り出しやすい形になっております』


「そ、そうなんですね…そのケースの白はありますか?」


俺が聞くと、少しお待ち下さい、と言って店員さんは奥へ入ってしまった。

ピンクやら黄色やら眩しい色が多い。

甘倉の身の回りの物の色からして甘倉は落ち着いた色を好む。


『すみません…白は売り切れてしまって…暖かい薄い黄色ならありますが…』


と店員さんが奥から持ってきた色は甘倉のイメージにピッタリだった。


「あ、その色ください」


『はい!かしこまりました』


「あ、ラッピングもお願いします」


………

……


「甘倉、買い終わったぞ」


「あ、もう終わったのですね。もう少し待っててください」


甘倉はまだ自分の買いたい物で悩んでいるらしい。


ペンケース、気に入ってくれるといいな。




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