1度目の人生
1、1度目の人生
朝、今日から高校2年生の生活が始まる。
「っあ、1組のところにあったぁ〜、しかも結と一緒のクラスだ」
「えっ!ほんと?やったぁ」
私は、葉月結。高校2年生。
今は、幼馴染の柊莉菜と学校の昇降口に貼ってあるクラスメンバー発表の紙を見ていたところ。
「よかったぁ、今年も莉菜がいるから赤点回避だ」
「おいっうちを便利道具みたいに言うな」
「えへへ」
「えへへじゃないっ」
「このっ」
莉菜は私のほっぺをつまんできた。
「わぁーやめてぇ、ごめんなさいごめんなさい私が悪かったです」
「分かったのならよろしい」
そう莉菜は笑いながら言った。
そして私と莉菜は顔を見合わせて同時に笑い出した。
莉菜は、茶色の髪をしていて、いつもお団子縛りにしている。
それに、いつも明るくて勉強も運動もできる。
身長は女の子にしたら少し高いかなってぐらい。
それに、なんと言っても可愛いしスタイルがバツグンなのだ。
だから莉菜は男の子からすごくモテる。
あと、友達もたくさんいる。
私はと言うと…
残念ながら莉菜みたいに完璧ではない。
身長は、低くも高くもない女の子にとっては平均ぐらいの身長だ。
髪は長さは腰ぐらいのロングヘアで、私はいつもポニーテールにしている。
顔は…普通ぐらい。
それに、さっきの『赤点回避』という言葉でわかるように私は勉強が苦手だ。
ただ、運動だけは莉菜より少しはできる。
友達といったら莉菜ぐらいだけど、他の人とは喋れないわけではない。
莉菜は高校に入学してからすぐにたくさんの人に告白されたが1人もOKをしていない。
莉菜曰く、『私部活一筋だから』らしい。
莉菜は美術部でとても絵が上手だ。
私は莉菜が描いた絵なら何時間でも見ていられるような気がする。
私は、部活には入ってないから莉菜みたいに部活一筋であるはけではない。
ただ、モテてないだけである。
「キャー」
「やったぁー」
「めっちゃうれしぃ」
っ‼︎…びっくりしたぁ
私達の近くにいた3人の女の子達が急に叫びだした。
それを見た莉菜もびっくりしている様子。
そして莉菜はすかさずその女の子達の方に話しかけた。
「どうしたの?」
「何かいいことあった?」
莉菜は友達がすごく多いからあの女の子達とも普通に話せるのだろう。
3人のうちの1人が言った。
「あっ!莉菜ちゃん!」
「私達一緒のクラスだよ」
…ということは私もあの子達と同じクラスということか。…莉菜と一緒のクラスになれて『キャー』って言うぐらい嬉しかったのかな?
「莉菜莉菜!」
そしてまた3人の中のさっきとは違う子が言った。
「矢神遥奇様が同じクラスだよぉ」
その子は今にもとろけてしまいそうな顔で言った。
「っえ!マジ⁉︎」
と、莉菜も食い気味である。
…矢神…遥奇?
誰だっけ?確か名前は聞いた事があるような気がする…
っあ、そういえば莉菜が去年言ってた!
矢神遥奇は、今学校全体が注目するほどかっこいいとかなんとか…
で、身長もまぁまぁ高い方だって言ってた気がするな。
あと、勉強も運動もパーフェクトだとか…
さっきの子は『様』を付けて呼んでたから相当矢神って人が好きなんだろうな。
そんな事を考えていたら、莉菜が帰ってきた。
「さっきの子達、矢神くんと同じクラスになれた事がすごく嬉しかったみたい。」
「…」
「結?」
「莉菜はさぁその矢神って人を見たことあるの?」
「そりゃもちろんあるに決まってるじゃん」
「そうなんだぁ」
「え?もしかして結は矢神くんを見た事がないとか?」
「…うん」
「はぁ、結は昔からそうだったな」
「むっそれはどういう意味だ」
「ほら、結はかっこいい人がいたとしても結構スルーするところがあるじゃん?」
「…うん?」
「普通なら超かっこいい人がいるとなるとちょっとぐらい気になるもんでしょ」
「…そお?」
「…うん!結今日も可愛いよ‼︎」
話しそらされたな…
まぁいいか。
「結早く教室行くよ」
「うん」
そして、2人で私達のクラス2年1組へと向かった。