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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
5章 みんなの日常生活
86/300

No.86 土曜日、晴れ、公園

今日も心地よい、5月晴れの土曜日。

俺とスーナは、キロとテンを連れて、外出する事になった。


「じゃあ行ってくるから」


「はいはい、気を付けて行ってらっしゃいね。キロちゃんとテンも行ってらっしゃいね♪」


「うん、いってきます!」


「元気よくて偉いわね♪」


「よし、じゃあ行くか」


「ゴーゴー!」


「はは、キロなんだそれ? どこで覚えたんだそんな言葉」


「えっとね、きのう、なつみねーちゃんがいってたの!」


「夏美か…なんかゲームしてて言ってたのを覚えちゃったんだろうな…」


「パパー…」


「ん? どうしたテン」


「おてて…つなぐ」


決して俺はロリコンな訳ではないが、テンがもじもじ恥ずかしがりながら、手をつなぎたいと言ってきた事に関しては、思わずキュンと来てしまった。

もう一度言うが、俺はロリコンではない。


「じゃあつなぐか!」


俺がテンの手をとると、テンは嬉しそうな顔をしてこちらを見上げた。

危うく死にそうになる所だった。

気紛らわしにスーナの方を見ると、広角が全力で緩んだ状態でテンを見つめていた。


「あの…スーナ?」


「あ、うん、何レン君!?」


スーナは我に帰って、慌てた様子を見せた。

危うくテンに俺達はキュン死にさせられる所だった。


「パパー、ママー、なんでニヤニヤしてるの?」


「あ、いや、俺もママも楽しみだなぁって!」


「わたしもたのしみ~」


「パパー、ママー、テーン! おそいよー! はやくはやく!」


「分かった、分かった! 今行くよ」


周りから見たら、4人家族にしか見えないんだろうな。

ようやく公園に着くと、キロは目を輝かせながら、公園の敷地内に入っていった。


「わー、なんかいろんなへんなのがたくさんある!」


「変なのって…でもそうか、二人は公園の器具とか見た事無いのか」


「ねー、ねー、これなあに?」


キロはブランコを指差しながら俺に聞いてきた。


「これはブランコっつって、こうやって遊ぶんだ」


俺はスーナにテンを預けると、キロの前でブランコをこいでみせた。


「わー、パパすごい、すごい!」


キロは目を輝かせながら俺がブランコをこぐ姿を喜んで見ていた。


「もっともっとこいでー!」


「仕方ないなぁ、ほら!」


仕方ないなぁと言いつつも、すごいと言われて、若干いい気になった俺は、もっとブランコをこいでみせた。


「もっともっと!」


「はいはい、ほら!」


「スゴイスゴイ! もっともっと!」


「いや、俺、いつまでこいでりゃ良いの!」


やっと地上に降りてきた俺は、代わりにキロをブランコに乗せてやった。


「大丈夫? 掴む奴から手を離すなよ」


「うん、だいじょうぶ! それ~!」


俺が手を離すや否や、キロはものすごいスピードと角度を付けて、ブランコをこぎ出した。


「うわ、スゲー高さまで上がってんな…じゃなくて、キロ、危ないから! もう少し勢い緩めて…」


「ゆるめる…?」


すると、キロはブランコの勢いそのままに、気持ちい良い位に前方に飛んで一体。


「いや、手は緩めちゃダメ~!!」


すると、キロはまるで猫の様に空中で身を翻し、見事に地面に着地した。


「あはは、これおもしろいね、パパ!」


「…あはは、そりゃ良かった…。こっちは肝が冷えたけど…」


「でも…今の動きスゴかったね…」


「うん、やっぱり泉狐族って身体能力が人間に比べて高いのかも」


「ねーねー、いまの、もういっかいやっていい!?」


「いや、ダメ!」


その後、キロとテンは楽しそうに公園の遊具で遊んで居た。

キロは相変わらず、人間離れした身体能力を発揮していたが、テンの方はすこぶる元気な位で、他の身体能力とかは普通の人間と何ら代りは無い様子だった。


「テンちゃん、何作ってるのー?」


「わたしとキロがすむおうち」


「そっか、将来はキロ君とおっきい家で暮らすんだね!」


「あ、そうだ、ママとパパもいっしょだから、もっとおおきいおうちにしなきゃ!」


「4人で一緒に暮らすの楽しそうだね♪」


「あと、おばあちゃんとおじいちゃんもいっしょ!」


「ふふふ、それじゃあもう今皆で住んでるんじゃない?」


「あ、ホントだ…。じゃあちがうのつくる!」


どうやらテンは砂遊びがいたく気に入ったみたいだ。

それをスーナはまるでホントの母親の様に見守っていた。


「あれー、蓮斗じゃん! 何やってんの?」


あの声は…。

後ろを振り向くと、茜が歩いてきた。


「茜こそ、なんでこんな所に?」


「歩いてただけだよ。あれ、その子達って…」


「あぁ、昨日、学校で保護した子だよ」


「なんか…あんたらホントに家族みたいに見えるね」


「そ、そうか? まぁ何て言うか…」


「パパー、このひとだあれ?」


「…パパ…? え、パパって…?」


茜は唖然とした顔でこちらを見ていた。

そして、俺は気付かなかった。

スーナがムッとした顔で俺達を見ていた事を。

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