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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
5章 みんなの日常生活
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No.82 家出娘

「あぁ~どうもいつもウチの夏美がお世話になっています。彩ちゃん? えぇ、ウチに来てますよ。大丈夫大丈夫、迷惑な事なんてちっともないから。丁度今オチビちゃん達二人預かってる所だし、もう一人増えた所で大した事ないわよ。まぁお互い言い分はあるとは思うけど、とりあえずは一晩冷静になって明日いらっしゃい。じゃあまた…」


どうやら、彩ちゃんの親から電話があったらしい。

大した事ない訳はないだろうと思いつつも、ばあちゃんらしいなと何故か少しホッコリした。


「とりあえず、親御さんには今電話で話からね。今日は心配せずに泊まっていきなさい」


「ごめんなさい、ご迷惑かけてしまいまして…」


「いいのよ、別に家出なんてそこまで珍しいことでも無いんだし。勿論、家出が良いとは言わないけど、そうやって色んな事を経験して人は成長していくものよ」


「ほら、おばあちゃんもこう言ってるんだし、今日は安心して家居て良いからね」


「うん…なっちゃんもありがとう…」


そう言って、夏美と彩ちゃんは仲良く2階に上がって行った。

なんだか、また家の中が一気に賑やかになってきた。


「パパ、いまのひとだれ?」


「彩ちゃん。夏美のお友だちだよ」


「なつみって?」


「あーそっか、そういえば夏美の紹介してなかった。さっき2階に上がっていった二人の中で、背がおっきい方が夏美。俺の妹だよ」


「パパのいもうと? パパいも?」


「アニメのタイトルみたいな略し方するな。後で夏美お姉ちゃんに沢山遊んでもらえ」


「うん、たくさんあそんでもらう!」


時計を見ると、もう20時半を回っていた。


「じゃあそろそろ風呂に入るか。キロ、テン、お風呂に入るよ」


「さっきもおふろはいったのに、なんでまたおふろにはいるの?」


「さっき遊んでて汗かいたろ?」


「は~い」


すると和室からじいちゃんが出てきた。


「よし、じゃあ今度はおじいちゃんと一緒に風呂入るか?」


「うん、はいる~!」


「なんだじいちゃん急に…」


「コイツら見てたら、蓮斗や夏美、それから亮介が小せぇ頃に風呂に入れてやった事を思い出してよ。一緒に入りたくなったんだよ」


「要はノスタルジーな気分になったって事ね。とりあえず任せるよ」


「ノスタルジーって言うんじゃねぇ、なんかムカツク。つー事で俺達が風呂入ってる間にコイツが着るパジャマを用意しといてくれ。確か、クローゼットの中の奥にある衣装ケースの中に、お前と夏美が小せぇ頃に着てた奴が入ってるハズだ」


「パジャマ、まだあるんだ…」


「ばあさんが全部思い出だっつってとっといてんだよ。亮介のも多分どっかにあるんじゃねぇかな」


「父さんのもあんのか。まぁとりあえず取ってくるよ。じいちゃんは服要るの?」


「いや、要るに決まってんだろ。俺がいつ全裸で風呂場から出てきた事があるよ」


俺は脱衣室から出ると、和室のクローゼットを開いた。

じいちゃんの行っていた衣装ケースの中を漁ると、確かに子供用のパジャマが2着、丁寧に畳んで置いてあった。

確かになんとなく見覚えがあるパジャマだ。


それらとじいちゃんのパジャマを脱衣室に置き、居間に戻るとスーナがお茶を出してくれていた。


「スーナ、お茶ありがとう」


「どういたしまして♪ レン君も今日一日お疲れ様!」


スーナから労いの言葉をかけられながら飲むお茶は、いつも以上に体に染み入った。


「じいちゃん、なんだかいつもより楽しそうだったよ」


「ふふふ、レン君や夏美ちゃんが小さかった頃を思い出してるのかな?」


「みたいだよ。自分で言ってた」


「ふふ、やっぱり♪」


すると、突然スーナは俺の膝の上にちょこんと座り、全身を俺に預けてリラックスし始めた。


「ど、どうしたスーナ」


「テンちゃんがレン君の膝の上で気持ち良さそうに眠ってたから…私も…って思って」


「なんだ、テンにヤキモチ焼いたのか?」


「そ、そんなんじゃないもん! ただ…良いなぁって…」


スーナはちょっぴりむくれた様な、それでいて甘えたそうな顔を見せながら俺に寄りかかっていた。


「そっかそっか、甘えん坊なママだなぁ」


「ん~レン君のいじわる~!」


「あはは、冗談だよ!」


これ以上からかうと、本格的に怒りそうだったので、頭を軽く撫でながら、宥めた。


「はぁ~…なんだかスゴい幸せ…♪」


「そりゃどうも」


「ずっとこのままが良いなぁ…」


「いや、俺ずっとこのままなの?」


「ふふ、冗談だよ♪」


そんなバカップル全開の会話をしていると、2階から夏美達が降りてきた。

俺達は慌てて離れ、何食わぬ顔でテレビを見ていた。


「あ、にぃいとスーナちゃん、居間に居たんだ。おじいちゃんとさっきの子達は?」


「あ、あぁ、キロとテンか? じいちゃんと風呂入ってるよ」


「へー、おじいちゃんがねぇ…。っていうか、なんでそんなに焦ってんの?」


「いや、別に…?」


「変なの…。あ、そうだ、今日の夜ご飯の残り物ってある?」


「うん、確か鍋の中に煮物があった気が…。味噌汁とご飯もまだ残ってたよ」


「了解! 彩ったら、昼から何も食べてないって言うから…」


「あぁ、そういう事か。ちなみになんで家出したの?」


「んー? なんかゲームのし過ぎで彩のお母さんが怒っちゃって、それにショックを受けて…」


「…あ、そう…」


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