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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
5章 みんなの日常生活
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No.76 日常日和

「お邪魔しまーす! あれ、なっちゃん今日いるの?」


「うん、部活が休みとかで。夏美の友達も来てるよ」


「あー、もしかして彩ちゃんの事?」


「知ってんの?」


「うん、私の家の近所に住んでる子でさ。うちの親が彩ちゃんの親とも仲良いんだ。ちょっと顔出してくんね。二階の部屋にいるよね?」


「夏美の部屋でゲームしてるよ」


「りょー。じゃあ行ってくるー。じゃあこれ持ってて」


茜は俺にカバンを押し付けると、とっとと二階に上がって行った。

とりあえず俺と駿は、スーナがクッキーをむさぼっている居間に入った。


「あれ、シュンさんも来てたんですね」


「うん…ほぼ茜に連れてこられたんだけどね。ひでぇんだよあの女」


「そ、それは大変でしたね…」


何故か駿は周りをキョロキョロしながら、スーナの元にやってきた。


「ホントだよ…。…ちなみに今日は蓮人のじいちゃんは居ないの…?」


「うん、今は居ないですけど…なんで?」


「いやーこの一か月散々こき使われたもん…。久々にこっち戻ってきたんだし、もうしばらくは会わなくても良いかなって…」


「あのー…駿、後ろ後ろ…」


「後ろ…?」


駿が後ろを振り向くと、そこにはじいちゃんが立っていた。


「よぉ駿、昨日振りだなぁ…」


「お、お、お、おじい様、お久しぶりでございます…」


「なんだぁ…? 俺にもう会いたくねぇとかなんとか聞こえたけど」


「い、いやだなぁ、そんな訳ないじゃないですか! いやーお元気そうで何より!」


「だから昨日振りっつってんだろうが。まぁいいや、来たからにはゆっくりしていけや」


それだけ言って、じいちゃんは和室の方へ行ってしまった。


「は、はい、お言葉に甘えて…」


それだけポツリというと、駿は魂を抜かれた様にその場にへたり込んでしまった。

まぁ自業自得なので、特に同情とかしなかったが…。

しばらくすると、駿は立ち上がり玄関の方に向かって歩き出した。


「あれ…駿、帰るの…?」


「うん…帰る…茜には宜しく言っといて…じゃあまた明日…」


駿はぐったりとして帰って行った。

その後ろ姿はなんとも悲哀に満ちており、とても見てられなかった。


「なんか今日は駿、災難な一日だったな…」


「うん…ホントにね」


茜は茜で、二階の夏美の部屋に行ったきり、戻って来ない。

どうせゲームで盛り上がっているのだろう。


「レン君、お茶飲む?」


「ん? あぁ、ありがとう、じゃあ飲もうかな」


「じゃあ準備するね♪」


スーナは台所の棚からお茶葉を取りだし、急須に入れると、慣れた手つきでお湯を注いで持ってきてくれた。


「はい、どうぞ」


「ありがとう。お茶淹れるのもすっかり慣れてきたね」


「えへへ、おばあちゃんが淹れるのずっと見てたし、任せてよ♪」


俺とスーナはテレビを見ながら、他愛の無い会話を楽しんでいた。

端から見たら、ただの老夫婦に映るかもしれない。


「ただいま~。あら、蓮斗とスーナちゃん、居間に居たの? 茜ちゃん来てるんじゃないの?」


「おかえりー。茜なら夏美の部屋に行ったっきりだよ。たまに茜の叫び声が聞こえるし、3人でゲームしてんじゃない?」


「そう。なら良いけど…」


「おばあちゃん、お茶入りますか?」


「あら、スーナちゃんありがとね。じゃあ頂こうかしら」


スーナは嬉しそうに湯飲みを取りに台所へ向かった。


「スーナちゃん、良いお嫁さんになりそうね♪」


「お嫁さんって…スーナも俺もまだ17だし…」


「あら、それはつまり『今はまだ早いけど、ゆくゆくは結婚します』って事かしら?」


「い、いや、別にそういう意味で言った訳じゃ…」


「そういう意味じゃなきゃ、どういうつもりで蓮斗はスーナちゃんと付き合ってる訳?」


「いや、ばあちゃんちょっとめんどくさいな! って言うか、なんで俺とスーナが付き合ってるって…」


「そりゃあ分かるわよ、あなたは私の孫よ。多少の事はお見通しよ?」


「なんかその言い方怖いな!」


「まぁとにもかくにも、スーナちゃんの事、大切にしなさいね」


すると、スーナが湯飲みを持って、居間に戻ってきた。


「お待たせしました。今、お茶入れますね♪」


「はい、ありがとねスーナちゃん♪」


俺とばあちゃんとの会話はそれきりで終わった。


スーナを大切に…。

そんなこと、ばあちゃんに言われなくても分かってる。

大体、スーナを家に入れ込んだ時、一番怒ってたのばあちゃんだったのに…。

スーナの人徳と努力のおかげなのかな…。


「レン君、おばあちゃんと何喋ってたの?」


「別になんでもないよ」


その後も俺とスーナは二人でのんびりした時間を過ごしていた。

結局、茜は大方の予想通り夏美達とのゲームに夢中になってたらしく、ようやく部屋を出てきたのは18時を過ぎていた。


「いやー、夏美ちゃん達とゲームしてたらいつの間にか日が暮れちゃったよー」


「お前今日何しに来たんだよ…」


「やーごめん、ごめん! また今後来るよ」


少し遅れて、彩ちゃんも二階から降りてきた。


「あの…今日はお邪魔しました!」


「うん。またいらっしゃい」


「はい、ありがとうございます♪ ではまた…」


そう言って茜と彩ちゃんは一緒に帰って行った。


「なんか今日は家が賑やかだったねぇ♪ はー、ずっとゲームしてたらお腹空いてきちゃった…。このクッキー食べても良い?」


「こら夏美、夜ご飯もうすぐだから我慢」


「ちぇ~」


「三人ともー、ご飯できたわよ~。後、おじいさんも呼んできて頂戴!」


「はーい」


こうして平和な一日がまた平和に幕を閉じようしている。

今はこの日常を噛み締めよう。

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