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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
4章 ふたりの冒険生活
70/300

No.70 世界を救うとかどうとか

壊滅…?

え、今壊滅って言ったのか?


「いや、アルフのグループは轟孤の威を借りて、弱い立場の人々を助けるんじゃなかったのかよ? なんで急に…」


ユウさんの言う事はごもっともだ。

いわばこれは組織内での反乱だ。

そんな事をすれば、他のグループから袋叩きにされて終わりだ。

それに他のグループに比べ、人数的にも戦力的にも劣っているという話を聞いたばかりだ。

とても勝算があるとは思えない。


「急なんかじゃないよ。私、いや、私達はずっとこの目的の為に動いてきた。それ相応の準備等はしてきている。今はまだその時じゃないが…」


「準備?」


「私が居たグループのメンバーが何人か他のグループに潜入している。そこから日々情報を収集して来るべき日に備えている」


成程、アルフとしても全く勝算が無い訳では無さそうだ。

ただ…情報を得て相手の動向が分かった所でどうにかなるのだろうか?

まぁ何の準備も無しにイクタ村を飛び出した俺達が言える事でも無いかもしれないが。


「大体なんの為に…っていうのはおかしいけど、轟狐の壊滅を…?」


「奴らが全ての神社を破壊して、二つの世界を分断しようとしているのは知っているか?」


「はい、私が住んでいたこのイクタ村もそれが理由で襲われました」


「あぁ、風の噂で聞いたよ。だいぶ復興の方は進んでいる様だが…」


「はい、レン君のおじいちゃんと、レン君の友達のシュン君が中心となって尽力してくれたのでなんとか…」


「話を戻そう。君達は全ての神社が破壊されるとどうなると思う?」


「どうなるって…互いの世界に行き来出来なくなるんじゃ…」


「まぁそれも正解といえば正解だが…それの比じゃない位の事態が発生する事になる」


「…?」


「単刀直入にいえば、2つの世界共滅びる事になる」


「な…!?」


「1000年前、世界は2つに別れた。魔力と世界と技術の世界にね。しかし、2つの世界は完全に独立した訳ではなく、お互いに支え合う様な形で存在してきた。細かい話は省くが、2つの世界が完全に分断されてしまうとみるみる内に世界はバランスを崩し、やがて消滅してしまう」


「ちょっと待てよ! それってつまり轟孤の連中もろとも滅びるっつー事だよな? そんな事をして轟孤に何のメリットがあるんだよ!」


「いや、奴らの殆どはこの事実を知らない」


「知らない…!?」


「この事実が殆ど伝わっていないのは、意図的だろうね。もしこの事実が公になってしまえば、世界の破滅志願者みたいな連中がこぞって神社の破壊工作をし出してしまうだろうからね」


これは…どうやら俺達の旅はイクタ村を轟孤の魔の手から守るだけでなく、世界の崩壊から守る旅にも繋がっている様だ。

いきなり、事態が大事になってきたな…。


「残りの神社はいくつあるんですか?」


「現時点で20社ある。が、5年前まで100社以上あった物が20社だからな。既に80社以上が奴らによって破壊されている」


「いや、ホントに悠長な事言ってらんないな! 急いで奴らを阻止しないと」


「あぁ、それは勿論だ。しかし、残りの神社がすぐ破壊される心配はない。少なくとも1年はもつだろう」


「どういう事…?」


「時限式の結界を各神社に張り巡らせている。その結界には如何なる攻撃にも耐えられ、決して傷一つ付くこともない」


「結界張れるのか…。なんか漫画みたいな話だ。でも1年は持つって事は、逆に言えば1年しか持たないって意味だよな?」


「その通り、今言った通り時限式の結界だからね。強力な結界を張るには、それなりの制約が必要になってくる」


1年…それは長い様で短い、世界滅亡のタイムリミットを意味していた。


「ふぅ…少しお喋りが過ぎてしまった様だ。そろそろ私は失礼するよ。いずれ君達とは邂逅を果たす事になるだろう」


そう言うと、アルフは目の前から消えてしまった。

これも魔石の力という奴か…。


「…行っちゃったね」


「なんか…あっという間に状況が変わってきちゃったな…」


「全くだよ。近い内に世界が滅びちまうだぁ? しかも轟孤の野郎共のせいで? 冗談じゃねぇ! 絶対にそんなの阻止しねぇと!」


「だけど…アルフの言ってた事…信じていいのかな? そんな急に現れてやれ轟孤のリーダー辞めただ、やれ轟孤を壊滅させるだ、やれ世界が滅びるだ…。情報量が多過ぎてついていけない」


「最初ここに来たときは、何喋ればいいか分からないとかぬかしやがったくせに、いざ口を開けばずっと喋り続けやがって…! キャラブレブレなんだよ!」


「いや、俺が言いたかったのはそこじゃないから。スーナはどう思う?」


「うーん…私はあの人が嘘ついてる様には見えなかったかな。何か…覚悟って言うのかな? 言葉にどこか重みがあって…」


「そっか…。まぁアルフが嘘ついていようと無かろうと俺達の目的は変わらないしな」


「うん、そうだね!」


「って事だ! ユウさんはどうする?」


「ばっきゃ野郎、一度仕事を引き受けた以上、今更びびってる暇なんかあるかってんだ! それにプリンもかかってるしな!」


「いや、そこプリンを天秤にかける所じゃないから!」


「アホ、あたしにとってはスゲェ重要なんだからな!」


「まぁ…とりあえず、今日はゆっくり休もう」


色々な事がありすぎた1日に、ようやく俺達はお別れをする事にした。

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